≪花の降る午後≫

dreams

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≪セカンドステージ!≫

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ここに一人、志し半ばで夢破れた板前がいた。

彼は、板前になる前、フィギュアスケートでのオリンピック出場を夢見ていた。

だが、何の因果か今は全く畑違いのこの職に就いた訳だが、彼は潰えた夢を体現すべく日夜仕事に励んでいた。

そう!
彼が目指すのは、いまだかつてない画期的且つ斬新な【回転寿司】のスタイル。

彼は、そもそものレーンが回転し、それで寿司が運ばれて来るという様式を根本から変えるべく、回転するレーンの上で運ばれて来る寿司自体が、6種類のジャンプで観客を魅了するよう努力を重ねていた。

6種類の難易度は、トゥループ/サルコウ/ループ/フリップ/ルッツ/アクセルの順だ!

彼は、何度も何度も試作を重ねた。

サルコウまでは、まま順調であるも最高難度のトゥループとなると、やはりシャリが空中分解し客席に酢飯のスプリンクラー状態になってしまい、今まで数十度のクレームを貰い受けた。

また、彼が考える演目は、レーンに寿司が置かれてスタートし、中枢の折り返し地点を経由し、フィナーレのゴールへとなだれ込むまでの全てが、芸術でなければならない。

それには、緩急が必要であり、始めっからトゥループの大技を出すのではなく、アクセル/ルッツ/フリップの低難度の技を駆使しながらの、突発性のウルトラトゥループが必要であった。

幾度も幾度も脳裏に蘇る、大技を失敗し客の顔面全身が、酢飯のスプリンクラーを浴び、何度も何度も客の前で土下座し頭を下げたあの苦い日々を。

酢飯が急速回転で空中分解せぬよう、その握り方/酢の量などには研究に研究が施された。

1つの寿司がレーンに置かれる瞬間、店内のライトが全消灯し、ショーの始まりを告げるマイクパフォーマンス🎤

開始から、フラッシュライトや色取り取りのレーザー光線が、鮮やかに寿司を彩る!

実況と解説が息の合った所を見せる。

ショーの途中、観客あるいは注文主がそれを遮って皿を取ろうなどという事は、絶対に許されない!

華麗な大技が決まった瞬間、客席からはショーの邪魔をしない静かな歓声と安堵のため息が漏れる。

演目が終わり、カーテンの向こうに消えた寿司は控え室で、観客審査員の採点を待つ!

点数が出た瞬間、歓喜の声を上げ監督と抱擁し合う寿司。
また、落胆の表情を浮かべ監督の膝で静かに泣く寿司。

悲喜交々である。

自らが注文した、寿司が高得点だったのを食べる客。
低得点だったのを食べる客。

一説には、哀しみの感情に浸った寿司の方が、通好みのほろ苦さがあって美味しいとか。

さぁ、今日も開店『フィギュア寿司🍣』

「いらっしゃい❗」。。。




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