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俺って実は… 〇〇なんだよね!
しおりを挟むそれは数ヶ月前に遡る―
―――――………
――…
『あーッッ!!無理!もう思いつかないよ!!!』
俺は頭を抱えていた。
じっと睨み付ける先にはまだ何も書かれていない白い紙。愛用するペンを握る指先に力を入れるも、まったくこの先の展開が頭に浮かばない…
結局、ペンを走らせることもなく、紙をグシャグシャにして丸めてゴミ箱に投げる。
『やった! ストライク!!』
『………なにが、やった!ストライク!!…ですか。それよりも、新作はまだですか先生』
ゴミ箱に向かって叫んだ俺に冷ややかな声をかけるのはインテリ眼鏡の… 俺担当の編集者さん。
そう‥ なにを隠そう俺は携帯小説家だ。前々からいろんなことを考えて自分の中でストーリーを作っていくのが好きだった俺は若きクリエイター募集!という見出しをインターネットで見つけ、
早速応募し小説を投稿すると、グランプリを開催していた編集長から直々にお声が掛かって、今に至る。…といっても、編集長には会ったことがないけど。
ぶっちゃけ、俺には両親がいない。というのも、二年前に交通事故に遭い、二人とも逝ってしまった。まだ中学生だった俺を親戚らがうちに来ないかと誘ってくれたけど、あくまで世間体的に。。
だから断った。家から離れたくないからと…。
そんな俺の複雑な家庭事情を話すや否や担当の編集者さん‥ 赤城さんは無言でポンポンと頭をたたいた。
それから赤城さんは俺に言った。泣いてもいいんですよ、と‥。その言葉を聞いた瞬間、俺はみっともなく赤城さんにしがみついて泣いたのを今では恥ずかしい黒歴史だと思ってる。
中学生じゃ、生活費を稼ごうにもバイトができる年齢じゃなかったから小説家を余儀なくしたけど、先日長かった中学校を卒業し、今年の春から高校生になることを考え、小説家を辞め、バイトをしようかと考えはじめていた。
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