しまなみブルー ー風のSHIFTー 〜中型で挫折した元バイク女子が原付二種に乗ったら仲間と出会って友情も恋も人生も全部シフトアップしてた件〜
通りすがりのしまなみライダーTAKA☆
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第100話 『それから PART6』
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Scene.12 今治オートセンター・週末の午後
――学生達の夏休みも間近に迫った週末の土曜日。
しまなみブルーのメンバーは今治オートセンターに集まっていた。
結は警察に押収されていた愛車ジスペケを隼人に整備に預けており、その回収も兼ねている。他のメンバーは理由を告げられないまま、結に呼び出されていた。
「なぁなぁ、ウチらも呼び出された理由って何なん?」
彩花が腕を組みながら訝しげに尋ねる。
「まぁ早い話がお披露目、かな?」
結はどこか含みのある笑顔を浮かべる。
「お披露目って、何のですか?」
琴音が小首をかしげる。
「それは後のお楽しみってね! ただ、一つだけ言えるのは、今回は悠真ちゃんに関係があるんだ」
「ボクの? 何だろう」
悠真は目を丸くした。
「あたしも聞かされてないんだよね。兄貴と結が裏で何かコソコソやってたのは確かだけど」
凛が疑いの眼差しを向ける。
「ホンマにぃ~? 何か如何わしい匂いがすんな~」
彩花がにやにやと肘で結を突く。
「如何わしくないから!! そんなので呼ばないから!!」
結が慌てて手を振ったその時、奥から隼人が姿を現した。
「よし、みんな集まってるな。結、準備は済んでいる」
「分かった! 案内してくれる?」
隼人に導かれ、整備工場の奥へ進む一同。
そして――。
⸻
Scene.13 真紅のニューマシン
そこに鎮座していたのは、一際存在感を放つ一台のマシンだった。
真紅と黒のツートーンで纏われたフルカウルスポーツ。
流れるようなシャープなカウルラインに、レーシーなロゴが刻まれている。ノーマルの存在感に加え、右側から覗くカーボンのヨシムラGP-MAGNUMサイクロンマフラーが輝きを放ち、レーシングサウンドを予感させる。さらにハンドルには鮮烈な赤色のエンデュランス製レバーが装着され、黒と赤の車体と見事に調和していた。
工場の蛍光灯に照らされたその姿は、まるで舞台に上がった王者のように凛としていた。
「21年式GSX-R125。俺のRと同じ年式の色違いだ。――悠真、お前のバイクだ」
「「「ええぇぇぇぇぇっ!!」」」
結と凛、そして悠真が同時に叫ぶ。
「……悠真や凛が驚くのは分かるが、結。お前が何で驚くんだ」
隼人が呆れ顔を向ける。
「だ、だって車種とか聞かされて無かったから! GROMかモンキーかな~と思ってたのに、まさかジスペケRなんて……!」
「まぁ車種の要望とか無かったからな。俺の好きでやらせて貰ったんだが、駄目だったか?」
「いえいえそんな! むしろグッジョブだよ!」
結はサムズアップを突き出す。
⸻
Scene.14 贈り物の真意
「は、隼人さん! それってどういう?」
悠真は混乱しながら問いかける。
「って言うかそれって悠真のバイクだったの? 何かいつもより丁寧に整備してるな~とは思ってたけど」
凛が納得したように呟いた。
「……まぁ順を追って説明するとな。悠真のGROMが盗まれたと知った結からの依頼でな。『GROMが無事に帰ってくる可能性が低い以上、悠真ちゃんにはきっと次の1台が必要になる。何とかならないかな』って。それで俺が次の1台を探していたわけだ」
「それで次の1台って……へ?」
悠真はまだ信じられないといった表情。
「こいつを松山のバイク屋で見付けた時、自然と悠真がこのバイクに乗ってる姿が想像出来たんだ。これは勘だが、きっとこの1台は悠真、お前にとって最高の相棒になる」
「……」
悠真の喉が熱くなる。
「悠真、これは凛を二度も救ってくれたお前に対する、俺達橘家からの礼だ。受け取ってくれないか?」
「兄貴……」
凛が目を潤ませる。
「そ、そんな!! いくら何でも受け取れません!!」
悠真は慌てて首を振る。
「……まぁお前だったらそう言うだろうと思ってた。だがな、悠真。俺達にとって凛はとても大切で大事な家族だ。それを救ってくれた礼としちゃ、ジスペケRはむしろ安いくらいだろう」
「……隼人さん……」
「それにな。お前も俺達にとっちゃ立派な家族だ。家族が困ってたら手を差し伸べるのは当然の事だろう?」
「……」
「これはな、俺と親父のせめてもの気持ちなんだ。受け取ってくれないか?」
「悠真……受け取ってあげて、お願い……」
振り返ると、凛は涙を零していた。
「あたし、ここまで兄貴や父さんに愛されてるなんて思いもしなかった。気が付けば何で一人で出来るって、そう思い込んでたんだ。だけど、今分かった。あたし、家族に支えられてた。決して今まで一人じゃ無かったんだ……」
「凛ちゃん……」
結はそっと凛を抱き寄せる。
凛は結の胸に顔を埋め、「兄貴、父さん、ありがとう……ありがとう……」と嗚咽を漏らした。
「……凛。分かったよ。隼人さん、このバイク、受け取らせて頂きます!」
悠真の声は震えていたが、確かな決意に満ちていた。
わあっと他のメンバーの歓声が響く。そこから、悠真の新しいバイク人生が幕を開けた。
「ええもん見られたな~ウチ感動したわ!」
彩花が涙を拭いながら笑う。
「ここまで互いを想い合えるなんて……皆さん素敵過ぎます!!」
琴音も目を潤ませていた。伊吹姉妹の頬に伝う涙は、祝福のしずくのようにきらめいていた。
To be Continued...
――学生達の夏休みも間近に迫った週末の土曜日。
しまなみブルーのメンバーは今治オートセンターに集まっていた。
結は警察に押収されていた愛車ジスペケを隼人に整備に預けており、その回収も兼ねている。他のメンバーは理由を告げられないまま、結に呼び出されていた。
「なぁなぁ、ウチらも呼び出された理由って何なん?」
彩花が腕を組みながら訝しげに尋ねる。
「まぁ早い話がお披露目、かな?」
結はどこか含みのある笑顔を浮かべる。
「お披露目って、何のですか?」
琴音が小首をかしげる。
「それは後のお楽しみってね! ただ、一つだけ言えるのは、今回は悠真ちゃんに関係があるんだ」
「ボクの? 何だろう」
悠真は目を丸くした。
「あたしも聞かされてないんだよね。兄貴と結が裏で何かコソコソやってたのは確かだけど」
凛が疑いの眼差しを向ける。
「ホンマにぃ~? 何か如何わしい匂いがすんな~」
彩花がにやにやと肘で結を突く。
「如何わしくないから!! そんなので呼ばないから!!」
結が慌てて手を振ったその時、奥から隼人が姿を現した。
「よし、みんな集まってるな。結、準備は済んでいる」
「分かった! 案内してくれる?」
隼人に導かれ、整備工場の奥へ進む一同。
そして――。
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Scene.13 真紅のニューマシン
そこに鎮座していたのは、一際存在感を放つ一台のマシンだった。
真紅と黒のツートーンで纏われたフルカウルスポーツ。
流れるようなシャープなカウルラインに、レーシーなロゴが刻まれている。ノーマルの存在感に加え、右側から覗くカーボンのヨシムラGP-MAGNUMサイクロンマフラーが輝きを放ち、レーシングサウンドを予感させる。さらにハンドルには鮮烈な赤色のエンデュランス製レバーが装着され、黒と赤の車体と見事に調和していた。
工場の蛍光灯に照らされたその姿は、まるで舞台に上がった王者のように凛としていた。
「21年式GSX-R125。俺のRと同じ年式の色違いだ。――悠真、お前のバイクだ」
「「「ええぇぇぇぇぇっ!!」」」
結と凛、そして悠真が同時に叫ぶ。
「……悠真や凛が驚くのは分かるが、結。お前が何で驚くんだ」
隼人が呆れ顔を向ける。
「だ、だって車種とか聞かされて無かったから! GROMかモンキーかな~と思ってたのに、まさかジスペケRなんて……!」
「まぁ車種の要望とか無かったからな。俺の好きでやらせて貰ったんだが、駄目だったか?」
「いえいえそんな! むしろグッジョブだよ!」
結はサムズアップを突き出す。
⸻
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「は、隼人さん! それってどういう?」
悠真は混乱しながら問いかける。
「って言うかそれって悠真のバイクだったの? 何かいつもより丁寧に整備してるな~とは思ってたけど」
凛が納得したように呟いた。
「……まぁ順を追って説明するとな。悠真のGROMが盗まれたと知った結からの依頼でな。『GROMが無事に帰ってくる可能性が低い以上、悠真ちゃんにはきっと次の1台が必要になる。何とかならないかな』って。それで俺が次の1台を探していたわけだ」
「それで次の1台って……へ?」
悠真はまだ信じられないといった表情。
「こいつを松山のバイク屋で見付けた時、自然と悠真がこのバイクに乗ってる姿が想像出来たんだ。これは勘だが、きっとこの1台は悠真、お前にとって最高の相棒になる」
「……」
悠真の喉が熱くなる。
「悠真、これは凛を二度も救ってくれたお前に対する、俺達橘家からの礼だ。受け取ってくれないか?」
「兄貴……」
凛が目を潤ませる。
「そ、そんな!! いくら何でも受け取れません!!」
悠真は慌てて首を振る。
「……まぁお前だったらそう言うだろうと思ってた。だがな、悠真。俺達にとって凛はとても大切で大事な家族だ。それを救ってくれた礼としちゃ、ジスペケRはむしろ安いくらいだろう」
「……隼人さん……」
「それにな。お前も俺達にとっちゃ立派な家族だ。家族が困ってたら手を差し伸べるのは当然の事だろう?」
「……」
「これはな、俺と親父のせめてもの気持ちなんだ。受け取ってくれないか?」
「悠真……受け取ってあげて、お願い……」
振り返ると、凛は涙を零していた。
「あたし、ここまで兄貴や父さんに愛されてるなんて思いもしなかった。気が付けば何で一人で出来るって、そう思い込んでたんだ。だけど、今分かった。あたし、家族に支えられてた。決して今まで一人じゃ無かったんだ……」
「凛ちゃん……」
結はそっと凛を抱き寄せる。
凛は結の胸に顔を埋め、「兄貴、父さん、ありがとう……ありがとう……」と嗚咽を漏らした。
「……凛。分かったよ。隼人さん、このバイク、受け取らせて頂きます!」
悠真の声は震えていたが、確かな決意に満ちていた。
わあっと他のメンバーの歓声が響く。そこから、悠真の新しいバイク人生が幕を開けた。
「ええもん見られたな~ウチ感動したわ!」
彩花が涙を拭いながら笑う。
「ここまで互いを想い合えるなんて……皆さん素敵過ぎます!!」
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