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やめろ。廊下が血の海になる!
しおりを挟む教室を出て、呼ばれた化学室へと向かう
ピシャン!
後ろ手で扉を閉め、前を見据えるとさっきまでの笑顔を消し、腕を組んだ氷室センセーが迎えてくれる。
そのスラリとした長身を黒のスーツで身を包み… 一番長いところで首の付け根まである闇色の髪は無造作に切られていて、
それさえも妙に洗練されて見える。瞳も同色で肌の色は陶器のように白く、造形物のように美しいが、無表情になると全身から氷のような冷たさが漂う。氷室センセーは無表情で俺を見据えた。
「さっきのアレは如何なものかと…」
「あ?なんだ、呼んだ用ってのはお小言、言うためかよ?」
なに、こいつまであのマリモに堕ちたわけ?
俺の怪訝な顔に気づいたのか、目の前の奴は不快げに眉をひそめた。
「彼、殺しても構いませんか」
目障りです、と淡々と告げる氷室に溜息が漏れる
「いや、駄目に決まってんだろ。つか、え、なに。お前、マリモに堕ちたわけじゃねぇのかよ」
「あれはただの害虫でしょう。
害虫を排除するのも主に仕える執事の役目ですから」
「へぇ… 俺を殺そうとした元暗殺者の口からそんな言葉が聞けるとは感動もんだな?つか、やめろ。お前の場合、マジで洒落になんねぇから。
廊下が血の海になる」
想像するだけでげんなりする…
「んで、ほんとのところは?」
ま、大体想像ついてるけど。
「一目見るなり友達だと言われました。いくら私が教師だからと言っても友達の一点張りで…
心底、鬱陶しいです」
うわー…。さすがマリモ。
「ぶふっ!いいんじゃねぇの?今までその稼業で友達いなかったんだし?」
おっと、やっべ…
笑いが止まんねぇや!
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