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[第5章]ラブレター
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結局その日のうちに返事の手紙を書いて、寮の前の郵便ポストに投函した。返事の手紙はゴールデンウイーク中の次の平日(登校日)に届くはずで、その手紙の返事はゴールデンウイーク明けになるだろう。
俺には経験がないけど、これってうちの両親が学生時代にやっていたと言う文通ってやつなんだろうか。実はうちの両親は女子校に通うお嬢様だった母さんに父さんが一目惚れをして、六年間の文通期間を経て同じ大学に入学して初めて直接会い、そこからお付き合いが始まった経緯がある。
文通は直接会うのと違って手紙を受け取る楽しみがあるし、メールやLINEメッセージと違って返事を待つ間のワクワク感もある。この企画を境に柴咲学園ではしばらく文通がひそかなブームを巻き起こすんだけど、言わば火付け人の俺がそれを知ることはなかった。
「羽柴、すごい! こんなに貰ったの?」
「おお。やっぱ郵送より多いじゃん。やるな、羽柴」
役員の中では俺と日向だけが同じA組だということもあり、最近は俺と槙村、風紀の副委員長の御子柴との4人でいることが多い。
「思ったより多いですね」
御子柴は同級生の俺達にも敬語で話すし、その穏やかな性格で小動物系の見た目に反して何気に毒舌で日向や佐倉とはまた違った意味で面白いやつだ。ニコニコ笑顔で鋭くツッコミを入れたりなんかして。
ゴールデンウイーク中の登校日にも下駄箱や机の中に何通か入っていたが、ゴールデンウイーク明けに登校すると直接手渡されることはないものの、思ったよりも下駄箱と机の中が凄いことになっていた。
「やっぱ、あれか。直接渡しづらいってやつか?」
「まあ、そう言うことでしょうね。それに、僕らA組の教室は一般生徒だとS組の教室より来やすいでしょうし」
「俺より多いじゃん。やるなー、羽柴」
そう言う日向は直接手渡されることが多いようで、それは日向がとても嬉しそうにお礼を言うかららしかった。手紙は俺達、生徒会役員や風紀委員会役員以外の生徒も貰っているようで、思ったより盛り上がりを見せている。どうやら早速放課後に新入生を案内するクラスメートもいるようで、授業が始まる前の教室はラブレター企画の話題で持ち切りだ。
ゴールデンウイーク明けの俺の下駄箱の中には23通、机の中にも12通もの手紙が入っていた。これって新入生が俺達2年A組の生徒が登校前にそれぞれの中に入れたってことで、そう思うとなんかくすぐったい。人気云々はともかく、それだけの新入生が俺に学校を案内して欲しいと思ってくれてるわけだし。そうこうしていると、
「羽柴ー、新入生が手紙持って廊下で待ってるぞー」
クラスメートに呼ばれた。そのクラスメートにもやるじゃんと背中を叩かれながら廊下に出てみると、二人の小柄な一年生が廊下で待っていた。
「羽柴様、これお願いします!」
「あの、僕たち、新歓の時のお姿を拝見してからのファンで」
耳まで真っ赤にしながら手紙を差し出してくるその姿はとても可愛くて、二人が女の子だったら邪な感情を持ったかも知れない。
「ありがとう。喜んで読ませて頂くな」
「あの、槙村先輩……」
俺がそう言っているそばで、槙村が一年生に呼ばれていた。A組の教室は朝から新入生で賑わいを見せ、新入生と上級生の交流とのコンセプトは大成功だったと確信する。
「僕らA組は千客万来だけど、S組はどうなんでしょうね」
御子柴が言ったその一言に、俺達は顔を見合わした。
と言うのも各学年のS組は特別棟最上階の生徒会室と風紀委員会室の下の階にあり、S組の一年生が二、三年のS組に行くのはともかく、A組からF組の生徒にとっては足を踏み入れづらい領域だ。それは生徒会室や風紀委員会室も同じでS組以外の一年生がS組の上級生に直接手渡したり、机の中に入れたりは難しいだろう。
「日下部達にLINEで聞いてみる?」
(――キンコーンカーン……)
「あ」
きっとS組のメンバーの下駄箱は凄いことになっているんだろうなと思いつつ授業開始のチャイムが鳴ったのもあり、放課後に状況を聞いてみることにした。
俺には経験がないけど、これってうちの両親が学生時代にやっていたと言う文通ってやつなんだろうか。実はうちの両親は女子校に通うお嬢様だった母さんに父さんが一目惚れをして、六年間の文通期間を経て同じ大学に入学して初めて直接会い、そこからお付き合いが始まった経緯がある。
文通は直接会うのと違って手紙を受け取る楽しみがあるし、メールやLINEメッセージと違って返事を待つ間のワクワク感もある。この企画を境に柴咲学園ではしばらく文通がひそかなブームを巻き起こすんだけど、言わば火付け人の俺がそれを知ることはなかった。
「羽柴、すごい! こんなに貰ったの?」
「おお。やっぱ郵送より多いじゃん。やるな、羽柴」
役員の中では俺と日向だけが同じA組だということもあり、最近は俺と槙村、風紀の副委員長の御子柴との4人でいることが多い。
「思ったより多いですね」
御子柴は同級生の俺達にも敬語で話すし、その穏やかな性格で小動物系の見た目に反して何気に毒舌で日向や佐倉とはまた違った意味で面白いやつだ。ニコニコ笑顔で鋭くツッコミを入れたりなんかして。
ゴールデンウイーク中の登校日にも下駄箱や机の中に何通か入っていたが、ゴールデンウイーク明けに登校すると直接手渡されることはないものの、思ったよりも下駄箱と机の中が凄いことになっていた。
「やっぱ、あれか。直接渡しづらいってやつか?」
「まあ、そう言うことでしょうね。それに、僕らA組の教室は一般生徒だとS組の教室より来やすいでしょうし」
「俺より多いじゃん。やるなー、羽柴」
そう言う日向は直接手渡されることが多いようで、それは日向がとても嬉しそうにお礼を言うかららしかった。手紙は俺達、生徒会役員や風紀委員会役員以外の生徒も貰っているようで、思ったより盛り上がりを見せている。どうやら早速放課後に新入生を案内するクラスメートもいるようで、授業が始まる前の教室はラブレター企画の話題で持ち切りだ。
ゴールデンウイーク明けの俺の下駄箱の中には23通、机の中にも12通もの手紙が入っていた。これって新入生が俺達2年A組の生徒が登校前にそれぞれの中に入れたってことで、そう思うとなんかくすぐったい。人気云々はともかく、それだけの新入生が俺に学校を案内して欲しいと思ってくれてるわけだし。そうこうしていると、
「羽柴ー、新入生が手紙持って廊下で待ってるぞー」
クラスメートに呼ばれた。そのクラスメートにもやるじゃんと背中を叩かれながら廊下に出てみると、二人の小柄な一年生が廊下で待っていた。
「羽柴様、これお願いします!」
「あの、僕たち、新歓の時のお姿を拝見してからのファンで」
耳まで真っ赤にしながら手紙を差し出してくるその姿はとても可愛くて、二人が女の子だったら邪な感情を持ったかも知れない。
「ありがとう。喜んで読ませて頂くな」
「あの、槙村先輩……」
俺がそう言っているそばで、槙村が一年生に呼ばれていた。A組の教室は朝から新入生で賑わいを見せ、新入生と上級生の交流とのコンセプトは大成功だったと確信する。
「僕らA組は千客万来だけど、S組はどうなんでしょうね」
御子柴が言ったその一言に、俺達は顔を見合わした。
と言うのも各学年のS組は特別棟最上階の生徒会室と風紀委員会室の下の階にあり、S組の一年生が二、三年のS組に行くのはともかく、A組からF組の生徒にとっては足を踏み入れづらい領域だ。それは生徒会室や風紀委員会室も同じでS組以外の一年生がS組の上級生に直接手渡したり、机の中に入れたりは難しいだろう。
「日下部達にLINEで聞いてみる?」
(――キンコーンカーン……)
「あ」
きっとS組のメンバーの下駄箱は凄いことになっているんだろうなと思いつつ授業開始のチャイムが鳴ったのもあり、放課後に状況を聞いてみることにした。
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