王弟が愛した娘ー音に響く運命ー現代パロ

Aster22

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必死の俺に、気づかない君

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必死の俺に、気づかない君
翌日、屋上にセラはいなかった。図書室にでも行ったのだろう
(折角漫画読んだのにな....)
「あれ、レオ戻って来たの?」
「いなかった。」
「あーあ。折角漫画読んだのにね。」
「何でお前が知ってる...」
「意外と分かりやすいんだよ、レオは。」
幼馴染のクシェルは家族と同じくらいの容赦ない。
「昨日セラにアレスと話してみればとか言われてなかった?」
「黙ってくれないか....」
あんなに鈍い女がいるなんて。惚れた女の男友達と話したい男なんていない。
「あ、噂をすれば。」
アレスがまた教室の前に立っている。
「何か用か?」
レオの目線に一瞬怯んだアレスは少し淀みながら答える。
「いや、セラはいるかと思って...」
「いない。諦めろ。」
「あら、アレス?」
何てタイミングで帰ってくるんだ。気軽に他の男を呼ぶ声に頭がおかしくなりそうになる。
「レオくんと漫画の話でもしてたの?」
「え、何で俺がレオポルトと....」
「だってレオくんが昨日読んでみたいって言うから貸したのよ。ね?」
「ああ、そうだな....」
後ろでクシェルが笑っているのを感じる。あいつめ。後で覚えていろ。
「そ、そうなんだ。俺はセラと昨日の話の続きをしようと思って....」
「そうなの?私図書室行ってたから。ごめんね。」
「いや、いいんだ。また今度....」
「セラ」
低く、呼べばセラが驚いてこちらを向いた。
「漫画の話なら菓子でも食べながらするか?中々面白かったぞ。あの白髪の男の戦闘は見応えがあった。」
「えっと、面白かったの?それならいいんだけど...」
「なあ。頭が痛い。保健室まで連れて行ってくれないか?」
「ええ、今話って....ごめんねアレス。」
アレスという男を睨みつけると後ろに引いていく。
「あ、いやいいんだ。気にしないで。」
逃げるように退散していく男を確認してもざわついた心は晴れない。
「眉間、すごい皺。そんなに頭痛いの?」
「ああ、痛い。だから早く保健室に行こう。」
「もう、そんなに痛いなら早く行けばいいのに....歩ける?」
「...何とかな。」
我ながら情けない。本気で心配しているセラを見て嬉しいなんて。
「はい、着いた。先生....あれ、いない。」
「横になりたいからベッドまで連れて行ってくれるか?」
「もう、それくらい1人で行けるでしょうに...」
ぶつぶつ言いながらも手を引いてくれるセラはやはり面倒見のいい長女だ。シャッツェルはさぞ懐くだろう。
「はい、寝てて。先生呼んでくるから。」
「ダメだ。お前が側にいないと回復しない。」
「何訳わかんないこと言ってんの。冷やす?」
「いい。ただの心労だ。それより漫画が面白かったのは本当だぞ?」
「そんなこと話してる場合?ていうか私授業行かないと。」
「なあ、何で今日屋上来なかったんだ?」
「しばらく図書室行ってなかったから本が読みたくなったのよ。」
「話をするの、楽しみにしてたんだ。」
「それは悪かったけど...漫画ならアレスとかじゃダメなの?」
やっと忘れた男の顔が蘇った。やはり埋めておくべきだったか。
「何でそんな顔するのよ。別に悪い人じゃないわよ?」
「.....お前と仲がいい男なんて面白い訳ないだろ。俺はお前と話したくて屋上に行ってるんだから。」
「友達多そうな顔してそんなにいないの?明日は屋上行くつもりだけど。」
何でこの女はこうも鈍いんだろう。今までの女ならこんなことを言えば舞い上がって彼女面だったはずなのに。
「なら明日は行く。菓子も持って行くからちゃんと来いよ。」
「私は行けるけどその頭痛をなんとかしなよ。じゃ、私教室戻るからね。」
「....分かった。」
これ以上引き止めたら嫌われる。分かってても腕を引きたくなる衝動と戦わねばならないのだ。
振り返りもせず保健室を出るセラを見つめていた。
 
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