しまなみブルー ー風のSHIFTー 〜中型で挫折した元バイク女子が原付二種に乗ったら仲間と出会って友情も恋も人生も全部シフトアップしてた件〜
通りすがりのしまなみライダーTAKA☆
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第60話 『 運命の日 〜しまなみブルーの長い一日〜 PART2』
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Scene.03 疾走の決意と対峙
時を少し遡る。悠真が父と対峙していたまさにその頃――
水野邸へと続く静かな県道を、2台のバイクが颯爽と走っていた。
ジスペケの軽やかな排気音。その背後には、ずんぐりとしたフォルムのハンターカブが続く。
前を走るのは瀬戸結、後ろは伊吹彩花。互いに息の合った走行ラインだった。
「しかし思い切ったなぁ~。あの二人のためとはいえ、ちょっと入れ込み過ぎちゃうん?」
インカム越し、彩花の声が軽く響いた。
「そうかも。でも……それでも、いいと思ってる」
結の声は、落ち着いていたが、確かな意志に満ちていた。
「私、昔は自分に自信がなかったんだよ。覚えてる? 彩花さん、前に言ってたでしょ?『ウチの会社入ったとき、頼りなさそうって思っとった』って」
「あー……そないなこと言うたかも知れんな~」
照れ笑い混じりの返事。
「でも今は違うやろ? 結ちゃん、立派に変わったで」
「……私自身はまだまだだけど。でも、あの頃よりは強くなれたって思う。バイクや、隼人くん。それに凛ちゃんや、彩花さんや、悠真ちゃん――仲間が私を変えてくれたの」
「……」
「だからね。私はもう、今の日常を失いたくない。みんなで走って、笑って、たまに喧嘩もして、でも一緒にキャンプして……そんな風に、一緒に前に進んでいきたいの」
結の声は少し震えていたが、それでも迷いはなかった。
「それを守るためなら、私にできることは何でもする。今回だけは、私が前に出る番だって思ったの」
インカムの向こうで彩花は小さく笑う。
「……結ちゃん、ほんま立派になったなぁ。……ウチが男やったら惚れてまうかも」
「……やめてよ、からかわないで」
結は少し笑いながらも、視線は水野邸へと向けていた。
「でも、昨日も言うたけど……突撃やなんて、ホンマ思いきったな~。普通、根回しとか作戦とか考えるんちゃう?」
「うん。でも……悠真ちゃんのお父さん、武道家でしょ?」
「せやな。確か、段持ちって聞いたで?」
「だから通じると思ったの。策じゃなくて、気持ちでぶつかる方がいいって。正面から、正直に。逃げずに話すしかないって……そう思って」
「……うん、なるほどな。あ、見えてきた。あれが水野邸やね」
二人のバイクは、ゆっくりと減速し、水野邸の前で止まった――その瞬間。
「結さんっ!!」
駆け下りてきた一人の少年が、表の通りに飛び出してきた。
「悠真ちゃん!?」
結が驚きと共にヘルメットを外す。
目の前に現れた悠真は、荒い呼吸のまま駆け寄ってくる。
その目には、強い焦りと決意が入り混じった光が宿っていた。
「凛が! 凛が大変なんです!!」
その言葉に、結の全身が電流に打たれたかのように強張った。
「……!」
すぐに事情を察した結は、ジスペケのハンドルに手をかけた。
「悠真ちゃん、乗って!」
「えっ!?」
「乗って! 時間がないんでしょ!?」
「で、でもっ……それ、結さんの大事なバイクじゃ……!」
「大丈夫。悠真ちゃんなら壊さないって、信じてるから」
「でも……っ!」
「それに、もし壊れたとしても……私、後悔しないと思うの。今は、それよりも大事なことがある」
「……結さん……!」
涙を滲ませながら、悠真は深く頷いた。
「ありがとう……! ありがとう!!」
そう言って結の差し出したヘルメットを受け取り、ジスペケに跨がる。
エンジンが唸りを上げると同時に、悠真の身体は風を切って駆け出していった。
「……結ちゃん、ええの?」
隣で彩花が尋ねる。
結は、風にさらわれたジスペケの背中を見つめたまま、静かに答える。
「……私、最近ね。悠真ちゃんの後ろを走ってると、凛ちゃんを重ねてしまうことがあるんだ」
「……それって……」
「今の悠真ちゃん、多分……私よりずっと、上手いよ」
「……」
「だから、大丈夫。あの子なら、絶対に――間に合う」
そう話す結、だが心の中で。
(もう!一体あの人何やってるのよ!)
その目には怒りが宿っていた。結はスマホを取り出し、LINEを立ち上げ、ある人物に短く連絡を送る。
“お願い。動いて”
「……これで、よしっと」
「誰に送ったん?」
「ん~。"波工のヤンクミ"って呼ばれてる人?」
「…………そんな二つ名持っとる人と知り合いやなんて、結ちゃん、あんた何者!?」
「え? ただのOLだけど?」
くすっと笑ってウインクする結に、彩花が盛大にズッコケそうになった。
「それ、誰もが一度は言ってみたいセリフや!」
「ふふ。……でも、凛ちゃんのことは悠真ちゃんとあの人に任せればきっと大丈夫。私たちは、今やるべきことを――」
その時、背後から人の気配がした。
振り向いた結の目の前に立っていたのは――
「……悠真くんのお父さん、ですよね?」
背筋を伸ばし、静かに頭を下げる結。
「はじめまして。瀬戸結と申します。今日は……お話があって、伺いました」
To be Continued...
時を少し遡る。悠真が父と対峙していたまさにその頃――
水野邸へと続く静かな県道を、2台のバイクが颯爽と走っていた。
ジスペケの軽やかな排気音。その背後には、ずんぐりとしたフォルムのハンターカブが続く。
前を走るのは瀬戸結、後ろは伊吹彩花。互いに息の合った走行ラインだった。
「しかし思い切ったなぁ~。あの二人のためとはいえ、ちょっと入れ込み過ぎちゃうん?」
インカム越し、彩花の声が軽く響いた。
「そうかも。でも……それでも、いいと思ってる」
結の声は、落ち着いていたが、確かな意志に満ちていた。
「私、昔は自分に自信がなかったんだよ。覚えてる? 彩花さん、前に言ってたでしょ?『ウチの会社入ったとき、頼りなさそうって思っとった』って」
「あー……そないなこと言うたかも知れんな~」
照れ笑い混じりの返事。
「でも今は違うやろ? 結ちゃん、立派に変わったで」
「……私自身はまだまだだけど。でも、あの頃よりは強くなれたって思う。バイクや、隼人くん。それに凛ちゃんや、彩花さんや、悠真ちゃん――仲間が私を変えてくれたの」
「……」
「だからね。私はもう、今の日常を失いたくない。みんなで走って、笑って、たまに喧嘩もして、でも一緒にキャンプして……そんな風に、一緒に前に進んでいきたいの」
結の声は少し震えていたが、それでも迷いはなかった。
「それを守るためなら、私にできることは何でもする。今回だけは、私が前に出る番だって思ったの」
インカムの向こうで彩花は小さく笑う。
「……結ちゃん、ほんま立派になったなぁ。……ウチが男やったら惚れてまうかも」
「……やめてよ、からかわないで」
結は少し笑いながらも、視線は水野邸へと向けていた。
「でも、昨日も言うたけど……突撃やなんて、ホンマ思いきったな~。普通、根回しとか作戦とか考えるんちゃう?」
「うん。でも……悠真ちゃんのお父さん、武道家でしょ?」
「せやな。確か、段持ちって聞いたで?」
「だから通じると思ったの。策じゃなくて、気持ちでぶつかる方がいいって。正面から、正直に。逃げずに話すしかないって……そう思って」
「……うん、なるほどな。あ、見えてきた。あれが水野邸やね」
二人のバイクは、ゆっくりと減速し、水野邸の前で止まった――その瞬間。
「結さんっ!!」
駆け下りてきた一人の少年が、表の通りに飛び出してきた。
「悠真ちゃん!?」
結が驚きと共にヘルメットを外す。
目の前に現れた悠真は、荒い呼吸のまま駆け寄ってくる。
その目には、強い焦りと決意が入り混じった光が宿っていた。
「凛が! 凛が大変なんです!!」
その言葉に、結の全身が電流に打たれたかのように強張った。
「……!」
すぐに事情を察した結は、ジスペケのハンドルに手をかけた。
「悠真ちゃん、乗って!」
「えっ!?」
「乗って! 時間がないんでしょ!?」
「で、でもっ……それ、結さんの大事なバイクじゃ……!」
「大丈夫。悠真ちゃんなら壊さないって、信じてるから」
「でも……っ!」
「それに、もし壊れたとしても……私、後悔しないと思うの。今は、それよりも大事なことがある」
「……結さん……!」
涙を滲ませながら、悠真は深く頷いた。
「ありがとう……! ありがとう!!」
そう言って結の差し出したヘルメットを受け取り、ジスペケに跨がる。
エンジンが唸りを上げると同時に、悠真の身体は風を切って駆け出していった。
「……結ちゃん、ええの?」
隣で彩花が尋ねる。
結は、風にさらわれたジスペケの背中を見つめたまま、静かに答える。
「……私、最近ね。悠真ちゃんの後ろを走ってると、凛ちゃんを重ねてしまうことがあるんだ」
「……それって……」
「今の悠真ちゃん、多分……私よりずっと、上手いよ」
「……」
「だから、大丈夫。あの子なら、絶対に――間に合う」
そう話す結、だが心の中で。
(もう!一体あの人何やってるのよ!)
その目には怒りが宿っていた。結はスマホを取り出し、LINEを立ち上げ、ある人物に短く連絡を送る。
“お願い。動いて”
「……これで、よしっと」
「誰に送ったん?」
「ん~。"波工のヤンクミ"って呼ばれてる人?」
「…………そんな二つ名持っとる人と知り合いやなんて、結ちゃん、あんた何者!?」
「え? ただのOLだけど?」
くすっと笑ってウインクする結に、彩花が盛大にズッコケそうになった。
「それ、誰もが一度は言ってみたいセリフや!」
「ふふ。……でも、凛ちゃんのことは悠真ちゃんとあの人に任せればきっと大丈夫。私たちは、今やるべきことを――」
その時、背後から人の気配がした。
振り向いた結の目の前に立っていたのは――
「……悠真くんのお父さん、ですよね?」
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