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シーズン
第7−6話 智将の幻の戦術
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譲れないもの懸けて戦う者らとは、いつの時代どこの世界にもいるものだ。
多くの人々がその英傑の姿、思想に感化され、背中を追いかける。
英傑は多くの人々の思いや、覚悟を背負い込み目標達成に尽力する。
名誉と栄光を夢見て。
そんな美しくも険しい道を歩む者には、必ず理解者がいる。
虎白とユーリが激闘を繰り広げる、直ぐ近くでアルデン王もまた危機にあった。
ルーシー軍が突撃してきて大乱戦となっている状況下で、四聖剣と共に戦う中でそれは現れた。
鍛え抜かれたスタシアの騎士らをいとも簡単に蹴散らして、赤髪を気高くなびかせるアルデン王に斬りかかった。
聖剣で受け流したアルデン王と対峙しているのは、ユーリと双璧をなすもう一人のルーシーが誇る英雄だ。
「腕が立ちますね」
「ゾフィア・ペテレチェンコだ。 赤き王か、また一つ私の武勇伝が増えるな」
「先祖代々続く、赤き一族を倒せば、あなたは有名になりますね。 ただ、赤き一族は簡単には倒せませんよ」
アルデン王と対峙するゾフィアと名乗った女将軍もユーリに並ぶ、美貌を兼ね備えながらも剣聖と互角に渡り合っている。
強大なルーシー大公国軍の主力を担うこの二人の将軍があるかぎり、ルーシーは無敵というわけだ。
スタシア兵はゾフィアの部下達を倒してはいるが、彼らの勢いは止まる事はなかった。
二英傑があるかぎり。
アルデン王が聖剣を振り抜くと、サーベルで弾き返した。
のけぞったアルデン王の姿をスタシアの騎士らは、初めて見た。
戦場がどよめいた刹那。
ゾフィアのサーベルがアルデン王の顔元をかすめた。
「初めて斬られました。 我が武名に傷がつきましたよ」
「お前随分と余裕そうだな? 本気を出しても構わないんだぞ? 我が兵を斬っていた時の様にな!!!!」
まるで猛獣の様に襲いかかる獰猛なゾフィアは、アルデンの聖剣を容易く受け流している。
スタシア、白陸連合軍の唯一の強みは、ルーシー軍に勝る武勇であった。
しかし今となってはそれが発揮できてない。
そうなれば、劣勢になるのは明白というわけだ。
だがこの状況において、スタシア軍が圧倒されない要因があった。
「我らが王の勝利を信じろ!! そして諸君らには我ら四聖剣が共にあるぞ」
ルーシー軍を蹴散らし続け、異彩を放っているメアリーを筆頭とする四聖剣だ。
赤き王の妹にして、彼女もまた赤き一族であるメアリーは破竹の勢いでルーシー軍を蹴散らしていた。
そして彼女の周囲で武勇を振るう、リヒト、フリーラ、シンク将軍もまた、剣聖である。
中でもメアリーに次ぐ武勇と知略を誇ると言われているリヒト将軍は特徴的な紫色の髪の毛をなびかせている。
「そろそろ頃合いかな」
「リヒト、兄上が!!」
「アルデン王は負けない。 私達はルーシーを蹴散らせばいい。 でも戦略は必要よ」
スタシアという騎士道を重んじる国は、巧妙な戦略を良しとしない。
開戦前に虎白が提案した作戦も断られた。
しかしリヒト将軍は戦略家としても名を馳せていた。
決して、騎士道に反する事ない戦略を持ってして。
「円形陣を展開!! 亀の甲羅に敵主力を誘導せよ!! 盾兵を持って周囲の敵軍を防御!!」
リヒト将軍の綺麗な声が勇ましく響くと、スタシア兵が動き始めた。
円形の陣を展開すると、円の中心にはアルデン王とゾフィアと僅かなルーシー軍だけが取り残されたのだ。
そして周囲で戦うルーシー軍は白陸軍と円陣を組んだスタシア軍に挟撃される形となった。
円は壁の様に盾兵によって守られ、隙間から槍兵が近づくルーシー軍を撃退している。
即座にスタシア軍によって作られた闘技場の中で戦う、赤き王と北の英雄。
そしてリヒト将軍は円の四方に、四聖剣を配置してルーシーの接近を許さなかった。
「盾兵、騎士らの準備が整った。 隙間を開けろ!!」
鉄の防御でルーシーの接近を許さなかったスタシア軍の盾兵らが、突如隙間を開けるとルーシー軍は我先に円陣の中へと入っていった。
その様子を馬上で見ているリヒト将軍が合図すると、円陣の中で盾兵による通路が完成している。
状況のわかっていないルーシー軍は、開いている通路へ進むが、次第に盾兵によって分断されていったのだ。
世にいう八卦はっけの陣だ。
亀の甲羅の様に円の中に八箇所の攻撃地点を構築し、周囲を盾兵によって塞ぐ事によって強制的に通路を確立され、誘導されていく。
リヒト将軍は八箇所の攻撃地点に四聖剣及び、スタシア軍の上級将校である「大剣聖」を四名配置した。
「敵軍分断、円の外にいるルーシーは白陸軍に任せ、我々はゾフィア及び彼女の配下の撃退に尽力せよ」
こうしてゾフィアと彼女の精鋭は、八卦の陣の中に取り残された。
だが周囲には今だに数万ものルーシー軍が白陸軍と激戦を繰り広げていた。
しかしこの白陸軍の中に入っているのは、神族による部隊である皇国武士だ。
八卦の陣の左右に展開されている白陸軍は五万名ずつに別れている。
そして五百の武士が左右に展開され、ルーシーを近づけずにいた。
この局地戦の顛末てんまつはスタシア、白陸軍が有利に傾きつつあったが、今だにルーシーの二英傑は健在であり、虎白もアルデン王も苦戦していた。
しかし配下の者らにできる事はもうない。
後はそれぞれの主の勝利を信じて、奮闘するのだ。
多くの人々がその英傑の姿、思想に感化され、背中を追いかける。
英傑は多くの人々の思いや、覚悟を背負い込み目標達成に尽力する。
名誉と栄光を夢見て。
そんな美しくも険しい道を歩む者には、必ず理解者がいる。
虎白とユーリが激闘を繰り広げる、直ぐ近くでアルデン王もまた危機にあった。
ルーシー軍が突撃してきて大乱戦となっている状況下で、四聖剣と共に戦う中でそれは現れた。
鍛え抜かれたスタシアの騎士らをいとも簡単に蹴散らして、赤髪を気高くなびかせるアルデン王に斬りかかった。
聖剣で受け流したアルデン王と対峙しているのは、ユーリと双璧をなすもう一人のルーシーが誇る英雄だ。
「腕が立ちますね」
「ゾフィア・ペテレチェンコだ。 赤き王か、また一つ私の武勇伝が増えるな」
「先祖代々続く、赤き一族を倒せば、あなたは有名になりますね。 ただ、赤き一族は簡単には倒せませんよ」
アルデン王と対峙するゾフィアと名乗った女将軍もユーリに並ぶ、美貌を兼ね備えながらも剣聖と互角に渡り合っている。
強大なルーシー大公国軍の主力を担うこの二人の将軍があるかぎり、ルーシーは無敵というわけだ。
スタシア兵はゾフィアの部下達を倒してはいるが、彼らの勢いは止まる事はなかった。
二英傑があるかぎり。
アルデン王が聖剣を振り抜くと、サーベルで弾き返した。
のけぞったアルデン王の姿をスタシアの騎士らは、初めて見た。
戦場がどよめいた刹那。
ゾフィアのサーベルがアルデン王の顔元をかすめた。
「初めて斬られました。 我が武名に傷がつきましたよ」
「お前随分と余裕そうだな? 本気を出しても構わないんだぞ? 我が兵を斬っていた時の様にな!!!!」
まるで猛獣の様に襲いかかる獰猛なゾフィアは、アルデンの聖剣を容易く受け流している。
スタシア、白陸連合軍の唯一の強みは、ルーシー軍に勝る武勇であった。
しかし今となってはそれが発揮できてない。
そうなれば、劣勢になるのは明白というわけだ。
だがこの状況において、スタシア軍が圧倒されない要因があった。
「我らが王の勝利を信じろ!! そして諸君らには我ら四聖剣が共にあるぞ」
ルーシー軍を蹴散らし続け、異彩を放っているメアリーを筆頭とする四聖剣だ。
赤き王の妹にして、彼女もまた赤き一族であるメアリーは破竹の勢いでルーシー軍を蹴散らしていた。
そして彼女の周囲で武勇を振るう、リヒト、フリーラ、シンク将軍もまた、剣聖である。
中でもメアリーに次ぐ武勇と知略を誇ると言われているリヒト将軍は特徴的な紫色の髪の毛をなびかせている。
「そろそろ頃合いかな」
「リヒト、兄上が!!」
「アルデン王は負けない。 私達はルーシーを蹴散らせばいい。 でも戦略は必要よ」
スタシアという騎士道を重んじる国は、巧妙な戦略を良しとしない。
開戦前に虎白が提案した作戦も断られた。
しかしリヒト将軍は戦略家としても名を馳せていた。
決して、騎士道に反する事ない戦略を持ってして。
「円形陣を展開!! 亀の甲羅に敵主力を誘導せよ!! 盾兵を持って周囲の敵軍を防御!!」
リヒト将軍の綺麗な声が勇ましく響くと、スタシア兵が動き始めた。
円形の陣を展開すると、円の中心にはアルデン王とゾフィアと僅かなルーシー軍だけが取り残されたのだ。
そして周囲で戦うルーシー軍は白陸軍と円陣を組んだスタシア軍に挟撃される形となった。
円は壁の様に盾兵によって守られ、隙間から槍兵が近づくルーシー軍を撃退している。
即座にスタシア軍によって作られた闘技場の中で戦う、赤き王と北の英雄。
そしてリヒト将軍は円の四方に、四聖剣を配置してルーシーの接近を許さなかった。
「盾兵、騎士らの準備が整った。 隙間を開けろ!!」
鉄の防御でルーシーの接近を許さなかったスタシア軍の盾兵らが、突如隙間を開けるとルーシー軍は我先に円陣の中へと入っていった。
その様子を馬上で見ているリヒト将軍が合図すると、円陣の中で盾兵による通路が完成している。
状況のわかっていないルーシー軍は、開いている通路へ進むが、次第に盾兵によって分断されていったのだ。
世にいう八卦はっけの陣だ。
亀の甲羅の様に円の中に八箇所の攻撃地点を構築し、周囲を盾兵によって塞ぐ事によって強制的に通路を確立され、誘導されていく。
リヒト将軍は八箇所の攻撃地点に四聖剣及び、スタシア軍の上級将校である「大剣聖」を四名配置した。
「敵軍分断、円の外にいるルーシーは白陸軍に任せ、我々はゾフィア及び彼女の配下の撃退に尽力せよ」
こうしてゾフィアと彼女の精鋭は、八卦の陣の中に取り残された。
だが周囲には今だに数万ものルーシー軍が白陸軍と激戦を繰り広げていた。
しかしこの白陸軍の中に入っているのは、神族による部隊である皇国武士だ。
八卦の陣の左右に展開されている白陸軍は五万名ずつに別れている。
そして五百の武士が左右に展開され、ルーシーを近づけずにいた。
この局地戦の顛末てんまつはスタシア、白陸軍が有利に傾きつつあったが、今だにルーシーの二英傑は健在であり、虎白もアルデン王も苦戦していた。
しかし配下の者らにできる事はもうない。
後はそれぞれの主の勝利を信じて、奮闘するのだ。
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