ザ・兄貴っ！

- 転校生と山田 -

二年になって初めて教室に入った山田に集まるのは視線、視線、とにかく視線だった…。しかし、持ち上がりクラスの為、全員、去年から山田と同じクラスである。よって、山田のことは少なからず知っているわけで‥




「よぉ！山田じゃん！お前、二年になってから来なくなったから部屋で野垂れ死んだっつー噂まで立ってたんだぜ？」



うしし、と笑うクラスメートに山田は大して気にした様子もなく、

「…疲れた」



もともとあまり体力のない山田は教室に来るだけでも疲れるのだ。


「ははっ お前、ホント体力ねぇーな？」



腹を抱えて爆笑するクラスメートを軽く睨むと机に突っ伏した


――…と、



ガラガラガラッ‥


「よし！山田来てるな。全員揃ったところで前々から話していた転校生を紹介する！入って来い！」



茂村の声に皆が注目する中、もちろん山田は机に突っ伏したまま‥

転校生が入ってきた。



と、同時に-


『うわ… 今どきアレはないよ』

『つか、なにあれ。毛玉じゃん！うわ、ちょー萎える！』



それは見るからにボサボサ黒髪の‥


「うるせぇ！！誰だ毛玉とか言った奴！俺は井ノ原 紫苑！よろしくな！」


しかし、そんな彼の言葉も空しく――… 教室中からは罵声を浴びさせられる。

しかし、そんな中、自分に罵声もせず、興味がないのか眠たいのか机に突っ伏していた山田に目が止まった。