永久の独奏曲

不知火黒刃

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それって…

「めちゃくちゃギリギリじゃん!?」
「本当に奇跡でした。間に合って良かったです!」

今ここにいたという世界線はここだけ。
全ての世界線の中で、彼女が唯一僕に気づいてくれた世界線。
無駄にはしてはいけない。

僕は彼女の手を取り、そして握る。
「ありがとうリリィ。こうやって僕がこうして姫神を助けられる機会が出来たのも全て君のおかげだ。だから…だからもう絶対に自分から命を捨てる事はしない。この二度とない奇跡を未来につなぎ止めてみせる。」

すると彼女は微笑んだ。
「約束ですよ?」
「約束する。」
僕もそうして微笑む。

(それでいいのです。生きる希望をどうか忘れないで。)
「よし、それで僕は過去に戻ったらまず何をすればいい?」
失敗は出来ない。僕はそれから、一つ一つの手順を細かくリリィに聞いた。
「…という手順です。かなり複雑ですが、貴方様の目を通して私もそれを見ています。それをリアルタイムで私が貴方様の脳内に直接次の指示をしますので、その点はご安心下さい!」
  かなり大変だが、リリィが指示してくれるなら概ね大丈夫だろう。
「わかった、なら安心できる。頼りにしてるよ。」
彼女はポンと胸に手を当て主張する。
「任せてください!それにしても貴方様、凄いやる気ですね!」
「もう吹っ切れたよ。姫神を助けて、僕はまた日常に戻る。姫神と2人でまた何気ない会話をしたり、一緒に出かけたり、そして僕は…想いを今度こそ…今度こそ彼女に伝えてみせる!」

「その意気です!それでは準備致しますので、今しがたお待ちください」

絶対に失敗は許されない。
待ってろ姫神。今助けに行くから。

リリィは見慣れない手つきで宙を叩いた。すると僕の周りに螺旋状の光のようなものが渦巻く。その光はどんどん強くなっていき、景色が光に満たされてくる。
その奥から聞こえてくるリリィの声。
「転送準備完了致しました。準備は宜しいですか?       -如月疾様-?」

「バッチリだ。」

「わかりました。疾様、どうかお気をつけて…」
光の向こうで彼女は笑っている気がした。

「リリィ。ありがとう。」
僕を導いてくれた恩人。このが終わったら色んな事を話したい。聞いてもらいたい。この人に。

「時間跳躍開始。」


彼を送り終えた彼女は、再び訪れた静寂と暗闇に包まれたいつもの光景にため息をつく。
(こうして誰かの温もりが無くなると、当たり前だったこの場所も寂しく感じますね。)

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