Yesterday's HERO

クラピナ

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.Ren



"キャーッ!!"


あぁ、今日も始まった。

昨年の春、隣に越して来た女の子。
春原悠里という名前だ。
身長が小さめで、細くて、キラキラした瞳で、まるでお城に住んでいるように穏やかでおおらかな女の子。


その子の声が頭にこだまして消えない。





父親が暴力を振るわれているのだと思う。
週に3回から4回、30分くらい。





とても心が痛かった。
あんなにか弱そうなお姫様に手をあげるなんて信じられない。
なんとかして助けたいと、いつもそう考えていた。
だけど俺には行動する勇気なんてなくて、耳を塞いで衝動を抑えていた。




「レン、ご飯よ」




母親の声がした。
シャーペンを置いてテキストを閉じ、リビングへ向かう。

彼女は高校2年生、俺は大学付属の高校3年生。


大学受験はないけれど、上の学科を選べるようになるべく勉強を頑張る。
いつか彼女に勉強を教えたりできたらいいな、とも思っている。








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