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友人の時間
隠し事3
しおりを挟む午前中で球技大会は終わり
なんやかんや文句を言っていたけれど
始まったらそこそこ本気になって結局楽しかったのだ。
「着替えたら解散だからこのまま皆で打ち上げみたいに食いに行こうぜ?」
クラスの誰かが言うと皆も賛同してさっさと着替え始めた。
現地集合、解散だったためトイレの場所も分からない更衣室もないグランド。
光は着替えて来たのはいいものの
帰りの着替えをする場所がなくて汗で湿った気持ち悪い服のまま行こうとしていた。
一向に着替えようとしない光を見て拓也は
練習日も絆創膏見られるからトイレで着替えて来てたのか…と気づく
「光、連れションしようぜ?トイレ探して…」
拓也がさり気なく誘おうとした時
誰かが光を捕まえた。
「お前着替えないのかよ?くっさくなるぜ~」
光の服を脱がそうとする。
光の裾がチラリと上がった。
その友人も悪気があったわけじゃない
着替えさせてやろうと、いつものノリでやったのが分かるが
俺の時の様に光は思いっきり振り払った。
なんだよ!と乱暴に振り払われた友人はビックリして声を上げる。
「ーーッッ見た?」
「はぁ?何を?」
その瞬間、光が駆け出す。
「おい!!光どうしたんだよ!!」
振り払われた友人も流石に異変に気づき走り去る光に焦って叫ぶ
周りもどうした?と異変に気づき目で光を追う
「先に店に行って!後で連絡するわ!!」
拓也も叫ぶと光を追いかけに走り出す。
運動した後だから体力が余ってないとか言ってられない
前を走る光は全力疾走だ。
見失うわけにはいかなかった。
駆け出す一瞬…光が俺を見た
絶対に一人で行かせてはいけないと思った。
追いかけるしかないだろ
あと少しで手が届きそうなのにその差は埋まらない。
必死に手を伸ばすのに届くような気がしない。
そんな自分にもどかしくて舌打ちをする。
ただこの場から逃げたくて走り出したのは分かっていた
だったらアイツが止まるまで走ってやる
「光!!」
光の肩を捕まえられたのは
肩で息するほど苦し呼吸になった時だった。
球技してる時とは比べられないほどの汗と疲労
手に届かなかった物にやっと手が届いたこと
また振り払われて逃げられるわけにはいかないことの気持ちで拓也は思いっきり光の肩を引っ張った。
その反動で光はガクンッと後ろに倒れるように身体が崩れる。
そんな光を拓也は倒れないように身体全体で支える。
抵抗されると思ったが案外光は全体重を預けるように大人しい
「おま…えなぁー…速いんだよっ」
呼吸が苦しく息が荒くて上手く言葉がでない。
酸素マスクが欲しいと本当に思った。
やっと捕まえた光も身体全体で息をしてるみたいに呼吸が乱れていた。
しかし、その呼吸が自分のとは全く違うのに気づいた。
短く荒い苦しそうな早い息遣い
「ひかる?」
光の顔を見る為に横向きに身体を捻らせ俯く顔を覗き込んだ。
光は眉をいっぱい寄せて目をきつく閉じ
口を開きっぱなしで息をしていた。
発作だ。これはヤバイ!
発作なんて見たこといが
初めて見る呼吸の仕方と歪めている顔を見て疑わなかった。
寄りかからせていた身体を離し抱えるように光を支え直す。
誰からの目にも触れられない場所を探す。
こんなだだっ広いグランにそんな場所があるとしたら最初から探していたトイレしかない。
光の顔を隠すように自分の胸に押し付け
ほぼ持ち上げるように腰に手を回して支えて走った。
案内看板が見えたのはそれほど遠くない場所だった。
飛び込むように入り一番置くの個室に入ると便器に光を座らせる
外のトイレは昼間なのにもかかわらず暗くて静かだ。
そんな雰囲気の中で
頭を下げたままの光の荒い息だけが響く空間はスゴく不安で怖かった。
そんな光の顔を覗くために拓也はしゃがみ込む。
「光…大丈夫だから…誰もいないから…」
救急車よりも優先に考えてしまった。
誰もいない空間。
背中を摩りながら落ちつかせるためにゆっくり話す。
「ゆっくり息しろ…大丈夫だから…」
その言葉を聞いたのか光がガバッと顔を上げた。
真っ直ぐ拓也を見つめて吐き捨てる。
「大丈夫じゃないっっ」
その瞬間、光はボロボロ泣き始めて震える手で拓也の両肩を突っ張らせるように掴んだ。
「見らッッれたっ!見られたッッ!ハァッ
どうしよ…ッッ怖いハアッ怖いよッッ!」
荒い息で出ない声は必死に叫んでいた。
いつもの光とは全く違う豹変した光
苦痛に歪む顔にあの笑顔の光の面影は全くない。
泣きじゃくってパニックになる彼
誰だよこいつ!
肩を掴んできている手を無視して
頭を思いっきり胸に抱き寄せ片腕で背中を抱き込んだ。
全ては力任せの荒い抱擁
しゃがんでいた身体も勢いで地面にそのまま座り込む羽目になった。
外のトイレなんて大概は汚い場所だ
だけどそれがどうした
きっと肩を掴んできた光の手は痛めただろう
だけどそれがどうした
全く違う
別人になってしまった光が怖い
「大丈夫だから…見えてなかったよ…
光…光…大丈夫だから」
抱きしめる腕が余るほど
光の身体は小さくて細かった。
抱きしめ返してくるものとは違う
縋るように背中に回ってきた手はそのまましがみつくように背中の服を掴む。
居た堪れない気持ちが増す。
頭を押し付けていた手も光の肩に回し
光を支えるための踏ん張っていた力なんて
閉まっているドアに預けて
ただ強く抱きしめることに呈した
抱擁なんてそんな甘いものじゃなかった…
光が壊れてくみたいで怖くて仕方ない乱れてく気持ちとは裏腹に
自分でも不思議に思うほど落ちついた優しい声がでる。
「光…光…」
戻れ!!戻れ!!
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