天冥聖戦 伝説への軌跡

くらまゆうき

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シーズン

第9ー4話 各個撃破

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状況は差し迫っていた。


天上界の全域に降下してくる冥府軍を各軍が撃破するしか道はなかった。


その上桜火の大和領には新手として冥王ハデスと大軍が迫っていた。


頼みの綱は南側領土最強の白陸がどれだけ早く敵を撃退できるかにかかっていた。


竹子の第1軍は魔族と熾烈な激戦を繰り広げていた。


榴弾砲に向かって飛んでくる魔族を僅かな私兵が応戦しているが、狡猾で飛行能力まで持っている魔族に苦戦していた。


竹子は前線で魔族を斬り捨てて進んでいた。


しかし目の前に現れた存在は竹子の剣聖である剣技を受け止めて不敵に笑っている。




「丞相竹子だなあ?」
「・・・・・・」
「誰にでも愛想がいいお前が無視かあ?」
「魔族には例外です。」





刀を振って距離を取ると不敵に笑う魔族を睨んでいた。


日頃の可愛らしい笑顔の面影すらなく、嫌悪感で満ちた鋭い表情でじっと刀を構えている。


魔族は「我が先祖は魔族の総裁なるぞ」と得意げに笑っていた。


総裁とは階級の一つでかなりの地位を意味していた。

しかし竹子の表情は恐れるどころか冷静だった。




「我はヴァラクが子孫、ヴァルだ。」




名を名乗っても竹子は無言のまま、斬り込んだ。


ヴァルは長い爪で受け止めると異様に長い舌を竹子の頬に伸ばして、嫌がる竹子を見て笑っている。


黄色く不気味な瞳が邪悪な存在である事を証明するかの様だった。


刀に巻き付くかの様に長い爪は虫の触覚の様に自在に動くと竹子の刀をへし折ろうと突如固くなり、物凄い力をかけてくる。


そんな時だった。




「撃てー!!!!」





轟音と共にヴァルの部下達が撃ち抜かれていく。


竹子が少し笑うと「魔族とは孤独、我らは家族がいますので」とヴァルの腹部を蹴ると刀を構えた。


そしてすっと姿勢を低くすると竹子の背後から飛びかかったのは甲斐とお初だ。


ヴァルはそれすらも受け止めると2人を羽で叩いて吹き飛ばすと更に背後から優子がライフル兵と共に撃ってきた。


弾丸は羽をかすめて煙が上がっている。




「て、てめえら。」
「家族がいるからここまで来られました。 今更邪魔されるわけにいきません。」
「そういうこったねー!!」
「覚悟。」




竹子と甲斐とお初が3人同時に斬り込むと優子は魔族の背中を撃ち抜こうとヴァルの背後に周っていた。


第2都市、第3都市を攻撃するのはヴァルが率いる66もの大隊だ。


優子と甲斐は魔軍の大隊をほとんど撃退して残党を私兵に任せて竹子の救援に現れた。


ヴァルを倒せば魔軍の士気は下がる。




「てめえらがくだらない愛とやらで戦っても恐怖や憎悪には勝てない。 人は愛などよりも恐怖や憎悪を抱えて生きていくのだ。 見てみろお前の兵士の顔を。」



戯言をと竹子は目を細めたが第1軍の兵士の中で悲鳴を上げながら戦う兵士が多数存在していた。


入隊して間もない新兵にとって最初の敵が魔族。


厳しい訓練を受けたがまさか魔族が自分の前に現れるなんて思ってもいなかった。


悍ましい見た目に恐怖する兵士達は士気が下がり始めていた。


そして兵士の恐怖心こそ魔族にとっては回復薬の働きとなる。


魔族が有する魔力は神通力から吐き出される恐怖心などで回復できる。


腰を抜かすほどに怯える白陸兵の恐怖心こそ魔族の原動力だった。


竹子はその事に気がつくと険しい表情をしていた。




「新兵達が・・・」
「優子!! 竹子と代わってやりな!! あんたは自分の兵士を励ましてやらないと!!」
「う、うんごめんね!」




優子と竹子が入れ替わりヴァルと対峙すると「余計な事を」と怒りを顕にしていた。


竹子の動揺を誘って魔力を増大させる考えだった。


しかし優子を見るとニヤリと笑って「その銃は遺品だな」と得意げに言っていた。




「止めて。」
「ガハハハッ!! お前のせいで死んだのだな!? 誰にやられた?」
「うるさい!!」
「優子落ち着け! こいつの口車に乗るんじゃないよ!!」
「おお? そういう宰相甲斐もどうなのだ? 自分のわがままで一体何頭の愛馬を死に追いやったのだ? 良くもぬけぬけと宰相なんて言えるな。」





わざと挑発して怒りの感情を吐き出させると、ヴァルは嬉しそうに魔力を回復させていた。






























その頃、レミテリシアの第6軍とベリー騎士団のアニャとハミルの前にも魔族の指揮官が現れていた。




「う、うう。 これは・・・」
「見るに耐えないな・・・」




レミテリシアとアニャ達3人の前に羽を羽ばたかせて笑う魔族の見た目はあまりに醜かった。


蝿の顔をしているが体は人間か、それとも魔族か。


真っ赤な瞳に不細工な顔を見せ、魔族の羽ではなく虫の羽だ。


しかし体は細く不気味に浮いている。




「嫌悪してくれて構わない。 それが我の力になるからな。 ブブゼラブの末裔のゼラだ。」
「わらわは聞いた事がある。 蝿の王だ。」
「いかにも。 その子孫ってわけさ。」



「気持ち悪い」とハミルが顔を歪めてアニャを見ると「そうだな」と最近の女の子の様な反応をしていた。


レミテリシアは「魔族だけは降伏を認めてやれないな」とため息交じりの声で言っていた。


しかしゼラは不敵に笑っていた。


「降伏するのは貴様らだ」と透明にも見える羽を高速で羽ばたかせていた。


すると意外にも最初に剣を振るったのはアニャだった。




「これ以上見てられぬ!」
「そうですねアニャ!!」





しかしあっという間に2人の剣を避けると髪の毛を掴んで引きずり回していた。


それを見たレミテリシアは双剣を持って腕を斬り落とした。


虫だから当然だが複数ある不気味に細い腕のうち2本を斬られただけと不敵にも不気味に笑うゼラの悍ましい笑い声はアニャとハミルを戦慄させた。



「れ、レミ。 こやつ相当速いぞ。」
「ああ。 気をつけないとな。」




魔軍の攻撃は白陸軍に集中していた。


宰相達が複数人相手でも余裕の表情を貫く魔族の指揮官達は他にもいた。




































第7都市、旧マケドニア領。


ウィルシュタインと赤軍の生き残りが守るこの街にも魔軍は襲来していた。



「雑魚が。 このウィルを相手にその程度で。」




しかしここだけは戦況が違った。


確かにここには魔軍の主力とも言える大部隊が集結していた。


だが相手が悪すぎた。


ウィルシュタインとスカーレットを始めとする宰相の数と戦闘能力の高さが桁外れだった。


つい先日やむなく白陸に加わったユーリとアッシュ姉妹。


彼女らは宰相と互角に渡り合える傑物だった。


そしてユーリの心配をする宰相エヴァと恋人にして戦神の魔呂もこの場にいたのだ。


魔軍はことごとく蹴散らされて指揮官すらも風前の灯火だった。


羽は破けて白い血が体から流れ出ていた。




「ゲハッ!!」
「はっはっは。 何だそのざまは? このウィルと家族の首を取りに来たのだろう? ほらもっと頑張れよ。」
「き、貴様ら!!」




ウィルシュタインの自慢のダブルブレードが高速で回転しては魔族の指揮官の体をグサグサと貫いていた。


周囲に目を見渡せばユーリは複数体の魔族を凌駕している。


アッシュ姉妹も同様に。


そして魔呂はかつての友軍である魔族をおもちゃの様にして暴れまわっていた。


逃げようとする魔軍は次々にエヴァとナイツに撃ち抜かれていた。




「こ、ここは新設されたばかりの領地のはずだ・・・」
「だから? それよりどうしてそれを知っている?」
「ゼラの部下が蛾王国に潜入しているからだよ・・・」





虫の王国である蛾王国にゼラの蝿が紛れていても誰も気が付かない。


王である蛾路でさえも気が付かないのだから。


天上界の情報は全て蛾王国から流されていた。


ウィルシュタインは高笑いをすると「情報を知っているからどうした?」と無様に片膝をついて撃ち抜かれた羽を動かそうとする指揮官をあざ笑っていた。


するとほとんどの魔族を撃退したユーリが近づいてくると拳銃を構えていた。




「ウィル。 まだ尋問するのか?」
「いいや。」



ウィルシュタインが声を発するやユーリは即座に拳銃の引き金を引いた。


そして何食わぬ顔をして次の魔族を撃退しに行こうとするとウィルシュタインに呼び止められた。


「ああ?」と振り返ると意外な事を言った。




「我々は他の都市へ救出に向かう。 だがお前はここに残って赤軍を率いて守れ。」
「なんだと?」
「新参のお前にこれ以上危険を背負わせたくない。」
「お前・・・」




「どうして?」と首を傾げていた。


この様な時に最前線に送られるのは信頼されていない新参の部隊というのは常識だ。


ウィルシュタインは常識とは正反対の本国の守りにつかせた。


万が一にでも反乱を起こされたらウィルシュタイン達は孤立無援となる。


だが躊躇する事なく「残れ」と言い放ったウィルシュタインに驚きが隠せなかった。


「ではしっかり守れ」とだけ言うとスカーレットや魔呂、エヴァとナイツを引き連れて周囲の味方を助けに向かった。


立ち尽くすユーリの隣に来たゾフィは鼻で笑っていた。




「どうする?」
「正しき共産主義か。」
「ここならできる?」
「かもな。」



赤軍は都市の至るところに兵士を配備して魔軍の侵入を防いだ。





































白陸に加わって日が浅い面々はユーリ達だけではない。


赤軍討伐戦で援軍として現れて以来、信頼を得た呂玲は帝都で白王隊と共に魔族を撃退していた。


そこには同じく日が浅いが虎白の側近である莉久と婚姻関係にあるメアリーもいた。


帝都は街全体が守りに適した作りになっている事や白王隊が3万3000も配備されている事もあり、魔軍も警戒していたのか襲撃してくる魔族は多くなかった。


しばらくすると虎白がゼウスの王都から不機嫌そうな表情で戻ってきた。


莉久が駆け寄ると「どうだ?」と尋ねてきた。




「宰相が各個撃破しつつあります。 苦戦しているのは竹子とレミの軍団ですね。」
「そうか。 呂玲は竹子の援軍に向かえ。」
「御意!」




呂玲は清涼騎馬兵を引き連れて竹子の救援に向かった。


そして莉久を見るとニヤリと笑った。


「たまには嫁さんを連れて動け」と言われると動揺を隠せずにあたふたとし始めた。




「メアリーと一緒にウィルに合流しろ。」
「ふぁっ!?」
「メアリー騎士団と莉久隊だけ連れて行け。」
「ふぁい!」
「メアリーよろしく頼むな。」
「ええ!」




動揺している莉久にメアリーはニコリと笑って部隊を連れて進んだ。


そして天上界の地図を広げた虎白は大和領をじっと見ていた。


隣にいる恋華を見ると「剣と盾を持っていきなさい」と虎白の考えている事を全て理解しているかの様に言った。


恋華の言う剣と盾は雷電と染夜風だ。


虎白は大和領の桜火と軍太を救出しようと考えていた。


だが眉間にシワを寄せる虎白は「宮衛党は?」とつぶやいた。


すると恋華は首を振っていた。

































天上界同時攻撃には当然だが宮衛党も狙われていた。


宰相達が各都市で防衛戦をしながらも戦況報告を帝都にしている中で宮衛党だけは音信不通だった。


そこにはメルキータの補佐として雷電と染夜風がいるが何も助言せずに混乱するメルキータを見ていた。




「ど、どうしよう・・・」
「どうしようも何も反撃しないと民が死にますよ。」




雷電が呆れた表情でメルキータに言い捨てるとあくびをしていた。


厄介なのはメルキータの判断力だけではない。


ここには優奈を守るために白斗も来ていた。





「メルキータ。 お前が怖いなら俺に部隊を預けろ。」
「殿下は経験不足ですので魔族との戦いには出ないでください。」
「西の連合軍を蹴散らしただろ!」
「しかし判断を誤られた。」
「ぐっ・・・じゃ、じゃあどうするんだよ!!」





雷電と染夜風も「いい加減にしてくれ」という表情で機能が停止しかける宮衛党に呆れていた。


ウランヌやシフォン、ルメーにヘスタ、アスタ姉妹など武勇確かな将校が武装して待機しているのにトップのメルキータが指示を出さない。


それを邪魔するかの様に白斗は「俺が行く」と豪語していた。


呆れる2狐の横で我慢の限界が来たのかメリッサが口を開いた。



「もういいよ。」



ガヤガヤとうるさい参謀室でメリッサが小さくつぶやいた。


「何が?」と一同が見つめる中でメリッサが卓上の部隊配備を指示し始めた。


こうしている今にも半獣族の民が死ぬかもしれないというのに何を言い合っているのかと少し怒りながら淡々と話した。




「メルキータおばさんの兵をシフォンの遊撃隊に合流させて正門を守らせて。」
「わかった! 行ってくるね。」
「ルメーは正規兵を連れてシフォンの援護ね。」
「はいよ!」




やっと指示が出たのかとシフォンとルメーは安堵した表情で前線へと向かっていった。


残るウランヌとヘスタ、アスタ姉妹をどう動かすかが大事だとメリッサは冷静に卓上の部隊配備を見ていた。


ウランヌの陸戦歩兵強襲隊は宮衛党で最強の部隊だ。


ヘスタ、アスタの軽歩兵奇襲隊は宮衛党で一番動きの速い部隊だ。





「ウランヌは地下道から后宮の外に出て。」
「それでどうするの?」
「ヘスタ、アスタは城壁から飛び降りて正門に迫る敵兵の左右を奇襲する。」
『はい!!』
「そんで地下道から一度出たウランヌと部隊が真後ろから敵に蓋をする様に退路を塞ぐ。」




淡々と話すメリッサに唖然とする一同。


ウランヌは微笑んで「お見事です」と敬礼した。


メリッサは「奇襲のタイミングはメリッサが指示するね」と言うと将校を連れてさっさと参謀室を出ていった。


静まり返る部屋の中でメルキータは「よかった」と安心していた。


白斗は悔しそうに椅子に座ると「そうだ!」と立ち上がり刀を腰に差すと「俺は戦ってくる」と颯爽と部屋を出ていった。


雷電の言葉を忘れたのか、それとも指揮を執るわけじゃないから問題ないとでも言いたいのか。


呆れ顔の雷電は自身の雷電隊の兵士10狐を白斗の護衛につけた。


伸びをしてから雷電は「じゃあ行くか」と染夜風に言うと2狐も部屋を出ていった。




「ど、どこへ?」




メルキータが不安そうに尋ねた。


「虎白様と大和の救援に行く」と返すと置いていかないでと言わんばかりに不安そうにしていた。


雷電は気にもせずに「メリッサがいれば宮衛党は落ちないさ」と言い残して颯爽と部屋を後にした。










































虎白は白王隊3万を連れて1000だけを恋華と紅葉に任せて帝都の守りに残した。


2000は莉久が連れて出陣している。


3万の大兵を連れて大和救援へと動き出した。




「雪花。」
「これに。」
「下界に敵は来ていないな?」
「はは。」




うなずいた虎白は「下界の厳三郎とは連絡を取っておけ」と小さく話すと「御意」と応えた。


帝都を出た神族の軍隊3万は道中で出くわした全ての魔族を斬り捨てて進んだ。


竹子の第1都市を通過したが前線の戦いには加わらずに進撃を続けた。




「そろそろ雷電と染夜風の兵2万も合流するな。」
「宮衛党を出たと今しがた。」
「そうか。 宮衛党はどうなっている?」
「メリッサ様が陣頭指揮を執られているとか。」





目を細めた虎白は「白斗は?」と隣にいる雪花に尋ねた。


すると小さい声で「武働きに出られたとか」と返し、ため息をついた。


虎白は白斗を呼び戻そうか悩んだが、今から行くのは天上界の最前線。


桜火が必死に戦っている危険な場所だった。




「まあいいや。 とにかく天上門の外まで敵を押し返すぞ。」
「御意!」



虎白が左を向くと竹子達がヴァルと戦闘をしているのが遠くに見えた。


「頼むぞ」と小さくつぶやくと更に先へ進んだ。

































宮衛党を出発する雷電と染夜風は「ヒヒヒッ」と笑い合っていた。



「次の宮衛党はメリッサに任せるか。」
「そうだねえ・・・殿下・・・」
「仕方あるまい。 ではメリッサの判断に敬意を示して助太刀してから虎白様に合流するとしよう。」



雷電は兵2万の先頭に立つと鞘から刀をゆっくりと抜いた。


虎白に合流しようにも宮衛党は巨大な要塞都市にして入り口は一つしかないという変わった作りだった。


理由は出入り口を複数作ると迷子になって行方不明になる半獣族が続出してしまう恐れがあるという知能面に劣る半獣族ならではの作りだった。


しかしその作りが防衛戦ではかえって好都合となっていた。


つまり雷電が虎白に合流するには正門を通るしかなかった。


正門にはシフォンとルメーが兵士を連れて守りについていた。


魔軍もそこへ殺到するしかなかった。


城壁にはヘスタ、アスタ姉妹と軽歩兵が待機している。


鬼門である一本道を雷電は悠々と進み始めた。




「では出陣!!」
『おおおおおおお!!!!!!!!!!!』




雷電が足早に宮衛党の兵士をどかして進むと、正門を越えて魔軍の目の前に現れた。


刀を振り始めたが相変わらずあくびが出るほど遅い動きに驚く魔軍は雷電に襲いかかると、体が一瞬にして跡形もなく消え去った。


雷電の背後から白王隊が攻撃を始める。




「弓兵! 放て!」




放たれた弓は白っぽく光り、軌道を一切変える事なくまるでミサイルの様に一直線に飛来して魔軍の体を射抜いた。


言うまでもなく即死した。


その間も雷電は変わらず莉久の「物体の動きを遅らせる力」でも受けているかの様にゆっくりと動いていたが、跡形もなく消え去った先ほどの惨劇を目の当たりにした魔軍は雷電に攻撃しなかった。





「かかれー!!!!!」




白王隊が一斉に縦陣で斬り込むと真っ二つに体が避けていく。


そして乱戦を始めたが一方的とも言えるほど次々に魔族を斬り倒して進む。


染夜風は部隊を的確に投入してはまるで散歩でもするかの様にスタスタと前へ進んでいく。




「投げ槍今だー!!!」



染夜風の直ぐ前にいる兵士が十文字槍を構えているが前方には乱戦を行っている味方の白王隊が大勢いる。


だが構わずに槍を弓同様に軌道を変える事なく投げた。


乱戦で戦う兵士達は物凄い速さで魔軍を斬っているが「跳ねよ!」と一声かけると全兵士が一糸乱れぬ動きで空中で一回転すると鞘に刀を戻した。


槍は空中に舞った全兵士の下を通過して魔族に突き刺さると着地した全兵士が槍を抜いて縦横無尽に暴れ始めた。




「弓兵!! 天下!!」




弓兵が空に向けて矢を放つと雨の様に矢が魔軍の後方に降り注いだ。


天から下に降り注ぐ死の雨だ。


僅か5分程度か。


そして雷電が動きを止めて鞘に刀を戻した。


すると周囲にいた何百もの魔族が一斉に首が吹き飛び倒れた。




「では虎白様の元へ行くとしよう。 宮衛党このまま耐えよ!」



爽やかな笑顔を見せると雷電と兵2万は颯爽と進撃を始めて行った。


メリッサの作戦なんて最初から必要もなかった。


だが肝心なのは頼らずに乗り越える力があるかどうかだ。


城壁で見つめるメリッサは笑った。




「どうせそんな事だと思った。 ははは!! さすがパパの兵士だなあ。」





僅か5分の出来事だ。


魔軍は数万もの死者を出した。


これが皇国の剣だ。
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