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抱えた罪を、解く兄
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抱えた罪を、解く兄
セラは少しは歩けるようになったものの、まだ安静ということで荷馬車で横になりながらの移動となった。前回の件を受けて、厳重すぎる護衛の元、ベルシュタイン家へ向かって行く。
4年半ぶりの城。
もう10年以上前にも感じるあの城に、もう一度入るのだ。それも今度は正式に養女として。
傷だらけになった娘を見てエルシウス様はどう思われるだろうか。
(イザーク様.....)
一番会うのが楽しみで、会いたくない人。
私の裏切りの象徴だから。
レオ様にはああ言ったけれど、本当は不安でたまらなかった。
怪我人を連れていれば進行はどうしても遅くなる。ましてやベルシュタイン領は最西、コアルシオンとの界にある。
4日ほどかけて着いた門を見た時、心臓が止まったように感じた。変わらぬ城。花壇の花すら、ほとんど変わっていない。過ぎたのは、時だけだ。
「これはレオポルト殿下。お待ちしておりました。して、娘は?」
荷馬車の後ろから進み出る。
「お久しぶりでございます。エルシウス様。」
「....なるほど。確かに傷は酷いようだ。だが隠せそうな範囲ではあるな。しかと貰い受けた。
殿下もコアルシオン道中無事をお祈りしていますよ。」
情のあるような言葉に、無の感情。久々に感じるエルシウスの空気感が9年前、城に入った日を甦らせる。
「ああ。セラを....よろしく頼む。」
「我が家の娘です。丁重に扱いますよ。ご心配なく。」
レオがこちらを見た。話したい衝動を抑えた。必ず、また会える。話は、その時に。
「肋骨にヒビ、背中に裂傷、肩近くに傷はあるが足と頭部は無事か。上手く守ったな。」
「落ちる選択をしたからには生き残る術を考えなければなりませんでした。」
「お前のその直情さが無ければこれ程の災は起きなかったものを....イザーク。」
「はい、父上。」
「セラを連れて行け。それから医者を呼んで傷の確認、何日後に舞踏会を開けるかを聞いておけ。」
「それは....あまりに突然では。」
「ここに戻ってきた。それはそういうことだ。それに不満があるならここには置けん。」
「.....承知しました。」
エルシウスが去った。ずっと、ずっと謝りたかったこと。
肋骨の軋みも気にせずセラは額を地につけた。
「セラ!?」
「イザーク様、申し訳ありませんでした。私はイザーク様を裏切りました。イザーク様がお望みであれば私は喜んで自害いたします。」
「落ち着け、落ち着くんだセラ。俺は確かにショックだった。だがそれはお前の母親が俺を暗殺しようとしたからだ。お前はただ弟を守りたかった。」
「その身勝手な理由で私はこの恩あるベルシュタイン家に火を放ったのです。」
「...俺はいつもセラが必死で家族のために努力しているのを見ていたよ。弟の看病だって、寝る間もなかったのにやっていたじゃないか。
セラ、自分を責めてはいけない。あの時君はまだ16だったんだ。」
「ですが....」
ああ、自分は責めて欲しいのだ。愚かだった、罪を償えと。許してもらう方が、余程苦しいのだと、今になって気づく。
「王はこの件を不問とした。父は過去よりも今ある利益に目を向ける。それに.....」
イザークは少し気恥ずかしそうな顔をした。
「俺は、君を妹として迎え入れるのを楽しみにしていたんだ。兄妹もいないからね。あの時だって、正式でなかっただけで俺にとったら君は可愛い妹だった。」
知らなかった。エルシウス様に似てあまり表情の変わらないイザーク様。私がこの屋敷で疎外されていた時も、将来の妹だからと私を庇ってくれた人。
今は、以前に比べたら随分表情豊かになられた。
「.....私も、イザーク様を兄のように慕っていました。ですから母が、許せなかったのです。」
「知ってるよ。ヴィクトリア伯母は死んだ。メアベルも死んだんだろう?なら君はもう1人だ。与えられた環境を、受け入れればいい。」
「....私に、それが許されるでしょうか。」
「ああ。君が裏切ったと思っているのは俺なんだろう?そしてその俺はまだ君に妹になって欲しいと思っている。十分じゃないか?」
「はい....ありがとうございます。」
「.....驚いたな、セラが泣くなんて。」
「....申し訳ありません。」
「いや、いい意味だよ。王弟殿下が君を変えたんだろう。さあ、部屋に行こう。一応急だけど全て整えてある。」
セラは少しは歩けるようになったものの、まだ安静ということで荷馬車で横になりながらの移動となった。前回の件を受けて、厳重すぎる護衛の元、ベルシュタイン家へ向かって行く。
4年半ぶりの城。
もう10年以上前にも感じるあの城に、もう一度入るのだ。それも今度は正式に養女として。
傷だらけになった娘を見てエルシウス様はどう思われるだろうか。
(イザーク様.....)
一番会うのが楽しみで、会いたくない人。
私の裏切りの象徴だから。
レオ様にはああ言ったけれど、本当は不安でたまらなかった。
怪我人を連れていれば進行はどうしても遅くなる。ましてやベルシュタイン領は最西、コアルシオンとの界にある。
4日ほどかけて着いた門を見た時、心臓が止まったように感じた。変わらぬ城。花壇の花すら、ほとんど変わっていない。過ぎたのは、時だけだ。
「これはレオポルト殿下。お待ちしておりました。して、娘は?」
荷馬車の後ろから進み出る。
「お久しぶりでございます。エルシウス様。」
「....なるほど。確かに傷は酷いようだ。だが隠せそうな範囲ではあるな。しかと貰い受けた。
殿下もコアルシオン道中無事をお祈りしていますよ。」
情のあるような言葉に、無の感情。久々に感じるエルシウスの空気感が9年前、城に入った日を甦らせる。
「ああ。セラを....よろしく頼む。」
「我が家の娘です。丁重に扱いますよ。ご心配なく。」
レオがこちらを見た。話したい衝動を抑えた。必ず、また会える。話は、その時に。
「肋骨にヒビ、背中に裂傷、肩近くに傷はあるが足と頭部は無事か。上手く守ったな。」
「落ちる選択をしたからには生き残る術を考えなければなりませんでした。」
「お前のその直情さが無ければこれ程の災は起きなかったものを....イザーク。」
「はい、父上。」
「セラを連れて行け。それから医者を呼んで傷の確認、何日後に舞踏会を開けるかを聞いておけ。」
「それは....あまりに突然では。」
「ここに戻ってきた。それはそういうことだ。それに不満があるならここには置けん。」
「.....承知しました。」
エルシウスが去った。ずっと、ずっと謝りたかったこと。
肋骨の軋みも気にせずセラは額を地につけた。
「セラ!?」
「イザーク様、申し訳ありませんでした。私はイザーク様を裏切りました。イザーク様がお望みであれば私は喜んで自害いたします。」
「落ち着け、落ち着くんだセラ。俺は確かにショックだった。だがそれはお前の母親が俺を暗殺しようとしたからだ。お前はただ弟を守りたかった。」
「その身勝手な理由で私はこの恩あるベルシュタイン家に火を放ったのです。」
「...俺はいつもセラが必死で家族のために努力しているのを見ていたよ。弟の看病だって、寝る間もなかったのにやっていたじゃないか。
セラ、自分を責めてはいけない。あの時君はまだ16だったんだ。」
「ですが....」
ああ、自分は責めて欲しいのだ。愚かだった、罪を償えと。許してもらう方が、余程苦しいのだと、今になって気づく。
「王はこの件を不問とした。父は過去よりも今ある利益に目を向ける。それに.....」
イザークは少し気恥ずかしそうな顔をした。
「俺は、君を妹として迎え入れるのを楽しみにしていたんだ。兄妹もいないからね。あの時だって、正式でなかっただけで俺にとったら君は可愛い妹だった。」
知らなかった。エルシウス様に似てあまり表情の変わらないイザーク様。私がこの屋敷で疎外されていた時も、将来の妹だからと私を庇ってくれた人。
今は、以前に比べたら随分表情豊かになられた。
「.....私も、イザーク様を兄のように慕っていました。ですから母が、許せなかったのです。」
「知ってるよ。ヴィクトリア伯母は死んだ。メアベルも死んだんだろう?なら君はもう1人だ。与えられた環境を、受け入れればいい。」
「....私に、それが許されるでしょうか。」
「ああ。君が裏切ったと思っているのは俺なんだろう?そしてその俺はまだ君に妹になって欲しいと思っている。十分じゃないか?」
「はい....ありがとうございます。」
「.....驚いたな、セラが泣くなんて。」
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