平凡くんの憂鬱

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亜希は可愛い――‥ 彼方side

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――彼方side

「亜希っっ!!!」


皇一族は裏ではかなり名前を知られた一族だ。ただでさえ、敵が多いというのに亜希は言ってしまった。当主だと名乗る亜希… そんなにもこいつらを信じきっているのか?よりによって、こんな奴らに…。

正直、こいつらを疎ましく思っていた俺は生徒会の連中を睨みつけると、今度は亜希に いい加減にしろと溜め息つかれた。


亜希は可愛い。

亜希は俺の兄貴で、一族の中で唯一平凡な顔つきをしている。本人は一族の中で疎まれていないのを不思議がっているが、逆になぜそう思うのか疑問だ。


確かに、容姿は並みだと思う。

だが、本人は気づいてないんだろう。時々見せるあどけなさとか無邪気なところとか、不意に見せる笑顔とか、困惑した表情だって俺からすれば可愛くて仕方がない。


だから、許せなかった。

あの亜希が普段見せたことがない… 


『こーちゃん!』と電話相手に嬉しそうに少し甘えているようにも聞こえる声に耳を疑った。

羨ましいと思った。
俺にもあんな風に… と思っていたら、


『そもそも、うちの一族はいろいろ複雑過ぎて面倒くせぇんだよ。当主だって、んなもん興味も何もなかったってのに、身内同士での派閥争いに一人の女を巡って血で血を染める殺し合い…

いい加減、うんざりして追放したり色々したら今度は俺が当主にって… 
成り行きでなっただけだし。俺としたら、ふざけんなって気持ちなんだわ。わかる?

おまけに、一族が揃いも揃ってストーカー気質とか、唯一のまともだと思ってた弟がヤンブラとか、ぶっちゃけ知らねぇし、本気でやってられねーんだけど』


生徒会相手に愚痴り始めた亜希に驚きを隠せなかった。

そんなふうに思っていたのかと改めて知った亜希の気持ち…。
だが、そんなことを認めたくなくて――‥ 


俺はにっこり笑った

「亜希!」

「亜希が無事で本当によかった」


俺の言葉に、心配かけて悪かったと言う亜希の申し訳なさそうな表情に、ぐっと来るものがある…。なんて鬼の風紀委員長で知られてる俺は今までなら決して表に出して来なかったが、

可愛くて、勝手に抱え込んで無茶ばかりする… 俺のそんな心配する気持ちを他所に、俺の知らないところで知らない人間に親しげに話す亜希に嫉妬して、今はまだ渡すつもりはなかったが、つい 包み袋を亜希に渡した。


そんな俺と包み袋を不思議そうに見て来る生徒会、


「何だ…?」

そして怪訝げに、けども俺からの突然のプレゼントに亜希から戸惑いの声があがる。

がさごそ、と袋から取り出した亜希が手に取ったのは俺が特注で作らせた… 赤い首輪。否、チョーカーだった。


「……………」

「「「……………」」」


ん?なぜだろう。喜んでくれると思ったが、亜希は微動だにしなくなった。なぜか、生徒会の奴らも一言も口を開かない。

そして、恐ろしいばかりに静寂に包まれた…


――‥ と思えば、

いち早く立ち直ったのは亜希で…

《ベシッ!》

ていっ!と、割と本気で床に叩きつけた亜希に、そんな怒るところも可愛いと密かに思ったのは秘密だ。
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