禊ぎを終えたから自由に過ごせるようになった

かざみねこ

文字の大きさ
32 / 45
第2章

第32話 またイチャイチャしてるし

しおりを挟む
 3人で宿屋に戻ってロビーでアルディンさんと別れた後、僕とリナは夕食まで自分たちの客室へと戻った。

「これで冒険者ギルドに加入して駆け出し冒険者になれたし、あとはアスピラシオに着いたらアルディンさんに便宜を図ってもらって早く上位の冒険者になるだけかな」
「そうですね。私は冒険者ギルドに関しては余り知らないので、ご主人様にお任せします」

 そう言うとリナはベッドに腰掛けながら膝をポンポンと叩きながら僕を見つめてきた。また膝枕をしてくれるらしい。好意に甘えてリナのベッドに移り膝枕をしてもらう。

「リナの膝枕はドキドキするね」
「まだ2回目だからですか?」
「いや後頭部からは膝の感触が気持ちよくて、目の前には大きな胸が視界いっぱいに広がってるから」
「なるほど」

 何がなるほどかは分からないけど、リナは上半身を丸めて僕の顔に胸を押し当ててきた。なるほど。確かになるほどしか言えない。

 リナの胸と膝の感触を堪能していたらドアがノックされた。僕の口は今リナの胸で塞がれているため、ふもふも言っているとリナが返事を代わりにしてくれた。

「お邪魔しま~す。って、またイチャイチャしてるし」
「うわ、ほんとだ。膝枕かと思ったら胸でサンドイッチしてる、わたしには無理だ」

 どうやら入って来たのはイリーナさんとレメイさんみたいだ。というか視界が見えないしそろそろ息も苦しいのでリナの腰辺りをポンポン叩いて離してもらう。

「ふぅ、これは幸せだけど息苦しくなるのが問題だね」
「分かりました。次はその点を考慮してやってみます」
「よろしく。2人ともいらっしゃい。それで、何だった?」
「夕飯のお誘いに来たんですけど・・・何かどうでも良くなりました」

 イリーナさんにジト目で見られることが多くなった気がする。まぁまぁと宥めながらイリーナさんたちと一緒に宿屋の食堂へと移動した。

 今日は以前あった親睦会は無いようで、冒険者や行商人たちの大半は居酒屋で飲んでいるらしい。僕たちはどうするか相談した結果、あんまり酔っ払いに絡まれたくないから食堂で済ませようということになった。

 4人で食事をしてそろそろ食べ終わるという頃に、アルディンさんが僕らの元へやってきた。

「食事中済まないな。マサト、少し良いか?」
「あ、はい。僕はもう食べ終わってますし良いですけど、何かありましたか?」
「あぁ。今日冒険者ギルドから2つのパーティが森へ資材調達のクエストに行ってたんだが、片方のパーティが血相を変えてさっき冒険者ギルドに駆け込んで来てよ。何でも森でモンスターを見つけたらしい」

 このリリーフ村周辺の森には滅多にモンスターが現れないとはいえ、あくまで確率が低いというだけであって居ないわけじゃない。しかも、それほど強いモンスターが現れることがないため駆け出し冒険者のクエストに割り振られたりしているはずだった。

「血相を変えてですか?この辺は大した魔獣とかは出ないと聞きましたけど」
「あぁ、何でもキノコの化け物を見つけたらしい。人型って話だったから恐らくファンガスだな」

 ファンガスといえばキノコが人型になったようなモンスターで、物理攻撃以外に毒を含んだ胞子を飛ばしてくる。強力なファンガスの亜種ともなれば胞子を人や動物に植え付け寄生することが出来るため危険なモンスターでもあった。

 だがファンガスはそれほど移動速度は速くないため逃げようと思えば農民でも走って逃げられる。また風属性魔法や水属性魔法を使えれば胞子を無効化出来る。それにファンガスは火属性にも弱いなど厄介なモンスターだが色々と弱点があるので魔法使いを含んだパーティさえ組んでおけば遠距離攻撃だけで倒せる相手だった。

「ということは、魔法使いがパーティに居なかったんですか?」
「逃げ込んできたパーティはそうだな。だがまだ帰ってきてないパーティには魔法使いが居たはずだ」
「まだ帰ってきてないんですか?」

 既に日は暮れている。これが森の中なら間違いなく真っ暗になっていて、熟練の狩人でも迷う可能性が出てくる。駆け出し冒険者だったらまず迷っているとみて間違いなさそうだ。

「そうだ。そこで冒険者ギルドから捜索と討伐の任務をマサトたちに指名依頼をしたい。他の冒険者は既に酔っ払いばっかりでな。エディスから相談されてマサトとリナを推しておいた。受けてくれるか?」
「えぇ、構いませんよ。直ぐに出ます。おおよそで良いのでそのパーティがいる方向とパーティの構成を教えて下さい」

 アルディンさんによると、その2つのパーティはリリーフ村から東の方にある森へ採取へ向かったそうだ。それぞれ採取するものが違ったため森に入ってから別れたらしいが恐らくその森に居るだろうとのことだった。

 また捜索するパーティの構成は、剣士のアルフォンス、弓使いのジェービズ、魔法使いのソーニャの3人だそうだ。剣士と弓使いが男性で魔法使いが女性らしい。

 ファンガスの討伐は見つけたら倒すくらいで捜索を優先して欲しい言われた。森から出てきたら残っている冒険者で対処するけど、本格的な討伐は日が昇って冒険者たちの酒が抜けてからということになった。

「分かりました。それじゃあ装備を調えてから捜索に出ます」
「おぅ、悪いけど頼むわ。もしも入れ違いになったら村の外に篝火をつけるからたまに確認してくれ」
「ありがとうございます」

 入れ違いになって僕らがずっと捜索のために森を彷徨うことになるのは勘弁だから助かる。まぁ、それは多分ないかなと思う。そのパーティ全員が生きていたらだけど。

 アルディンさんに食料の用意をお願いしてみたら食料や水を用意すると言ってくれた。僕らは一度客室に戻り武器を装備してから、食堂に顔を出すとアルディンさんから食料などを受け取り、天引きでジュニアスさんから買ったナップザックに入れてイリーナさんたちに行ってきますと挨拶してから森へ出発した。

 リリーフ村から出て東へ向かい、周りの目が届かない場所まで移動すると僕たちは全力疾走して森の入り口付近まで一気に走り抜けた。

「じゃあ、リナ。悪いけど索敵魔法を使って捜索対象とファンガスの位置を探ってくれる?」
「お任せ下さい」

 リナが索敵魔法を使って直ぐに何かを察知したのか森の方へ指を向けこう言った。

「捜索対象と思われる人の気配が2つとそれを追いかける魔物か何かがこちらに向かってきています」
「もう一人は?」
「別方向へ走っているようですね。そちらも何かに追われているようです」
「ありがとう。それじゃまず二人を救出してから、もう一人を探そう」

 リナに光属性魔法で明かり点してもらい僕とリナは森へと踏み込んだ。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

転生貴族の領地経営〜現代知識で領地を豊かにして成り上がる

ファンタジー
ネーデル王国の北のリーディア辺境伯家には天才的な少年レイトがいた。しかしその少年の正体は現代日本から転生してきた転生者だった。 レイトが洗礼を受けた際、圧倒的な量の魔力やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のレイトを辺境伯領の北の異種族の住むハーデミア領を治める領主とした。しかしハーデミア領は貧困に喘いだ貧乏領地だった。 これはそんなレイトが異世界の領地を経営し、領地を豊かにして成り上がる物語である。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

処理中です...