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第5話 こんにちは異世界
しおりを挟む目が覚めると、私は小さな体になっていた。
神様と話した記憶まではあった。
...しかし、それより前は思い出せなかった。
神様との会話も、所々ノイズがかかるようになって、曖昧にしか覚えていなかったが、神様のミスにより“何かが起きて”この世界へ転生してきたことだけは覚えていた。
思い出せないということは思い出したくないからだろう。
無理に思い出す必要はない。
そして前世と思われる知識もあった。
私はこの世界で必ず幸せになる。
神様と約束したのだから。
それに生きる為に色々な力をくれた。
まずはこの世界を知ろう。
残念ながらこの体の記憶は全くなかった。
こういう場合って少しは記憶が残ってるものじゃぁ...?と思ったけど、よくよく考えたら記憶がない方が都合が良いのかもしれない。
後頭部に触れるとズキズキと痛む...これはアレだな。
頭を強く打って寝込んでいたパターンだ。
尚更都合が良い。
この体の本当の持ち主には悪いけど利用させて貰おう。そのかわり、絶対この子を不幸にはしないと誓うから許してほしい。
神様がこの体に転生させてくれたということは...きっと彼女の魂はもう...。
絶対に彼女の分も生き抜くから...。
絶対に幸せになるからね。
赤ちゃんからならわかるけど...神様...こういうのってありなの?
それでも私は生きなければ...。
ベッドを降りて私は部屋の中を探索してみた。
とても広い。
窓の外を見ようと窓枠によじ登ると...後ろからドサッっと何かが落ちる音が...。
振り向くと、メイド服を着た女性が慌てふためいていた。
「 お...お嬢様!早まっては行けません!?良いですか?私がそちらに行くまではジッとして動いてはなりませんよ?良いですか?絶対に絶対に動いてはいけません。」
私は、窓から飛び降りようとしてると思われている?
飛び降りる...なんだろう...何かあったような?
飛び降りるってワードを思い浮かべたら頭がズキズキする...私は一体何を思い出そうとしたの?
わからない。
でもとても胸が痛い。悲しい...なんでだろう?
私の目からはポロポロと涙が溢れていた。
涙が急に溢れた事に動揺したのか私は窓枠から滑り落ちた。
「いやぁぁ!!!お嬢様ぁぁぁ!!」
なんだろう...私この落下する感覚を知っている。
前にも私は落ちた?いつ??
私は落下しながらそんなことを考えていたけど..
アレ??転生して即ピンチじゃない??
私転生してすぐ死ぬの??
私幸せになるって誓ったばっかりなんだけど...
たーすーけーてぇぇぇ!!
「おかしいなぁ?今日は1日天気なはずなのに...どうして我が愛しの妹が空から降ってくるのかな??」
もうダメだと思った瞬間見知らぬ超絶イケメンが私をキャッチした。
超絶イケメンなんだけど...おかしいなぁ。
すごく天気が良いのに氷点下バリに寒いんだけど...。
アレ??
このイケメン笑顔だけど...目が全然笑ってない。
えっ??もしかしてこの方から冷気が漏れてます??
「 エリーゼ?ちょっとお兄様と今の出来事についてお話しようか?? 」
氷点下の微笑み....
めちゃくちゃ怖い!!!
怒っていらっしゃる!!!!
この方めちゃくちゃ怒ってらっしゃいますね。
嫌ですなんて言える状況じゃない...私に拒否権なんて存在しないようだ。
何か言わなきゃ...何か言わなきゃ...死ぬ...この冷気で。
何か誤魔化せる一言を考えるんだ私よ...。
さっき“お兄様”って言った?言ったよね??
「 あの...助けていただきありがとうございます。あの...失礼ですが...貴方は一体どなたで...私は一体誰なんでしょうか?」
これしかない。助かるにはこの一言しかない。
すると、目の前のイケメンの氷点下の微笑みは崩れて目を見開き固まった。
えっ?ちょっと待って...この人息してる??
私の一言で目の前のイケメンの息の根が止まった?
「 リンダ!?リンダはいるか??エリーゼの様子がおかしい!!今すぐ医者を呼べ!!そしてすぐにお父様とお母様...ついでにアルベルトを呼んでくれ...今すぐだ。」
イケメンさんは息を吹き返し先ほどの部屋で出会ったメイドに的確に指示を出した。
そして私を抱き抱えて先ほどの部屋に戻った...。
優しく、大事な宝物をしまうかのように、そっとベッドの上に私を寝かせたイケメンお兄様?は顔色が真っ青。
先ほどの冷徹なオーラなど微塵もなくなり、かわりにこの世の終わりだと言わんばかりの表情をしていた。
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