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第五章 祈りと迷い
極地会第二十回目(議事録)
バジル・グリーン公爵:つまりワシらは間抜けなデボワを見つけ次第粛清すれば良いということか?
ディノス・ディノ公爵:そうなりますね。まぁ、彼の性格上おそらくあちら側に捕まったら洗いざらい吐いてしまうでしょう。何れにせよ用済みです。
バジル・グリーン公爵:あの娼婦はどうした?夫がしくじった恥から姿も見せられんと?
ディノス・ディノ公爵:急な招集に参加しないということは、逃げ仰せた可能性もありますね。
シン・リンレイ公爵:欠席する旨の連絡はあったのか?
(リンレイ公爵が司会席の水晶板へ顔を向ける。五秒間の沈黙。)
ベン・ダウ公爵:おい……聞いてるのか、司会?
(ダウ公爵が質問した後、司会の音声が途切れる。接続不良のため暫しの休憩、ディノ公爵は紅茶のお代わりを注文する。)
司会:大変失礼いたしました。マイクが上手く繋がっていなかったようです。進行を再開させていただきます。
ベン・ダウ公爵:おいおい、しっかりしろよ三下。マスターが雇用したとはいえ、働きぶりが悪かったらいつでも俺たちがクビに出来るんだぞ。
ディノス・ディノ公爵:それにしても今日はどうして遠方からの参加なのですか?音にわずかなラグがある気がして落ち着きません。
司会:申し訳ありません。本日はデボワ伯爵の件で極地会の皆様も殺気立っていると推測しまして、マスターからも物理的な接触は避けるように指示を受けています。
ベン・ダウ公爵:マスターはオレたちが獣かなんかの類だと思ってんのか?オレたちゃ確かに人よりちょっと殺しに積極的だが、普段は平和を愛する小心者なんだ。だよな、ジィさん?
バジル・グリーン公爵:牛のように鼻から輪をぶら下げる男に平和を語られるとは、世も末。魔術師も堕ちたものじゃ。それで、手に入らなかった魔術者はどうする?
(ダウ公爵が魔術を行使しようとしたので事務局員が三人がかりで制止。うち一人が負傷。)
ベン・ダウ公爵:あぁ、もうクソッタレだな!どうしてこうも極地会ってのはルールに厳しいんだ?この老害が死ねば空いた席に別の人間が座るだけだろう!
司会:極地会のメンバーはマスターが直々に選抜された方たちです。簡単に代えが利くものではありません。デボワ伯爵夫妻のその後の処理については、こちらで決定しますので、どうか勝手な行動はお控えください。
ディノス・ディノ公爵:貴方はすでに措置を知っているのですか?
司会:いいえ。私はただの司会ですので。
シン・リンレイ公爵:何れにせよ、デボワが捕まったことで極地会の目的はおそらく相手型に知れ渡ったはずだ。いよいよ行動を急ぐべきだろう。
ベン・ダウ公爵:一度しくじった者が言うと説得力が違うなァ、おい!
司会:皆様、どうか静粛に。マスターは計画の失敗を何よりも恐れています。メンバーの皆様方が足を引っ張り合っている場合ではありません。黒の魔導書はプリンシパルにあることは確かなのです。問題は、あの場所に力が集結し過ぎていること。我々が根を回したオリアナ・デ・ロサは上手く機能しませんでした。
バジル・グリーン公爵:あれはお前さんたちの仕業か。ワシは死ぬまでに一度生身の彼女を観るのが夢だったんじゃが、もう叶いそうにない。
司会:それはそれは、残念です。
(グリーン公爵が投げたグラスが水晶板に当たったため右半分の映像が途切れる。事務局員が清掃に入ったが映像は映らない。)
バジル・グリーン公爵:残念……ああ、そうじゃな、誠に遺憾。この怒り、憎しみをどうしてくれよう。魔剣が血を吸いたいと泣いておる。
ベン・ダウ公爵:おう、ジィさん。それはたぶん幻聴ってやつだ。オレは天才外科医マーベル・ロック先生の新しい小説で読んだぜ。
(グリーン公爵が抜刀したため会議を中断。ダウ公爵を含む三人のメンバーは離席。事務局員に避難指示が出されたため、以下は監視カメラの映像をもとに追記したものである。)
バジル・グリーン公爵:ワシが行こう。ミドルセンでもソロニカでも。たとえレオン・カールトンが出て来たとしても、負ける気がせん。そうだ……満月の夜に執り行おう、そうと決まれば招待状の用意だ……!!
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