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[第5章]ラブレター
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基本的に生徒会室の自分のデスクの上には何を置いてもいいのだが。
「ふふふーん」
リコール前になるが、俺もお気に入りのテディベアや家族写真が入ったフォトフレームを置いていたから人のことは言えないんだけどさ。さっきからよくわからない、恐らくはオリジナルだろう鼻唄を歌いながら原稿に向かっている日向は、どうやら昨日初めて行ったコンビニにはまってしまったらしい。
「出来た! 今度こそ完璧!」
何度も書いては消してを繰り返してくしゃくしゃになったスピーチ原稿を目の前に広げ、日向は満足そうに笑った。
「羽柴、どうよ?」
「……うん、いいんじゃないか。日向らしいよ」
「やった! マジで?」
日向の机の上にはコンビニで売っているお菓子が散乱し、7種類のミニフィギュア付きのジュースのペットボトルが何本も並んでいる。昨日までは椿野が淹れてくれる紅茶しか飲まなかった日向を思えば大きな変化だ。うちの生徒会の会議では見られないが、他校では会議中に手元にお茶のペットボトルが置いてあったりするよな? ドラマで見たことがあるけど。
俺も一人で仕事をしていた時には時間がなくてペットボトルのお茶とコンビニおにぎりには随分お世話になったけど、椿野がいれば絶妙なタイミングで休憩を挟み、紅茶を淹れてくれる。おまけにお茶受けに恐らくは高級洋菓子店のケーキやクッキーも出してくれるから、わざわざコンビニで買って来る必要がないんだよな。鷹司の机の上は綺麗に片付いていて、仕事に必要なもの以外は何もない。椿野の机の上には一輪挿しが置いてあって、毎日違う色の薔薇が咲いている。
不知火の机の上には薄汚れたイルカのキーホルダーが置いてあり、佐倉の机の上は日向の机以上にジャングル状態だ。大きなフォトフレームには恐らく昔の仲間だろう写真が入れてあって、皆、見た目は恐いが気のいい仲間だということがわかる。日下部の机の上にもフォトフレームがあるが、写真は全部自撮りだったりするし。他にも美容情報誌やファッション雑誌が置いてあり、まるで美容室の待合室状態だ。
「…………」
改めて、俺の机の上を見遣る。一人だった時のようにお気に入りのテディベアと家族のフォトフレームを飾ってみようかな、とかそんなことを思ったりなんかして。そうすると以前の俺だと無視されただろうけど、今ならいろいろとツッコミが入るだけで済みそうだ。料理好きなのはもう皆に知られたし、家事やテディベア作りも趣味なんだってカミングアウトしてもいいんだけど。
「羽柴、どったの?」
「あ、いや。なんでもない」
日向達がうちに上がった時、荷物が片付いてなかったから幸いテディベアには気付かれなかった。寝室の枕元のボードと書斎の机の上には、しっかり置いてあったけどな。たまたまテディベアは一つの段ボールに全部入れてあって、その箱はクローゼットに仕舞ったままだったのだ。
テディベア作りが俺の趣味だということは、槙村以外には中等部までの友達と去年のルームメイトぐらいしか知らない。生徒会役員の皆は仕事仲間であって本当の意味の友達とはまた違うから、どこまで気を許していいのか悩んでしまう。生徒会役員になってからこちら、俺はメンバーとの間に壁を作って来た。仕事以上の馴れ合いもあれだよなあって。
けど最近その壁が崩れつつあって、どこまで踏み込んでいいのかぼっちだった俺にはその加減がわからない。そんな俺をよそに、
「羽柴、なんか仕事ない? 俺にも出来るやつ」
「あ、ああ。この書類、時間がかかってもいいから纏めてくれるか?」
「オッケー。てか、羽柴。コンビニって楽しいね。俺、すっかり気に入っちゃた」
全商品制覇するんだと意気込む日向に思わず吹き出してしまい、
「……こほん」
鷹司の冷たい視線を感じて、俺は仕事に向き直った。
「ふふふーん」
リコール前になるが、俺もお気に入りのテディベアや家族写真が入ったフォトフレームを置いていたから人のことは言えないんだけどさ。さっきからよくわからない、恐らくはオリジナルだろう鼻唄を歌いながら原稿に向かっている日向は、どうやら昨日初めて行ったコンビニにはまってしまったらしい。
「出来た! 今度こそ完璧!」
何度も書いては消してを繰り返してくしゃくしゃになったスピーチ原稿を目の前に広げ、日向は満足そうに笑った。
「羽柴、どうよ?」
「……うん、いいんじゃないか。日向らしいよ」
「やった! マジで?」
日向の机の上にはコンビニで売っているお菓子が散乱し、7種類のミニフィギュア付きのジュースのペットボトルが何本も並んでいる。昨日までは椿野が淹れてくれる紅茶しか飲まなかった日向を思えば大きな変化だ。うちの生徒会の会議では見られないが、他校では会議中に手元にお茶のペットボトルが置いてあったりするよな? ドラマで見たことがあるけど。
俺も一人で仕事をしていた時には時間がなくてペットボトルのお茶とコンビニおにぎりには随分お世話になったけど、椿野がいれば絶妙なタイミングで休憩を挟み、紅茶を淹れてくれる。おまけにお茶受けに恐らくは高級洋菓子店のケーキやクッキーも出してくれるから、わざわざコンビニで買って来る必要がないんだよな。鷹司の机の上は綺麗に片付いていて、仕事に必要なもの以外は何もない。椿野の机の上には一輪挿しが置いてあって、毎日違う色の薔薇が咲いている。
不知火の机の上には薄汚れたイルカのキーホルダーが置いてあり、佐倉の机の上は日向の机以上にジャングル状態だ。大きなフォトフレームには恐らく昔の仲間だろう写真が入れてあって、皆、見た目は恐いが気のいい仲間だということがわかる。日下部の机の上にもフォトフレームがあるが、写真は全部自撮りだったりするし。他にも美容情報誌やファッション雑誌が置いてあり、まるで美容室の待合室状態だ。
「…………」
改めて、俺の机の上を見遣る。一人だった時のようにお気に入りのテディベアと家族のフォトフレームを飾ってみようかな、とかそんなことを思ったりなんかして。そうすると以前の俺だと無視されただろうけど、今ならいろいろとツッコミが入るだけで済みそうだ。料理好きなのはもう皆に知られたし、家事やテディベア作りも趣味なんだってカミングアウトしてもいいんだけど。
「羽柴、どったの?」
「あ、いや。なんでもない」
日向達がうちに上がった時、荷物が片付いてなかったから幸いテディベアには気付かれなかった。寝室の枕元のボードと書斎の机の上には、しっかり置いてあったけどな。たまたまテディベアは一つの段ボールに全部入れてあって、その箱はクローゼットに仕舞ったままだったのだ。
テディベア作りが俺の趣味だということは、槙村以外には中等部までの友達と去年のルームメイトぐらいしか知らない。生徒会役員の皆は仕事仲間であって本当の意味の友達とはまた違うから、どこまで気を許していいのか悩んでしまう。生徒会役員になってからこちら、俺はメンバーとの間に壁を作って来た。仕事以上の馴れ合いもあれだよなあって。
けど最近その壁が崩れつつあって、どこまで踏み込んでいいのかぼっちだった俺にはその加減がわからない。そんな俺をよそに、
「羽柴、なんか仕事ない? 俺にも出来るやつ」
「あ、ああ。この書類、時間がかかってもいいから纏めてくれるか?」
「オッケー。てか、羽柴。コンビニって楽しいね。俺、すっかり気に入っちゃた」
全商品制覇するんだと意気込む日向に思わず吹き出してしまい、
「……こほん」
鷹司の冷たい視線を感じて、俺は仕事に向き直った。
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