しまなみブルー ー風のSHIFTー 〜中型で挫折した元バイク女子が原付二種に乗ったら仲間と出会って友情も恋も人生も全部シフトアップしてた件〜
通りすがりのしまなみライダーTAKA☆
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第12話 『キャンプと星と、そして名前』
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Scene.01 キャンプツーリング出発!
瀬戸内の朝は、少し肌寒い潮風と、どこか甘い匂いを含んだ空気に満ちていた。
港沿いの駐車場に、4台の原付二種が並ぶ。ジスペケ、CT125、CB125R、そしてGROM。
それぞれのバイクが朝日を受けてきらりと光る。
「CT125でキャンプ道具運ぶのは楽勝やけどな~。結ちゃんのジスペケにリアボックス付けたんは正解やったな」
彩花がリアキャリアをぽんと叩く。
「ほんと……最初は“ダサいかな”って思ってたけど、もう手放せない……!」
結は照れ笑いしながらボックスを撫でた。
悠真は少し離れた場所で、GROMのハンドルを握ったまま深呼吸していた。
(今日は……凛ちゃん以外の二人も、ボクが“男の子”だって知った後、初めての旅)
視線の先で、結と彩花が自然に笑っている。その笑顔が優しくて、胸が少し熱くなる。
――でも、不安は完全には消えていなかった。
(もし……少しでも、ボクを“仲間”じゃなく“変な人”として見てたら……)
胸がざわつくたび、隼人から借りたタンクバッグのジッパーをきゅっと締め、
「がんばろう……」と小さく呟いた。
やがて4台のエンジンが同時に目を覚ます。
その音は、不安を少しずつかき消し、代わりに勇気を鼓動のように送り込んでいた。
⸻
Scene.02 テントの中で
昼過ぎ、大三島の「台キャンプ場」に到着した4人は、協力してテントを張り終えると、簡易コンロで炊いたご飯とスキレットで焼いた肉を囲んだ。
夜の帳が降りるころ、焚き火の炎がゆらめき、星空が果てしなく広がっていた。
「星、めっちゃ綺麗やな……」
彩花が空を見上げる。火の光に照らされた頬が赤い。
「ここまで空が広いと、自分がちっぽけに思えるよね」
結がそっと呟く。
「ちっぽけでもええんやで。風受けてるうちは、前向ける。な?」
彩花の言葉に、結は「うん」と微笑み返した。
悠真は焚き火を見つめていた。炎が映る瞳がゆらゆら揺れている。
(言いたい……もう逃げるのは嫌だ。ここでなら、きっと受け止めてもらえる)
大きく息を吸い込み、勇気を振り絞った。
「ボクの名前……“悠真”って、父さんがつけたんです。
“真っ直ぐに、悠々と生きてほしい”って意味らしいんですけど……正直、ずっと嫌いでした。
真っ直ぐなんて、生きられないと思ってたから」
焚き火がパチパチと音を立て、誰も言葉を挟まない。
「でも……この間、結さんと話して、思ったんです。
ボク、自分から逃げたくない。
“悠真”って名前、いつか好きになれるように……バイクに乗って、ちゃんと前を向きたいって」
その声は震えていたが、確かに強さを帯びていた。
結が穏やかに微笑む。
「いい名前じゃん。悠真ちゃんにすごく似合ってると思う」
彩花も頷き、真剣な眼差しで言った。
「せやな。“ボク”でも“私”でも、悠真ちゃんは悠真ちゃんや」
悠真は俯いたまま、頬が熱くなり、胸がいっぱいになる。
「……ありがとう。本当に、ありがとう」
⸻
Scene.03 テント越しのやさしい声
深夜。
テントの外は静かで、波の音と虫の声だけが混じり合っていた。
皆が寝静まった後、凛のテントだけがまだ小さな灯りを灯していた。
ファスナーがかすかに揺れる。
「……起きてる?」
「ん、起きてるよ。入れば?」
悠真はそっとテントに入り、狭い空間で膝を抱えて座った。
言葉を探す間もなく、凛が先に口を開いた。
「……頑張ったね。今日」
その一言が胸に刺さり、涙がこみ上げる。
「ありがとう、凛ちゃん……もし、凛ちゃんがいなかったら、ボク……きっとこの旅にすら来れなかった」
凛はふっと笑い、悠真の肩にタオルケットをかけた。
「じゃあ、これからも一緒に走ろ。あたしたちだけの“正解”を、見つけるまでさ」
その優しさに、悠真の瞳から小さな涙が零れた。
(ボクは、もうひとりじゃない)
⸻
Scene.04 夜明けと共に
夜が明けると、瀬戸内の海は朝日に染まり、金色の光がテントを照らしていた。
焚き火の匂いがまだ残る空気の中、彩花が元気よく声を上げる。
「さ、今日も走るで~!」
結と凛が笑顔で応えた。
悠真はGROMのミラーに映る自分を見つめ、深く息を吸った。
(昨日よりも、ボクは少し強くなった)
「……“悠真”で、よかった」
GROMのエンジンが軽やかに響く。
4人の心は、昨日よりもさらに強く結ばれていた。
⸻
――名前は、風に乗って、
ゆっくりと、自分の居場所を教えてくれる。
To be Continued...
瀬戸内の朝は、少し肌寒い潮風と、どこか甘い匂いを含んだ空気に満ちていた。
港沿いの駐車場に、4台の原付二種が並ぶ。ジスペケ、CT125、CB125R、そしてGROM。
それぞれのバイクが朝日を受けてきらりと光る。
「CT125でキャンプ道具運ぶのは楽勝やけどな~。結ちゃんのジスペケにリアボックス付けたんは正解やったな」
彩花がリアキャリアをぽんと叩く。
「ほんと……最初は“ダサいかな”って思ってたけど、もう手放せない……!」
結は照れ笑いしながらボックスを撫でた。
悠真は少し離れた場所で、GROMのハンドルを握ったまま深呼吸していた。
(今日は……凛ちゃん以外の二人も、ボクが“男の子”だって知った後、初めての旅)
視線の先で、結と彩花が自然に笑っている。その笑顔が優しくて、胸が少し熱くなる。
――でも、不安は完全には消えていなかった。
(もし……少しでも、ボクを“仲間”じゃなく“変な人”として見てたら……)
胸がざわつくたび、隼人から借りたタンクバッグのジッパーをきゅっと締め、
「がんばろう……」と小さく呟いた。
やがて4台のエンジンが同時に目を覚ます。
その音は、不安を少しずつかき消し、代わりに勇気を鼓動のように送り込んでいた。
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Scene.02 テントの中で
昼過ぎ、大三島の「台キャンプ場」に到着した4人は、協力してテントを張り終えると、簡易コンロで炊いたご飯とスキレットで焼いた肉を囲んだ。
夜の帳が降りるころ、焚き火の炎がゆらめき、星空が果てしなく広がっていた。
「星、めっちゃ綺麗やな……」
彩花が空を見上げる。火の光に照らされた頬が赤い。
「ここまで空が広いと、自分がちっぽけに思えるよね」
結がそっと呟く。
「ちっぽけでもええんやで。風受けてるうちは、前向ける。な?」
彩花の言葉に、結は「うん」と微笑み返した。
悠真は焚き火を見つめていた。炎が映る瞳がゆらゆら揺れている。
(言いたい……もう逃げるのは嫌だ。ここでなら、きっと受け止めてもらえる)
大きく息を吸い込み、勇気を振り絞った。
「ボクの名前……“悠真”って、父さんがつけたんです。
“真っ直ぐに、悠々と生きてほしい”って意味らしいんですけど……正直、ずっと嫌いでした。
真っ直ぐなんて、生きられないと思ってたから」
焚き火がパチパチと音を立て、誰も言葉を挟まない。
「でも……この間、結さんと話して、思ったんです。
ボク、自分から逃げたくない。
“悠真”って名前、いつか好きになれるように……バイクに乗って、ちゃんと前を向きたいって」
その声は震えていたが、確かに強さを帯びていた。
結が穏やかに微笑む。
「いい名前じゃん。悠真ちゃんにすごく似合ってると思う」
彩花も頷き、真剣な眼差しで言った。
「せやな。“ボク”でも“私”でも、悠真ちゃんは悠真ちゃんや」
悠真は俯いたまま、頬が熱くなり、胸がいっぱいになる。
「……ありがとう。本当に、ありがとう」
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Scene.03 テント越しのやさしい声
深夜。
テントの外は静かで、波の音と虫の声だけが混じり合っていた。
皆が寝静まった後、凛のテントだけがまだ小さな灯りを灯していた。
ファスナーがかすかに揺れる。
「……起きてる?」
「ん、起きてるよ。入れば?」
悠真はそっとテントに入り、狭い空間で膝を抱えて座った。
言葉を探す間もなく、凛が先に口を開いた。
「……頑張ったね。今日」
その一言が胸に刺さり、涙がこみ上げる。
「ありがとう、凛ちゃん……もし、凛ちゃんがいなかったら、ボク……きっとこの旅にすら来れなかった」
凛はふっと笑い、悠真の肩にタオルケットをかけた。
「じゃあ、これからも一緒に走ろ。あたしたちだけの“正解”を、見つけるまでさ」
その優しさに、悠真の瞳から小さな涙が零れた。
(ボクは、もうひとりじゃない)
⸻
Scene.04 夜明けと共に
夜が明けると、瀬戸内の海は朝日に染まり、金色の光がテントを照らしていた。
焚き火の匂いがまだ残る空気の中、彩花が元気よく声を上げる。
「さ、今日も走るで~!」
結と凛が笑顔で応えた。
悠真はGROMのミラーに映る自分を見つめ、深く息を吸った。
(昨日よりも、ボクは少し強くなった)
「……“悠真”で、よかった」
GROMのエンジンが軽やかに響く。
4人の心は、昨日よりもさらに強く結ばれていた。
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――名前は、風に乗って、
ゆっくりと、自分の居場所を教えてくれる。
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