【完結】私の望み通り婚約を解消しようと言うけど、そもそも半年間も嫌だと言い続けたのは貴方でしょう?〜初恋は終わりました。

るんた

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カフェとケーキの木 side A

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「あの……、何かあったの?」

 何だろう……。キラキラが半分くらいに減っている気がする。

「…………何もないよ。少し考えごと」

 彼は首を傾げて微笑んだ。やはりキラキラ減の状態だ。
 お店の奥に行ってからなのよね……。彼は学生なのにお父様の仕事にも関わってるのだ。色々大変なこともあるのかもしれない。

「それよりも、今日はたくさん歩いたから疲れたよね。近くのカフェを予約してるから行こう」

 彼は気を取り直すように早口で言った。『疲れてるなら無理しなくても』と言いかけたが、それも失礼かなと飲み込んだ。


 近くのカフェと言っていたけど、連れられて行ったのは、最近できたばかりの並ばないと入れない話題のカフェだった。予約をとるのも大変なのに……!と震えていると、彼が隣でぷっと吹き出した。キラキラが少しだけ戻った気がする。

「喜んでもらえたようで嬉しい」

 エスコートされて店内に入ると、小さな丸テーブル席に案内された。私のお茶の好みだけ聞くと店員は下がってしまった。

 周囲のテーブルに運ばれていくケーキをこっそり観察していると、さっきの店員がワゴンを押して戻ってきた。
 その上にはティーセットとカラフルな何かが乗っている。

 近くで見ると、30センチ位の金色に輝くケーキスタンドだった。真ん中の支柱から生えた枝の先は小さなトレーのようになっていて、それぞれ形の異なる色鮮やかなケーキが乗っている。ケーキ達はスタンドの金色に負けないくらい、表面が輝いている。
 思わず口が開いてしまいそうになるのを、ぐっと堪えた。

「せっかくだから頼んでおいたんだ」

 すっかりキラキラを取り戻した彼が笑顔で教えくれる。嬉しい。

「ケーキの木みたいね!とっても素敵」

 はたと周囲の視線を感じる。そうよね、こんなものがテーブルに乗せられたら、注目されるわよね……。しかもケーキに負けないキラキラした彼も一緒だし。

 少し緊張しながらも気を取り直して、ケーキをいただくことにする。どれから食べるか迷ってしまう。なんて幸せな悩み。


「君は、所作が綺麗だね」

 ケーキとお茶を美味しく堪能していると、突然褒められた。

「そうかしら……。ありがとう。そう言ってもらえるなら、きっと母のお陰ね。領地にいる時でもマナーには厳しかったから」

 そう。領地では土や雪にまみれるまで暴れまわっても許されたけど、挨拶と食事のマナーにはとても厳しかった。今では感謝しかない。あれがなかったら、野生の小猿のようになってたかも。
 あの頃の兄と自分を思い出すと、幸せだけど、何とも言えない気持ちになるわ……。

「母君は素敵な方なんだね」

 彼は綺麗に微笑んだ。

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