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シーズン
第9ー1話 贅沢な悩み事
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誰もが馬鹿にする様な壮大な夢の実現へと乗り出した男。
彼の夢は不可能と思われていたが、達成までもはや秒読みと言える場所まで来ていた。
ティーノム帝国のスワン女王が、不審死を遂げてスタシアに吸収されてから一年が間もなく経過しようとしている。
近頃の天上界は平和を謳歌おうかして、メルキータの宮衛党は先の戦いで救った多くの半獣族の加入もあり大幅な発展を遂げていた。
そして虎白と美しき将軍達は、階級が上がり宰相さいしょうと呼ばれる位を手にしている。
国内の安寧と治安維持部隊の訓練を中心的に行っている虎白は、以前に正室の恋華から言われたある言葉を考えていた。
「今の将軍達を全員側室にしろか・・・」
竹子と恋仲になったのは、虎白の意志だったが他の美しき宰相らを妻に迎えるつもりは当初は考えていなかった。
しかし宰相という高い地位という事もあり、側室として妻にする事で彼女らの発言力はさらに増すのだ。
恋華の思惑はそこにあった。
仮に彼女らが、天上界のどこに派遣されても宰相の言葉こそが虎白の言葉となるというわけだ。
この事によって白陸の影響力を圧倒的な強さにするのが、恋華の狙いだった。
虎白は城の中にある自室で、頭を抱えている。
きっと竹子が嫌がるはずだろうと。
すると扉が開いて、竹子が入ってきた。
「おはよお」
「ああ、竹子」
「また側室の事で悩んでいるの? 私はいいよって言ったでしょ?」
竹子のその言葉は白陸を思っての事だろう。
誰だって女なら、別の妻がいるなんて事は受け入れたくないはずだ。
人間としての感情を持っている虎白だからこそ、よく理解できる事だった。
現に天王ゼウスには、複数の側室が存在している。
それでも今だに竹子や恋華の、体を舐め回す様に見ているゼウスの旺盛っぷりには呆れるほどだ。
「権力に比例して嫁が増えるってのが気に入らねえ・・・」
「じゃあわかった。 虎白がみんなを愛せればいいんでしょう?」
「愛しているのはお前だけだ。 みんなは頼りになる仲間ってだけだぞ」
竹子がどれだけ本心を押し殺しているのか、痛いほどに理解できている虎白は首を縦には振らなかった。
方やいつまでも同じ事に悩んでいる夫に対して、苛立っているのは正室の恋華だ。
神族としての観点しか持ち合わせていない恋華には、虎白が何をいつまで悩んでいるのか理解に苦しんでいた。
その上、側近が増えて妻になるというなら盟友アルデンのスタシアから持ちかけられている婚姻同盟の話しも虎白に直に影響する。
メアリー王女と莉久宰相との婚姻は、つまる所メアリーも虎白の側室になるという事だ。
「メアリーと莉久はお互いに愛し合っているからよお」
「夜な夜な二人で会っていたんだよね?」
「そうだよあいつ俺にまで隠しやがって」
唇を尖らせて、側近の恋愛事情を話す虎白を見て微笑む竹子は一年という年月で側室の事も覚悟を決めていた。
そして何よりも長い年月共に過ごした宰相達は、もはや家族の様になっていた。
竹子の中で以前ほど、側室を多く持つ事への抵抗感はなくなっていたのだ。
しかし虎白だけは今だに決心ができずにいた。
そんな時だ。
衛兵の皇国武士が入ってくると、虎白に耳打ちをしている。
いたずら心満載な笑みを浮かべた虎白は、うなずくと竹子に話した。
「義理の息子だが、白斗のやつまで嫁をもらおうとしてやがるんだ」
「それはめでたいね」
「俺は白斗の手本となる旦那になりたいから、多くの妻はなあ・・・」
そういつまでも同じ問題に頭を抱えている虎白を静かに見ていた竹子は、今日までに頻発していた数多くの危険な問題を振り返っていた。
思えばこの様な問題に悩む時間すらなかった。
それが今では一年間も悩み続けていられるほど、天上界は平和になったのだと。
竹子はそう考えると、眼の前で白髪を抱えて悩んでいる未来の夫がどれほどの傑物なのかと改めて実感していた。
「本当に凄いよね虎白・・・」
「何が凄いんだ? 俺は今嫁を多く持つか悩んでいるんだぞ」
「そうだったね。 とにかくまたみんなと話し合おうよ。 夕飯はすき焼きだからね」
毎晩の様に宰相達とこの問題について話し合っているが、満場一致で側室に賛成していると来た。
今では新規加入したはずのウィルシュタインやスカーレットにユーリとエリアナまで宰相の仲間入り。
ゾフィアだけは出世を断り、元ルーシー軍の訓練に尽力していた。
そしてレミテリシアが保護して来たローズベリーの加入と皇女アニャまでも宰相となっている。
「いやあ増えたな・・・」
「みんないた方が楽しいから大丈夫だよ」
「竹子は本当にいいのか?」
「何度も言っているでしょ」
虎白はいよいよ覚悟を決めようとしていた。
自身の性格上、側室にするのなら全員を心底愛したい。
今日まで共に戦った宰相達を一人の女として見ると決めたのだった。
彼の夢は不可能と思われていたが、達成までもはや秒読みと言える場所まで来ていた。
ティーノム帝国のスワン女王が、不審死を遂げてスタシアに吸収されてから一年が間もなく経過しようとしている。
近頃の天上界は平和を謳歌おうかして、メルキータの宮衛党は先の戦いで救った多くの半獣族の加入もあり大幅な発展を遂げていた。
そして虎白と美しき将軍達は、階級が上がり宰相さいしょうと呼ばれる位を手にしている。
国内の安寧と治安維持部隊の訓練を中心的に行っている虎白は、以前に正室の恋華から言われたある言葉を考えていた。
「今の将軍達を全員側室にしろか・・・」
竹子と恋仲になったのは、虎白の意志だったが他の美しき宰相らを妻に迎えるつもりは当初は考えていなかった。
しかし宰相という高い地位という事もあり、側室として妻にする事で彼女らの発言力はさらに増すのだ。
恋華の思惑はそこにあった。
仮に彼女らが、天上界のどこに派遣されても宰相の言葉こそが虎白の言葉となるというわけだ。
この事によって白陸の影響力を圧倒的な強さにするのが、恋華の狙いだった。
虎白は城の中にある自室で、頭を抱えている。
きっと竹子が嫌がるはずだろうと。
すると扉が開いて、竹子が入ってきた。
「おはよお」
「ああ、竹子」
「また側室の事で悩んでいるの? 私はいいよって言ったでしょ?」
竹子のその言葉は白陸を思っての事だろう。
誰だって女なら、別の妻がいるなんて事は受け入れたくないはずだ。
人間としての感情を持っている虎白だからこそ、よく理解できる事だった。
現に天王ゼウスには、複数の側室が存在している。
それでも今だに竹子や恋華の、体を舐め回す様に見ているゼウスの旺盛っぷりには呆れるほどだ。
「権力に比例して嫁が増えるってのが気に入らねえ・・・」
「じゃあわかった。 虎白がみんなを愛せればいいんでしょう?」
「愛しているのはお前だけだ。 みんなは頼りになる仲間ってだけだぞ」
竹子がどれだけ本心を押し殺しているのか、痛いほどに理解できている虎白は首を縦には振らなかった。
方やいつまでも同じ事に悩んでいる夫に対して、苛立っているのは正室の恋華だ。
神族としての観点しか持ち合わせていない恋華には、虎白が何をいつまで悩んでいるのか理解に苦しんでいた。
その上、側近が増えて妻になるというなら盟友アルデンのスタシアから持ちかけられている婚姻同盟の話しも虎白に直に影響する。
メアリー王女と莉久宰相との婚姻は、つまる所メアリーも虎白の側室になるという事だ。
「メアリーと莉久はお互いに愛し合っているからよお」
「夜な夜な二人で会っていたんだよね?」
「そうだよあいつ俺にまで隠しやがって」
唇を尖らせて、側近の恋愛事情を話す虎白を見て微笑む竹子は一年という年月で側室の事も覚悟を決めていた。
そして何よりも長い年月共に過ごした宰相達は、もはや家族の様になっていた。
竹子の中で以前ほど、側室を多く持つ事への抵抗感はなくなっていたのだ。
しかし虎白だけは今だに決心ができずにいた。
そんな時だ。
衛兵の皇国武士が入ってくると、虎白に耳打ちをしている。
いたずら心満載な笑みを浮かべた虎白は、うなずくと竹子に話した。
「義理の息子だが、白斗のやつまで嫁をもらおうとしてやがるんだ」
「それはめでたいね」
「俺は白斗の手本となる旦那になりたいから、多くの妻はなあ・・・」
そういつまでも同じ問題に頭を抱えている虎白を静かに見ていた竹子は、今日までに頻発していた数多くの危険な問題を振り返っていた。
思えばこの様な問題に悩む時間すらなかった。
それが今では一年間も悩み続けていられるほど、天上界は平和になったのだと。
竹子はそう考えると、眼の前で白髪を抱えて悩んでいる未来の夫がどれほどの傑物なのかと改めて実感していた。
「本当に凄いよね虎白・・・」
「何が凄いんだ? 俺は今嫁を多く持つか悩んでいるんだぞ」
「そうだったね。 とにかくまたみんなと話し合おうよ。 夕飯はすき焼きだからね」
毎晩の様に宰相達とこの問題について話し合っているが、満場一致で側室に賛成していると来た。
今では新規加入したはずのウィルシュタインやスカーレットにユーリとエリアナまで宰相の仲間入り。
ゾフィアだけは出世を断り、元ルーシー軍の訓練に尽力していた。
そしてレミテリシアが保護して来たローズベリーの加入と皇女アニャまでも宰相となっている。
「いやあ増えたな・・・」
「みんないた方が楽しいから大丈夫だよ」
「竹子は本当にいいのか?」
「何度も言っているでしょ」
虎白はいよいよ覚悟を決めようとしていた。
自身の性格上、側室にするのなら全員を心底愛したい。
今日まで共に戦った宰相達を一人の女として見ると決めたのだった。
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