しまなみブルー ー風のSHIFTー 〜中型で挫折した元バイク女子が原付二種に乗ったら仲間と出会って友情も恋も人生も全部シフトアップしてた件〜
通りすがりのしまなみライダーTAKA☆
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第68話 『 運命の日 〜しまなみブルーの長い一日〜 PART10』
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Scene.11 事件の収束と告白
数分後、警察の到着を待たずして波方工業高校の校舎裏には沈静の空気が漂っていた。
事件は、桐生玲子によって「集団婦女暴行未遂事件」として処理される方針となった。拘束された井原と取り巻きたちの前には、玲子お得意の「結束バンド拘束術」で身体を縛られた哀れな男どもがずらりと並ぶ。
それを目の当たりにして、凛と悠真は思わず顔を引きつらせた。
「うわぁ……」
「えぐい……」
凛と悠真の同時の反応に、玲子は自信満々に腕を組み、言い放つ。
「何を言う。ロープなんかより嵩張らないし、敵を効率よく拘束するにはコイツが一番安上がりなんだぞ。結束バンドは100均でも買えるしな。だがこれは長年やってきた私だからこそ出来る拘束する相手にとってはとても危険な技だ。くれぐれも真似するなよ?」
「「しません!!」」
二人の声が完璧なユニゾンで響いた。
そんなやり取りの後、ふと悠真が玲子に尋ねた。
「今度もボク……謹慎ですかね?」
その声にはどこか諦めが滲んでいた。凛がすぐさま心配そうに隣に寄る。
しかし玲子は力強く首を振った。
「大丈夫だ、三浦。お前はまた橘を守った。正しいことをした。それだけだ」
「先生……」
「今回は私が何とかしてやる。佐田岬の一件では私が間に合わなかったせいで、お前にあんな思いをさせちまった。本当に、すまん」
悠真はすぐに首を振って笑顔を見せた。
「いえ、全然そんな……!あの後、先生がいつも気にかけてくれて、ボク、本当に感謝してるんです!」
その笑顔は太陽のように無垢でまぶしく、玲子は思わず息を呑む。
「ぐっ……! お前、その笑顔は危険だから、他の女子には絶対に向けるなよ……?」
「??」
悠真が小首をかしげると、凛が思わず吹き出した。
「ふふっ……」
玲子は気を取り直し、拘束された井原に視線を落とす。
「しかしまさか、佐田岬の件までコイツの仕込みだったとはな……。この事件、思った以上に根が深そうだ」
その言葉に井原はうつむいたまま、何も言わなかった。
凛は何かを思い立ったように歩を進め、拘束された男子生徒たちの前に立った。そして深く頭を下げた。
「本当にごめんなさい」
唐突な謝罪に、一人の男子生徒が目を丸くする。
「え?」
「……あたし、実は……」
凛は自分の過去と男性恐怖症について、静かに、しかしはっきりと語った。呼び出しに応じられなかったのは、悪意ではない。どうしても乗り越えられない心の傷があったのだと。
凛の打ち明けた告白に、拘束された男子生徒たちの表情が少しずつ変わっていく。最初は困惑、そして、次第に戸惑いが混ざった反省の色へと変わっていった。
一人の男子がぽつりと呟いた。
「……マジかよ。そんなこと……全然知らなかった」
続けて、別の男子が絞り出すように言う。
「そうだったのか……じゃあ、呼び出しに応じられなかったのも、仕方なかったんだな……」
玲子が彼らに向き直り、厳しくも穏やかな声で告げる。
「人にはそれぞれ事情がある。だが、お前たちはその事情を想像することもなく、自分の想いだけを押しつけた。相手の立場に立てなかった――それが、今回の騒動の根っこにあるんだ」
男子たちは言葉もなく、静かにうつむいた。
だが、沈黙を破ったのは、少し挑むような声だった。
「……だったらさ、三浦はどうなんだよ。あいつだって男だろ?」
その声に凛が息を呑んだ瞬間、悠真が一歩前に出て、凛の肩にそっと手を添えた。
「今度はボクが話す番だね」
「悠真……」
「凛が、あんなにも勇気を出して話してくれたのに……ボクだけが黙ってるなんて、そんなの、卑怯だもん」
そして、悠真は深呼吸し、皆の前で、自分がトランスジェンダーであることを、はっきりと明かした。
再び、静寂。
玲子が静かに目を細め、うなずく。
「……そうか。二人とも、よく話してくれたな」
彼女は集まる全員に向け、しっかりと言い切った。
「これでわかったろ。この二人は、表面の性別や過去の傷じゃなく、お互いの心を見て繋がった。誰に否定される筋合いもない、堂々たる絆だ」
誰も、何も返せなかった。ただ、黙ってその言葉を受け止めていた。
だがその瞬間、凛が鋭い視線で彼らを睨んだ。
「でもね……これだけは言わせてもらうわ。悠真をいじめたこと、GROMを奪ったこと……これだけは、絶対に許さないから」
凛の静かな怒りに、彼らは言葉を失った。
玲子は内心で微笑んだ。
(筋を通すか。ふふっ……結、お前の妹分たちは揃って、いい子たちだな)
そして玲子は井原に歩み寄り、鋭い視線で言った。
「お前の情報収集能力だったら、当然知っていたな。なのにそれを黙って他人を焚きつけた。その罪……万死に値するぞ。覚悟しとけよ、小僧!」
井原は恐怖で顔を引きつらせ、声にならない声を上げる。
その時だった。
「凛さん!」
振り返ると、そこには今にも泣き出しそうな顔をした琴音がいた。凛の元に駆け寄り、しがみつくように抱きしめる。
「凛さん、無事で良かった!本当に……良かった!」
「琴音……心配かけてごめんね」
「いいんです、凛さんさえ無事なら……それで……」
その様子を優しく見守る悠真が声を掛ける。
「琴音ちゃん、連絡くれてありがとうね。ボク、おかげで目が覚めたよ」
琴音は涙を拭いながら笑顔を見せた。
「悠真さんの戦い、この目で見ました! すごく……カッコよかったです!」
「そ、そう……ありがとう」
「もしわたしも凛さんみたいな目に遭ったら、同じように助けてくれますか?」
「うーん、それはどうかな?」
「もう!意地悪です!」
悠真は優しく微笑んだ。
「冗談だよ。琴音ちゃんも、ボクの大事な仲間だから。全力で助けるよ」
そして悠真の笑顔にやられた女子がここに一人。
「……えへへっ、悠真さん、その笑顔可愛いです!」
「そ、そう?ありがとう」
玲子が頭を抱える。
「おい三浦……だからその笑顔は他の女子に見せるなって言ったろうが!」
そしてついに、警察が現場に到着し、拘束された生徒たちは次々と連行された。
井原も連行される直前、凛が一歩踏み出す。
「ちょっと待って。井原に言いたいことがあるの」
井原が振り向く。
「……何だ?」
「さっき玲子先生が言ったこと、訂正させて。あんたの敗因は、あたしや玲子先生をナメてたことじゃない」
「なっ……なんだと!?」
玲子も興味深げに目を細めた。
凛は返却されたばかりのスマホを取り出し、画面に映った一枚の写真を井原に突きつけた。
「この子をナメてたことよ」
写真には、瀬戸結が微笑む姿が映っていた。
井原の顔が引きつる。
「な……なんだと!? こいつは……瀬戸結とか言ったか……こ、この女は一体何者なんだ……!?」
凛は思わず吹き出しながら、井原にウィンクを送る。
「え?ただのOLだけど?」
その瞬間、井原の肩がガクリと落ちた。
To be Continued...
※caution‼:作中に玲子が行った結束バンドでの拘束術は親指壊死の可能性があり危険な為絶対真似しない様願います。
数分後、警察の到着を待たずして波方工業高校の校舎裏には沈静の空気が漂っていた。
事件は、桐生玲子によって「集団婦女暴行未遂事件」として処理される方針となった。拘束された井原と取り巻きたちの前には、玲子お得意の「結束バンド拘束術」で身体を縛られた哀れな男どもがずらりと並ぶ。
それを目の当たりにして、凛と悠真は思わず顔を引きつらせた。
「うわぁ……」
「えぐい……」
凛と悠真の同時の反応に、玲子は自信満々に腕を組み、言い放つ。
「何を言う。ロープなんかより嵩張らないし、敵を効率よく拘束するにはコイツが一番安上がりなんだぞ。結束バンドは100均でも買えるしな。だがこれは長年やってきた私だからこそ出来る拘束する相手にとってはとても危険な技だ。くれぐれも真似するなよ?」
「「しません!!」」
二人の声が完璧なユニゾンで響いた。
そんなやり取りの後、ふと悠真が玲子に尋ねた。
「今度もボク……謹慎ですかね?」
その声にはどこか諦めが滲んでいた。凛がすぐさま心配そうに隣に寄る。
しかし玲子は力強く首を振った。
「大丈夫だ、三浦。お前はまた橘を守った。正しいことをした。それだけだ」
「先生……」
「今回は私が何とかしてやる。佐田岬の一件では私が間に合わなかったせいで、お前にあんな思いをさせちまった。本当に、すまん」
悠真はすぐに首を振って笑顔を見せた。
「いえ、全然そんな……!あの後、先生がいつも気にかけてくれて、ボク、本当に感謝してるんです!」
その笑顔は太陽のように無垢でまぶしく、玲子は思わず息を呑む。
「ぐっ……! お前、その笑顔は危険だから、他の女子には絶対に向けるなよ……?」
「??」
悠真が小首をかしげると、凛が思わず吹き出した。
「ふふっ……」
玲子は気を取り直し、拘束された井原に視線を落とす。
「しかしまさか、佐田岬の件までコイツの仕込みだったとはな……。この事件、思った以上に根が深そうだ」
その言葉に井原はうつむいたまま、何も言わなかった。
凛は何かを思い立ったように歩を進め、拘束された男子生徒たちの前に立った。そして深く頭を下げた。
「本当にごめんなさい」
唐突な謝罪に、一人の男子生徒が目を丸くする。
「え?」
「……あたし、実は……」
凛は自分の過去と男性恐怖症について、静かに、しかしはっきりと語った。呼び出しに応じられなかったのは、悪意ではない。どうしても乗り越えられない心の傷があったのだと。
凛の打ち明けた告白に、拘束された男子生徒たちの表情が少しずつ変わっていく。最初は困惑、そして、次第に戸惑いが混ざった反省の色へと変わっていった。
一人の男子がぽつりと呟いた。
「……マジかよ。そんなこと……全然知らなかった」
続けて、別の男子が絞り出すように言う。
「そうだったのか……じゃあ、呼び出しに応じられなかったのも、仕方なかったんだな……」
玲子が彼らに向き直り、厳しくも穏やかな声で告げる。
「人にはそれぞれ事情がある。だが、お前たちはその事情を想像することもなく、自分の想いだけを押しつけた。相手の立場に立てなかった――それが、今回の騒動の根っこにあるんだ」
男子たちは言葉もなく、静かにうつむいた。
だが、沈黙を破ったのは、少し挑むような声だった。
「……だったらさ、三浦はどうなんだよ。あいつだって男だろ?」
その声に凛が息を呑んだ瞬間、悠真が一歩前に出て、凛の肩にそっと手を添えた。
「今度はボクが話す番だね」
「悠真……」
「凛が、あんなにも勇気を出して話してくれたのに……ボクだけが黙ってるなんて、そんなの、卑怯だもん」
そして、悠真は深呼吸し、皆の前で、自分がトランスジェンダーであることを、はっきりと明かした。
再び、静寂。
玲子が静かに目を細め、うなずく。
「……そうか。二人とも、よく話してくれたな」
彼女は集まる全員に向け、しっかりと言い切った。
「これでわかったろ。この二人は、表面の性別や過去の傷じゃなく、お互いの心を見て繋がった。誰に否定される筋合いもない、堂々たる絆だ」
誰も、何も返せなかった。ただ、黙ってその言葉を受け止めていた。
だがその瞬間、凛が鋭い視線で彼らを睨んだ。
「でもね……これだけは言わせてもらうわ。悠真をいじめたこと、GROMを奪ったこと……これだけは、絶対に許さないから」
凛の静かな怒りに、彼らは言葉を失った。
玲子は内心で微笑んだ。
(筋を通すか。ふふっ……結、お前の妹分たちは揃って、いい子たちだな)
そして玲子は井原に歩み寄り、鋭い視線で言った。
「お前の情報収集能力だったら、当然知っていたな。なのにそれを黙って他人を焚きつけた。その罪……万死に値するぞ。覚悟しとけよ、小僧!」
井原は恐怖で顔を引きつらせ、声にならない声を上げる。
その時だった。
「凛さん!」
振り返ると、そこには今にも泣き出しそうな顔をした琴音がいた。凛の元に駆け寄り、しがみつくように抱きしめる。
「凛さん、無事で良かった!本当に……良かった!」
「琴音……心配かけてごめんね」
「いいんです、凛さんさえ無事なら……それで……」
その様子を優しく見守る悠真が声を掛ける。
「琴音ちゃん、連絡くれてありがとうね。ボク、おかげで目が覚めたよ」
琴音は涙を拭いながら笑顔を見せた。
「悠真さんの戦い、この目で見ました! すごく……カッコよかったです!」
「そ、そう……ありがとう」
「もしわたしも凛さんみたいな目に遭ったら、同じように助けてくれますか?」
「うーん、それはどうかな?」
「もう!意地悪です!」
悠真は優しく微笑んだ。
「冗談だよ。琴音ちゃんも、ボクの大事な仲間だから。全力で助けるよ」
そして悠真の笑顔にやられた女子がここに一人。
「……えへへっ、悠真さん、その笑顔可愛いです!」
「そ、そう?ありがとう」
玲子が頭を抱える。
「おい三浦……だからその笑顔は他の女子に見せるなって言ったろうが!」
そしてついに、警察が現場に到着し、拘束された生徒たちは次々と連行された。
井原も連行される直前、凛が一歩踏み出す。
「ちょっと待って。井原に言いたいことがあるの」
井原が振り向く。
「……何だ?」
「さっき玲子先生が言ったこと、訂正させて。あんたの敗因は、あたしや玲子先生をナメてたことじゃない」
「なっ……なんだと!?」
玲子も興味深げに目を細めた。
凛は返却されたばかりのスマホを取り出し、画面に映った一枚の写真を井原に突きつけた。
「この子をナメてたことよ」
写真には、瀬戸結が微笑む姿が映っていた。
井原の顔が引きつる。
「な……なんだと!? こいつは……瀬戸結とか言ったか……こ、この女は一体何者なんだ……!?」
凛は思わず吹き出しながら、井原にウィンクを送る。
「え?ただのOLだけど?」
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