禊ぎを終えたから自由に過ごせるようになった

かざみねこ

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第1章

第7話 事の始まりは

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 バニーさん2人にジーッと見られながら服を着て、神様の居る執務室へロマーナさんと向かう。応接室を出た後、また猫背で画面に齧り付いているOL風の方達の横を通り過ぎ、事務室の一番奥の扉へと辿り付いた。

「ロマーヌ・ブレイヤです、マサト・カナエ様をお連れ致しました」

 ノックをした後、ロマーナさんは扉の前で挨拶をする。さっきまでと雰囲気が違って喋り方も変わっていた。とても人の着替えを見つめていた人と同一人物とは思えない。

「お入り下さい」

 てっきりお爺さんの声がすると思ったけど、もの凄く若い女性の声だった。ロマーナさんが扉を開け、僕が先に入るよう促した。

「し、失礼します」

 部屋に入ると部屋の作りは洋風で、だけど何故か部屋の隅に畳があり、屏風なども立てられていた。そして部屋の中央には大きい執務用のデスクがあり、その前に着物姿の中学生くらいの女の子が立っていた。

「お初に御目文字いたします。この世界の神をしております、ハナ = アークライトと申します。以後お見知りおきを」
「ええぇ、ああ、はい。こちらこそ宜しくお願いします。あ、マサト・カナエです。」

 凄く丁寧に挨拶されてビックリした。そしてまさかの神様だった。凄く若いのに、見た目とか神様は自由に変えられるのかな。

「えーと、凄くお若いですね」
「そうですね、まだ神界でも若輩者ですので、この様な見た目になっております」

 実際の年齢はともかく神界という神様の世界では、彼女は見た目くらいの年齢ということなのかな。それよりもさっきから気になっていることを聞いてみることにする。

「あの、質問良いですか?」
「はい、何でしょう」
「なぜ神様である貴方が、罪人の僕に丁寧な言葉を使われているのでしょうか?」

 畳とか屏風とかも気になってるけど、でも、それはきっと、先ほどロマーナさんが言ってた取り寄せたってことだろう。それよりも、こちらの方が気になった。

「そうですね。まず、喋り方でしたら普段からこのような喋り方をしているから、ということになります」
「はぁ、なるほど」
「そして何より私がマサト・カナエ様、貴方に謝罪をしなければならない立場だからです」
「謝罪・・・ですか?」

 スロットを壊した僕を怒るために、ここに呼んだんじゃ無かったんだ。でも謝罪って何に対してだろう。

「本当に申し訳御座いません」

 神様は手を前に重ね深く深くお辞儀をした。驚いてどうしたら良いのだろうとキョロキョロしてると、隣に経っていたロマーナさんも同じようにお辞儀をしていた。

「えーと、正直に言いますと何に対する謝罪なのか、僕自身さっぱり分かってないんですが」

 神様は顔を上げると、目をパチクリとした。

「ロマーナ、マサト様にご説明されていないのですか?」
「はい、先程エメに調査結果を聞いた上で、ハナ 様から直接ご説明差し上げた方が良いと判断しました」
「成る程、分かりました。マサト様、僭越ながら私からご説明致したく存じます」
「あ、はい。お願いします」

 何も分かって居なかったけど、あのお茶汲みバニーさん、エメさんの名前が今更分かった。

「事の始まりはマサト様をこちらの世界にお招きすることを打診されたことでした」

 神様は静かに目を瞑りながら、両手を胸の前で握り瞑想するかのように語り出した。

「聞けばマサト様が居られた世界の知識で、召喚された世界の戦乱を拡大させ、最後にはあらゆる国家を巻き込み混乱の渦に陥れたとか」

 胸が痛い。僕も神様と同じように手を胸へ寄せた。僕の場合は動悸が酷いからだけど。

「そのような方を招くに当たって、一体どのような知識で世界に影響を与えたのか。そもそもどのような世界から来られたのか。それを知るためにマサト様の居られた世界、そして生まれた国の知識を集めることから始めました」

 なるほど、端から聞けば凶悪犯の身元の受け入れだから、僕自身を知る前に環境を知ることにしたのか。

「マサト様の世界に関わっておいでの神にお願いして、日本という国の知識を集めました。最初はマサト様が居られた街を中心に、そこに済んでいる方々の人間性、趣味嗜好、衣食住などの情報を集めました」
「あ、そこであの緑茶に繋がるのか」
「飲みになられましたか?そうです、その時に緑茶などの飲料を知り実際に飲んでみるため、あちらの神に頼み取り寄せてみました。そして緑茶以外も含めて飲んでみたところ、殊の外緑茶が私の舌に合いましたので定期的に取り寄せるようになりました」

 そんなにハマったのか。外国の人からしたら薬の味にしか思えないとか言われてたらしいけど。この神様、見た目から日本人形を大きくしたような日本人に近い感じだし、色々相性が良かったんだろうな。

「そういえば、お茶も出していませんでした」
「私がエメに用意するよう伝えてきます。ハナ様とマサト様は畳の間でお待ち下さい」
「そうですね、それが良いと存じます。さ、マサト様こちらへ」

 ロマーナさんはお辞儀をした後ドアから出て行き、僕はさっき気になっていた畳が敷かれているスペースへ神様と移動した。そして靴を脱いで神様の対面で正座をする。

「楽にされて構いませんよ。どうぞ、足を崩して下さい」
「えーと、良いんですか?」
「はい、お気になさらず」

 じゃあ、お言葉に甘えてあぐらを組もう。足を崩すと板間じゃ味わえない畳の感触を足で感じ取れた。

「この畳や屏風とかも取り寄せたんですか?」
「左様でございます。日本という国に興味が沸き、日本で一番日本という国を感じられるところはどこかという情報を集めたところ、京都だと分かりました」

 あぁ、確かに。日本文化に一番触れられるところはどこかと僕に聞かれても、京都と答えるだろう。他にもあるんだろうけど、僕の知識じゃ京都くらいしか思いつかなかった。

「元々畳などはマサト様の街の知識でも得られていたのですが、京都では文化として情報を得ることが出来ました。こちらの屏風や私が着ている着物などもそうです」
「神様、着物似合ってますもんね」
「あ、ありがとう存じます。京都で私と似たような見た目の方が着物を着ていて、こちらも取り寄せて着用してみたところ、今まで着ていた召し物より身体に合っていましたので、それ以後着物を着用するようになりました」

 僕が褒めると神様がほんのり頬を赤くし照れた顔をした。どうしても見た目が中学生くらいだから段々妹とか従姉妹に思え、なんだか微笑ましくなってきた。

「失礼致します。お茶のご用意が出来ました」
「お入り下さい」

 ノックの音とドア越しにロマーナさんの声が聞こえ、ドアが開く。すると、ロマーナさん以外に先程と同じように盆に湯飲みを乗せてエメさんと、そして最後にリナさんが部屋に入ってきた。
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