366日の奇跡

夏目とろ

文字の大きさ
91 / 103
[第8章]スクープ

01

しおりを挟む
 サッカーの試合こそ延期されてしまったが、6月最初の学校行事の球技大会を終えた翌日の今日も梅雨らしい本格的な雨が降り続いている。球技大会が終わり、6月の学校行事は生徒総会が控えているだけで、今日の放課後は5月と6月を跨いだ試合に向けての練習と球技大会のせいで月初めに開けなかった風紀委員と合同の会議を開くことになっていた。因みにこの会議は毎月一日に開催される定例会議で、去年は毎月きっちり開催されている。
 4月は皆にボイコットされていたこともあり、会議どころじゃなかった。5月もバタバタしていて開催することが出来ず、そんなこんなで今年は今回が初めての合同会議だ。

 定例会議は、その時々で議題に上った部活や委員会の代表も呼ぶことになっている。この会議はその月の行事や様々な問題点について話し合う会議で、その月の問題点はその月に解決することが大前提だ。
 今月の会議は各種委員会や部活への予算の振り分けと6月中旬に控えた生徒総会について話し合うことになり、俺は準備のためにいつもより早めに登校して生徒会室に向かった。


 今日は休日を挟んだ月曜日だ。実質的に球技大会の翌日ということで、いろいろと気まずく思わないでもない。どんな顔をして鷹司に会ったらいいのかわからないし……、そう思っていたら、

(――カチャ)
「あ」
「よう」

 俺より先に生徒会室にいた鷹司が何やら書類に向かっていた。

「あー、と。来てたのか」
「ああ。今日の会議の資料を作ったり、6月の行事予定を再確認しておきたかったからな」

 あんなことがあったのに、鷹司はいつものように飄々としている。いつもと変わらない様子でそう言うと、おもむろにノートパソコンを立ち上げた。

「今月の行事は球技大会と生徒総会の二つだけか」
「ああ。一応、行事的には一年生の修学旅行や高校総体もあるけど、その二つは生徒会には直接関係ないからな。球技大会も主催は体育委員会だったけど」
「期末考査は7月の頭だったか?」
「うん。今月は球技大会と生徒総会だけ押さえとけば、後は期末のテスト勉強に専念出来るだろ。それと、今日の放課後の定例会議な」
「なるほど。生徒総会が一番厄介そうだな」
「まあな……、ってそうか。もしかして鷹司、去年は参加してないとか言う? 生徒総会」
「…………」

 去年の鷹司は授業もサボりがちで、学校行事にも殆ど顔を出していないと聞く。どうやら去年の生徒総会もサボったようで、鷹司は気まずそうに俺から目を逸らした。

「……去年はどんな感じだったんだ、総会の準備」
「んー、中等部の時とそんなに変わらないんじゃないの。まあ、俺は中学までは役員じゃなかったから何とも言えないけど」
「初等部と中等部は学校側からの支援があるから高等部とは全く違うはずだ。悪いが教えてくれ」

 そんないつもと変わらない鷹司の様子に正直、ホッとした。それと同時に、なかったことになったハプニングを思い出すと悪戯に心が騒いだ。鷹司はまるで最初から何もなかったかのようにいつもの鷹司で、胸のもやもやが治まらない。

「あのな。クマの、な」
「え?」
「あ、いや。なんでもない」

 何か言いかけた鷹司だったが、まるで何もなかったかのようにまたパソコン画面に向き直る。と、その時、

「ちょっと、鷹司、羽柴! これどう言うこと?!」

 今朝は来るはずのない日下部の雄叫びで、それまで静かだった生徒会室の静寂が破られた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

Q.親友のブラコン兄弟から敵意を向けられています。どうすれば助かりますか?

書鈴 夏(ショベルカー)
BL
平々凡々な高校生、茂部正人«もぶまさと»にはひとつの悩みがある。 それは、親友である八乙女楓真«やおとめふうま»の兄と弟から、尋常でない敵意を向けられることであった。ブラコンである彼らは、大切な彼と仲良くしている茂部を警戒しているのだ──そう考える茂部は悩みつつも、楓真と仲を深めていく。 友達関係を続けるため、たまに折れそうにもなるけど圧には負けない!!頑張れ、茂部!! なお、兄弟は三人とも好意を茂部に向けているものとする。 7/28 一度完結しました。小ネタなど書けたら追加していきたいと思います。

告白ごっこ

みなみ ゆうき
BL
ある事情から極力目立たず地味にひっそりと学園生活を送っていた瑠衣(るい)。 ある日偶然に自分をターゲットに告白という名の罰ゲームが行われることを知ってしまう。それを実行することになったのは学園の人気者で同級生の昴流(すばる)。 更に1ヶ月以内に昴流が瑠衣を口説き落とし好きだと言わせることが出来るかということを新しい賭けにしようとしている事に憤りを覚えた瑠衣は一計を案じ、自分の方から先に告白をし、その直後に全てを知っていると種明かしをすることで、早々に馬鹿げたゲームに決着をつけてやろうと考える。しかし、この告白が原因で事態は瑠衣の想定とは違った方向に動きだし……。 テンプレの罰ゲーム告白ものです。 表紙イラストは、かさしま様より描いていただきました! ムーンライトノベルズでも同時公開。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

【完結】君を上手に振る方法

社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」 「………はいっ?」 ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。 スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。 お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが―― 「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」 偽物の恋人から始まった不思議な関係。 デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。 この関係って、一体なに? 「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」 年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。 ✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧ ✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧

腐男子ですが何か?

みーやん
BL
俺は田中玲央。何処にでもいる一般人。 ただ少し趣味が特殊で男と男がイチャコラしているのをみるのが大好きだってこと以外はね。 そんな俺は中学一年生の頃から密かに企んでいた計画がある。青藍学園。そう全寮制男子校へ入学することだ。しかし定番ながら学費がバカみたい高額だ。そこで特待生を狙うべく勉強に励んだ。 幸いにも俺にはすこぶる頭のいい姉がいたため、中学一年生からの成績は常にトップ。そのまま三年間走り切ったのだ。 そしてついに高校入試の試験。 見事特待生と首席をもぎとったのだ。 「さぁ!ここからが俺の人生の始まりだ! って。え? 首席って…めっちゃ目立つくねぇ?! やっちまったぁ!!」 この作品はごく普通の顔をした一般人に思えた田中玲央が実は隠れ美少年だということを知らずに腐男子を隠しながら学園生活を送る物語である。

聞いてた話と何か違う!

きのこのこのこ
BL
春、新しい出会いに胸が高鳴る中、千紘はすべてを思い出した。俺様生徒会長、腹黒副会長、チャラ男会計にワンコな書記、庶務は双子の愉快な生徒会メンバーと送るドキドキな日常――前世で大人気だったBLゲームを。そしてそのゲームの舞台こそ、千紘が今日入学した名門鷹耀学院であった。 生徒会メンバーは変態ばかり!?ゲームには登場しない人気グループ!? 聞いてた話と何か違うんですけど! ※主人公総受けで過激な描写もありますが、固定カプで着地します。 他のサイトにも投稿しています。

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

坂木兄弟が家にやってきました。

風見鶏ーKazamidoriー
BL
父子家庭のマイホームに暮らす|鷹野《たかの》|楓《かえで》は家事をこなす高校生。ある日、父の再婚話が持ちあがり相手の家族とひとつ屋根のしたで生活することに、再婚相手には年の近い息子たちがいた。 ふてぶてしい兄弟に楓は手を焼きながら、しだいに惹かれていく。

処理中です...