ち○○で楽しむ異世界生活

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90 風呂

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 水道橋の工事が本格化する前に、我が家に小さな水道橋を作って試験をすることになった。  
 人間の石工とドワーフの石工の技術をすり合わせて、どちらが主導して水道橋用の石材を加工してゆくか決めなくてはいけないらしい。
 最初にペテルグ周辺の勢力や資源の話を聞いていた時には、小さい防衛戦を重ねながら国力をちまちまと上げてゆくしか無いんじゃないかと思っていた。しかしペテルグには木材と木材加工技術、それに石と石灰があった。石と木材で作れるものなら、どれほど高度なものであってもだいたい作れる。その上ドワーフたちが移ってきてからは鉄も限定的ながら使えるようになった。
 他国の報告を聞くに、それなりにペテルグは優位な立場になってきていると言える。

 「初めて作ったにしては上出来だな」
 出来上がった合作の試作水道橋を見て、ドワーフ代表のハリスがつぶやいた。
 ハリスはペテルグに住んでいるどのドワーフよりも腕がいい。ドワーフをまとめるにはまずは技術からというわけだ。人を束ねる能力ではなく、技術があるものを長とする。そういう考え方もあるんだな。
 試験の結果、石工の技術はドワーフの方が上だったようだ。一方で木工技術はペテルグの職人たちの方が上だ。ドワーフたちはあまり木を使う加工はスキでは無いらしい。結局、水道橋はドワーフたちが主導してドワーフたちの技術を覚えながら作ることになった。用語や道具もドワーフのもので統一される。
 我が家の小さな水道橋は、屋敷の近くにある小さな小山から水を引いてきて樽に溜められる。
 そして外風呂だ。
 大勢の人間が使うことを考慮して、石製の風呂を石灰で目地止めをして作ることになった。夏には水を引いて水風呂やプールに使ってもいいだろう。俺のアイディアで可動式の木製屋根もつけてもらった。

 せっかく風呂ができたので、アンナとトリスと一緒に風呂に入った。右手で触れるアンナはふわふわしていて、左手で触れるトリスはつるつるしている。二人とも触れているだけで心地いい。
 床を重ねるうちに、うまいこと三回目にはトリスも絶頂へと導くことができた。表情は柔らかくなり笑顔も増え、わずかに子どもっぽさを残していた身体つきもなんだか女性らしくなってきたような気がする。
 アンナとトリスの身体を触りながら、青空のもと風呂に入る。
 もうすぐ初夏か。俺がこっちに飛ばされてから一年が経つのか。
 一年という時間で俺ができそうなことはだいたいやった。というか、これ以上うまくいく気がしないくらい、大方いい方向へと動いた。それなりに俺の周りも快適になったと言える。

 両手に花の状態で、次の一手を考える。
 内政や技術的な進歩という意味では、まだやれることがあると思う。前の世界にはあって、この世界に無いもの。なんだ?
 電気、ガス、インターネット、内燃機関や高速移動手段といったところか。
 ・・・いまの時点でペテルグにも俺にもいるかな?
 情報は手紙や口頭で受け取れる。お湯や食物の煮焚きはマキか炭があればいい。高速移動手段は馬があるし、馬より早く移動しなくてはいけない理由が今のところ無い。電気やガスそれ自体が必要なのでは無く、なんらかのエネルギーで動いて役に立つものがあるから必要かどうかという話になるか。

 いや・・・考え方の根本が間違っている気がする。以前に居た世界とこの世界で決定的に違う点は、モノやエネルギーが少ないことでも希少なことでも無い。
 ここではモノ自体に対しての知識が圧倒的に足りない。
 葉っぱひとつが薬になるのか食糧になるのかどうかも、口伝でしか伝わっていない。ドワーフたちの知識も口伝だ。植物に薬効があると分かれば薬が作れる。物質についての知見が深まれば、鉄よりも手間がかからない廉価な合金も作れるだろう。
 文字のおかげで知識は記録できるようになって蓄積もできるようになった。問題なのはモノの効能を知る手段がいままで無かったことにある。試薬に熱を加えてみる、お湯に溶かしてみる、アルコールとの反応を試してみる等々、現時点でもやろうと思えばやれることはかなりある。水車を利用して等速で高回転させられるならば遠心分離機だって作れる。
 俺にたいした化学の知識は無いが、道具が作れたら道具の使い方を考える人間も出てくるだろうしな。ドワーフとかそういう探求がスキそうだし。
 薬も化学薬品も無いのにそれなりにこの世界で不便を感じないのは、日常生活でそういうものを使う機会が少ないからだろう。前に居た世界で俺が使っていた薬品らしい薬品と言えば、せいぜい洗剤くらいか。だが洗剤すらこの屋敷では俺は必要としない。労働力が安いのだから洗剤を作る代わりに人を使えばいい。ホウキでゴミを集めてタワシで洗って水拭きをして乾拭きをすれば、だいたいどんな場所でも綺麗になる。

 目の前で甲斐甲斐しく働いている彼女たちを見ていて不思議なことに、過重労働で辛そうだという感じはまったくしない。ひとつの仕事を多くの人間が協力しているために、彼女たちがこなす雑用の数々には責任が発生しないからだと思う。仕事で胃が痛むとか責任に潰されるという経験はおそらく一生無いだろう。
 サーシャや王や王妃に特別な敬意が払われるのは、彼女たちじゃなくてはできない特別な仕事があると誰もが認識しているからだ。
 その代わり集団で責任を分担しながら仕事をする彼女たちは孤立もしないし責任に押しつぶされることも無い。大所帯であることにはそれなりに問題点も多いとは思うが、あまり深刻にならない分だけ楽しそうにすら見える。まぁ俺に女性の集団の機微など分かるワケも無いから、こういうものの舵取りはサーシャに丸投げしているけど。

 「あ・・・アラヒト様・・・」
 ん?うわ・・・
 考え事をしながらアンナとトリスの身体を楽しんでいたら、二人とも出来上がってしまったようだ。二人の顔が紅潮しているのは風呂の熱ではなく、身体の内側から発する熱か。
 「せっかくアンナもトリスもいるのに、考え事をしちゃってたね」
 「いえ・・・お仕事について考えているアラヒト様の横顔は素敵でした・・・」
 ああ。俺の表情を見ていたから、二人とも黙っていたのか。女性と一緒に出来立ての風呂を楽しめるというのに・・・身体の感触だけ楽しんで考え事をするなんて、俺も贅沢になったもんだな。
 「今夜は私とトリス、どちらがお相手していただけるんでしょうか?」
 二人とも欲しがっているな。
 「今からアンナの相手をして、夜はトリスの相手をするってことでいいかな?」
 アンナとトリスはお互いの顔を見合わせて頷いた。
 今日は連戦か。まぁたまにはこういう日があってもいいだろう。
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