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とある日常――‥
しおりを挟む『…………なぁ、雪城。
お前さぁ、俺の… 私物とか触ってねぇよな?』
『は?いきなり何ですか。そもそも、なぜ私があなたの私物を触る必要が?』
怪訝な顔をする雪城に、俺はやっぱり思い過ごしかと頭を横に振る‥
『いや、わりぃ。なんていうか、最近俺の私物が微妙に配置が変わってる気がしてな。
お前の親衛隊の嫌がらせかと思ったけど、見ても汚されたりしてねぇし。寧ろ、ペンケースとかピカピカの新品になってるっていうか… 私物なんだけど俺の私物じゃないっていうか、そっくりさんになってるっていうか…
言ってる俺もよくわかんねぇけど、なんていうか気持ち悪くてさぁ』
(チラッ)『………あなたの、ただの思い過ごしじゃないですか』
『そうだよな… やっぱ俺の思い過ごしだよな…悪かったな。雪城。つまらねぇ話に付き合わせちまって』
そうだよな、と無理やり自分を納得させている俺は気付かなかった。
棒読みで答えた雪城の視線の先に…
『えへへっ 亜希くんが使ってるシャーペン‥ ゲット!』
『うちの人間ってほんっとにアイツが好きだよなぁ… まぁ、俺は稼げるからいいけど。次は何を競売にかけっかなぁ』
廊下の死角からこちら覗く
シャーペンを宝物のように触る学園長の秘書と‥
次の競売にかける商品(亜希の私物)を品定めする担任と…
『野崎くん…』
うっとりした顔で影から亜希を見つめる自分の親衛隊隊長だった須藤の、
三人の存在を。
そして、
雪城がそれを面白そうに… けども、俺に心底同情した目を向けていることなど、俺は知るよしもなかった。
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