366日の奇跡

夏目とろ

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[第1章]生徒会長始めました

04

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 闇に沈む、無駄に広い廊下を行く。庶務でチワワな日下部くさかべの部屋の前を通り過ぎる。今頃、誰かの部屋にでも遊びに行っているんだろうか。もう一人の庶務の不知火しらぬいの部屋。彼は無口で、正直何をしているのかよくわからない。
 会計の日向ひゅうがの部屋の前を通る。こいつは、チワワな親衛隊員を連れ込んで食ってる頃かも。そして書記の鷹司たかつかさの部屋。この時間だとまだ、クラブかどっかで遊んでいるはずだ。
 その次が副会長の椿野つばきのの部屋。椿野はクラシック音楽を聴きながら、リキュール入りの紅茶でも飲んで優雅にくつろいでいそうだ。その向こう。一番奥の部屋がようやく会長の俺の部屋だ。


「つ、疲れた……」

 よくよく考えてみれば、俺の部屋が一番学校から遠い。学生寮はエレベーター完備だとは言えど、移動するだけでかなりの時間を食ってしまう。
 会長の権限で、表ゲートをくぐってすぐを会長の部屋に出来たらいいのに。残念ながらそんな権限があるはずもなく、これから一年間をこの部屋で過ごすことになる。

 基本的には一、二年生は二人部屋で、三年生には受験のため一人部屋が割り当てられる。一人部屋は一部のエリートと生徒会役員、風紀委員会の役員にも割り当てられ、彼らが住まう特別棟はまた格が違う。特に生徒会と風紀の部屋は別格で、それなりの家柄の俺でもその豪華さに目が眩んだ。
 無駄に広い部屋は無駄な空間も多いが、窓からの眺めだけは最高だ。余裕があるとも言えるスペースは落ち着いていて、大きなキッチンも使い勝手がいい。他の役員の部屋を見たことはないけど、もしかすると会長の部屋はその中でも特別なのかも知れない。
ただ今年に入ってからは忙し過ぎて自炊する暇もなかった。今日も帰り掛けに寮の一画にあるコンビニで出来合いのお弁当を買い、これが本日の遅すぎる夕食だ。

 一応はダイニングで弁当を掻き込んで、歯磨きを済ませて自室に篭る。今日一日の汚れは明日の朝一のシャワーで洗い流すとして、再びパソコンを開いてさっきの続きに取り掛かる。
 会長に就任してまだ一週間。今のところは大きな企画やイベントもなく、なんとかやって行けている。

「はあ……」

 だがしかし、月末には新入生の歓迎会や今年度初の寮生の集いがある。こればかりは一人で熟す自信がなくて、思わずキーボードを叩く指が止まってしまった。

「寝よ……」

 キリがいいところでパソコンを閉じ、部屋着を脱ぎ捨ててパン一の姿でベッドに倒れ込んだ。枕元のお気に入りの一体を胸に抱き込んで目を閉じる。

 余程疲れていたのか、その日は数分と置かずに深い眠りに着いた。
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