6 / 68
忍の里
しおりを挟むそして、その『御影』の名を引き継いだのは俺だった。
即ち、それはエリート忍者の特殊部隊- 鴉 - の部隊長、氷雨の上司に必然的に当たるわけなんだよね。もちろん、実力で就いた地位だけど…
やっぱり、最初は元、人の子というのもあって嫌味を言われたり… とにかく嫌がらせが多かった。
…だけど、
元は忍の家系だった俺は年が幼くても… 小さな子供でも立派な忍なわけで、もちろん道具も使い慣れているし、運動神経ともに反射神経にも優れていた俺は…
気がついたときには頭を下げられる側になっていた。
そしてなぜか、御影様って呼ばれるようになっていたんだよね。最初は断っていたよ?
だけど…
皆が皆、御影様って呼んでキリがないし、呼ばれる度に指摘するのも面倒くさい。もういいや… と、こっちが根負けし、今じゃ、御影の名を正式に引き継ぎ、火月様のお側付き忍となった。
もちろん、実力あってのことなんだけどね…
普通ならありえないことだと思うけど、うちの里… ううん、生まれた里はとにかくハード。子供は物心がつく前に一人前に人を殺せて当たり前。
……だからかもしれない。
あの里で『優しさ』というモノに触れたことがなかったのは-
ただ、一度も笑ったことがなかった母が、里の外からやってきた男の人に初めて笑ったのをよく覚えている…
照れたように笑っている母を見たのは…
その一度きりだった。
その男の人を母は確かこう呼んでいた
『辰彦(たつひこ)さん』
.
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
139
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる