わんこな先輩とツンデレな僕の禁断の恋

甘栗

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先輩の優しさ!(新バージョン)

ほろり、ほろりと散る桜

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流れる川を横目に、僕と先輩は楽しく話していた。
川に写ったオレンジ色の夕日が眩しい。

「先輩?なんでさっきからニヤニヤしてるんですか?」
僕は先輩がやけにニヤニヤしているのが気になって訊いてみた。

「ひーみつ!」
先輩はフフフと笑い、鼻歌混じりにスキップをし始めた。

「もぉ……気になるから秘密は無しですよ、先輩!ねぇ、なんなんですか、その秘密って!」
僕は先輩の腕をギュッと掴みながら訊いた。

そうすると先輩は、顔を真っ赤に染めて、
「中也君……無自覚とは思うけど……可愛すぎるよ……」
と恥じらいを感じさせる声で言った。

その後、先輩はずっと顔を赤く染めたままで、ニヤニヤしていた理由を教えてくれなかった。




先輩の行きつけの図書館は、「繭山図書館」と呼ばれている図書館で、荘厳で古風な雰囲気漂う、立派な佇まいをしていた。

「デュイーン」

自動ドアが機械的な音を立てながら開く。

「コツ、コツ、コツ……」

僕と先輩は、ひっそり閑とした図書館の内部に入った。
足音が響くぐらい静かだ。

図書館の入口付近で歩を止めた。
僕は、周りを見渡してみた。

左手にはありきたりな子供用スペース、右手にはありきたりな小説スペースがあった。

そんな感じで、入口付近で、「ぼぉー」としていると、先輩が、「中也君!こっちこっち!」と僕を手招きで呼んだ。

僕は先輩のいる辺りまで駆け足で行った。

「ダッ、ダッ、ダッ……」

……着いた。
すると先輩は、突然、僕の左手首をギュッと掴んだ。

「付いてきて!」
先輩は、リードを引っ張るわんこのように、グッと僕の手を引っ張り、駆け始めた。

「タッタッタッ……」

静かな図書館に、僕と先輩の足音だけが響く。

「ねぇ……先輩!どこに行くんですか?」
僕は先輩に、小声で訊いてみた。

「ヒミツー!大丈夫!すぐに分かるから大丈夫!」
先輩は弾んた声で応えた。




「着いたよ!」
間断なく呼吸をしている僕と先輩は、図書館の二階の一番奥に来た。

一番奥には、流石によく分からない辞書ばかりあるだけだったので、人っ子一人居らず、ただ、ただ、大きな窓ガラスだけがあった。

「ほら、ここの窓!」
先輩は窓ガラスの向こう側を、人差し指で指した。
僕は先輩の指示通り、窓ガラスの向こう側を見てみた。




透き通った窓ガラスの向こう側には中庭があり、中庭の中心には神々しく光る、薄いピンク色の花びらをほろり、ほろりと舞い落とす桜が咲いていた。

「季節外れなのに……なんで?」
僕は先輩に、至極ありきたりな質問をした。

すると先輩は桜の方を眺めて、目をキラキラと輝かせながら、「この桜はね、俺の叔父が高校生の時に秘密裏に作った桜らしいんだ。
世の中には、この一本しか存在していない……たった一つの桜なんだ。
なんだか、青い薔薇みたいで、幻想的だと思わない?」
と、夢心地な声で言った。

確かに先輩が言う通り、この桜にはなんだか、見れば見るほど惹き込まれるような幻想的な魅力がある。

窓越しでも伝わる柔らかそうな花びらは、
ほろり、ほろりと地上に、薄いピンク色の花びらの雨を降らしていた。

また、丈夫そうなダークオークみたいな色の幹には、心動かすぐらいの風情があり、太い根は、力強く地上に張り巡らされていて、強い生命力を感じさせた。

そして何より心動かすのは、微かに匂う甘い香りだ。

桜から漂う甘い香りが、僕を心くすぐられているような気持ちにする。

先輩と僕は、太陽が地平線の下へと沈む頃まで、ただ、ただ、手をギュッと繋いで桜を見ていた。
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