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一 彼との出会い
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私が彼と出会ったのは、柔らかい風が校内を駆け回る、入学式の翌日のことだった。
教科書が配られたりなどの簡易的な授業が全て終わり、放課後になり、一年生は各自、部活動見学のために、グラウンドだったり、美術室だったり、体育館だったりに向かった。
そんな中、私は姉からの誘いにより、吹奏楽部の見学に向かった。
吹奏楽部の部室である第二音楽室に入ると、入って右側に新入生が座る為の椅子が、奥から二列に渡り、ズラァと並んでおり、左側には現二年生と三年生が金色の楽器や銀色の楽器を持っていた。
私はその楽器達を、ずっと眺めていられそうだったが、後ろから他の新入生が来ていたので、スゥーと適当な椅子に座った。
確か、二列ある内の、後ろの列の椅子に座ったと思う。
暫く椅子に座っていると、椅子がドンドン埋まっていき、最終的に、最初用意されていた椅子が、全て埋まった。
すると吹奏楽部の顧問である女教師のSが、驚きが混じりながらも満足そうな顔で、それじゃあ始めよっか、と元気が有り余っているような声で叫んだ。
はいっ!、と部員達の揃った声がそれに応じて返された。
演奏が始まる。曲名はもう昔のことなので覚えていないが、確か嵐メドレーとか千と千尋の神隠しのメドレーだったと思う。
後に知ることになるのだが、この学校は弱小校である。
ただ、この時の私は音楽に対して一切と言っていいほど知識が無かったので、とても上手い演奏だな、と感じた。
そして、二曲目が終わった頃だった。
隣りに、一人の男子が座っていた。
同じ小学校だったので、顔見知りだったのだが、私は彼とあまり関わった記憶が無かった。
多分、一度も同じクラスになった事がなかったからであろう。
少し演奏にも飽きてきて、アンニュイ気持ちだった私は、暇つぶしに彼に話しかけた。
「あそこで大きい楽器演奏している人いるでしょ?
あれ、私の姉なんだぁ」
「ふーん…そうなのか…」
彼の無愛想な返事を聞いた私は、それを無愛想だと受け取らずに、自分に興味を持ってくれたのだと勘違いをした。
そのため、しつこい納豆のネバネバのように、彼と話を続けた。
今考えてみれば、これが彼に恋情を抱くきっかけの一つだったかもしれない。
それからまた暫くして、演奏がすべて終わり、新入生は下校してください、と放送がなった頃、私は彼は話し合って、一緒に帰ることになった。
黄昏時の空から降り注ぐ黄金色の陽光が、どうにも校門近くで見事に咲いている桜と雰囲気がミスマッチだったことを、強く覚えている。
彼のイケメンではないけれど、個性的な顔にも例外無く陽光が降り注ぎ、影と陽光でコントラストになっていた。
彼の顔を見ると、なんだか恥ずかしい気持ちになってしまったので、その時はなるべく彼と顔を合わせないようにしていた。
ふと、彼が私に尋ねてきた。
「お前はさ…どうして生きているの?」
「ご飯を食べたり、寝たりしてだけど?」
「そうじゃなくてさ…お前の生きる意味って何?」
「生きる意味?…そんなモノ、ないよ。いつも死にたいって、思ってる」
「そっかー」
「死にたいとか思うなよ!とか、自分の生命を軽く見るな!とか言うと思ったのに、返事軽すぎだよ…」
「ゴメン、ゴメン…」
その後彼は作り笑顔と巧みな話術で、お茶を濁した。
後にその質問の意味が分かった時、私は絶望した。
いや、あの時の私は自分以外死にたいと思っている人間がいないと思っていた。
自分が世界唯一の異端者で、頭のおかしい人間で、許されない存在だと思っていた。
でも、そんな幻想は、後の彼の言葉によって、打ち砕かれた。
教科書が配られたりなどの簡易的な授業が全て終わり、放課後になり、一年生は各自、部活動見学のために、グラウンドだったり、美術室だったり、体育館だったりに向かった。
そんな中、私は姉からの誘いにより、吹奏楽部の見学に向かった。
吹奏楽部の部室である第二音楽室に入ると、入って右側に新入生が座る為の椅子が、奥から二列に渡り、ズラァと並んでおり、左側には現二年生と三年生が金色の楽器や銀色の楽器を持っていた。
私はその楽器達を、ずっと眺めていられそうだったが、後ろから他の新入生が来ていたので、スゥーと適当な椅子に座った。
確か、二列ある内の、後ろの列の椅子に座ったと思う。
暫く椅子に座っていると、椅子がドンドン埋まっていき、最終的に、最初用意されていた椅子が、全て埋まった。
すると吹奏楽部の顧問である女教師のSが、驚きが混じりながらも満足そうな顔で、それじゃあ始めよっか、と元気が有り余っているような声で叫んだ。
はいっ!、と部員達の揃った声がそれに応じて返された。
演奏が始まる。曲名はもう昔のことなので覚えていないが、確か嵐メドレーとか千と千尋の神隠しのメドレーだったと思う。
後に知ることになるのだが、この学校は弱小校である。
ただ、この時の私は音楽に対して一切と言っていいほど知識が無かったので、とても上手い演奏だな、と感じた。
そして、二曲目が終わった頃だった。
隣りに、一人の男子が座っていた。
同じ小学校だったので、顔見知りだったのだが、私は彼とあまり関わった記憶が無かった。
多分、一度も同じクラスになった事がなかったからであろう。
少し演奏にも飽きてきて、アンニュイ気持ちだった私は、暇つぶしに彼に話しかけた。
「あそこで大きい楽器演奏している人いるでしょ?
あれ、私の姉なんだぁ」
「ふーん…そうなのか…」
彼の無愛想な返事を聞いた私は、それを無愛想だと受け取らずに、自分に興味を持ってくれたのだと勘違いをした。
そのため、しつこい納豆のネバネバのように、彼と話を続けた。
今考えてみれば、これが彼に恋情を抱くきっかけの一つだったかもしれない。
それからまた暫くして、演奏がすべて終わり、新入生は下校してください、と放送がなった頃、私は彼は話し合って、一緒に帰ることになった。
黄昏時の空から降り注ぐ黄金色の陽光が、どうにも校門近くで見事に咲いている桜と雰囲気がミスマッチだったことを、強く覚えている。
彼のイケメンではないけれど、個性的な顔にも例外無く陽光が降り注ぎ、影と陽光でコントラストになっていた。
彼の顔を見ると、なんだか恥ずかしい気持ちになってしまったので、その時はなるべく彼と顔を合わせないようにしていた。
ふと、彼が私に尋ねてきた。
「お前はさ…どうして生きているの?」
「ご飯を食べたり、寝たりしてだけど?」
「そうじゃなくてさ…お前の生きる意味って何?」
「生きる意味?…そんなモノ、ないよ。いつも死にたいって、思ってる」
「そっかー」
「死にたいとか思うなよ!とか、自分の生命を軽く見るな!とか言うと思ったのに、返事軽すぎだよ…」
「ゴメン、ゴメン…」
その後彼は作り笑顔と巧みな話術で、お茶を濁した。
後にその質問の意味が分かった時、私は絶望した。
いや、あの時の私は自分以外死にたいと思っている人間がいないと思っていた。
自分が世界唯一の異端者で、頭のおかしい人間で、許されない存在だと思っていた。
でも、そんな幻想は、後の彼の言葉によって、打ち砕かれた。
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