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1.マグロ令嬢
「はあ……お前という奴はくすりとも鳴かん! これでは千年の恋すら冷めるわ!!!」
挿入して、一分も経たずに果てたヘンリーが私を罵ります。せめて、前戯が上手ければ許せる範囲ですが,ただ、乱暴に弄るだけで気持ち悪い……
おまけに愛液が滴る前に焦って、挿入しようとするだけなので痛くて堪りません……
(粗チンの癖して……)
私にとって、ヘンリーとの夜伽は苦痛でしかなく、台の上に乗ったマグロのように喘ぐことなく、ただ、苦痛に耐えるだけだったのです。
見てくれは金髪碧眼で美しいのですが、心根はとてもそのようなことはなく、彼から愛情を感じることはありませんでした。
殿方に愛され尽くして、絶頂を迎えたい……相手を選べない私にとって、そんな細やかな女の願いは絶望的に思えたのでした。
それから半年ほど拷問のような夜伽を続けていたのですが……
「お前のようなマグロ女とは婚約破棄だ!」
本来なら、私とヘンリーの結婚が発表されるパーティーの場で彼はあろうことか、夜伽で私の態度が全て悪いかのように罵り、婚約破棄を宣告したのです。
パーティーの参加者からクスクスと漏れる失笑……
更にヘンリーの傍らで薄ら笑いを浮かべる学院でのライバルだったイライザがおりました。つかつかとヒールを鳴らし、私の耳元に扇子を当てて、囁きます。
金髪に幾つもの縦ロールをセットし、切れ長の瞳の彼女……
「あなたでは王子を満足させられなかったようね、うふふ……」
「イライザ……まさか、ヘンリーと……悪いことは言わないわ。止めておきなさい」
「あら、ヘンリー様を取られて、悔しいのかしら? でも、もう皆に宣告しちゃったあとよ。あなたはお払い箱。私はヘンリー様に寵愛されるのよ!」
「……」
例え、ライバルであろうとも女の幸せが得られない以上、忠告したつもりでも、彼女の耳に届くことはありませんでした。
「ん? アーシャ、ここで何をしている。今からイライザと婚約発表を行うのだ。早々に立ち去ってもらえないか?」
「はい……」
パーティーに参加している貴族達全員か私を嘲笑っているかのように思え、逃げるように王宮を後にしたのです。
帰宅すると……
「「アーシャ!」」
「さぞ、辛かっただろう」
「もう、良いのよ」
「お父様、お母様……」
きっと叱られると思っていたのに両親から抱き締められ……
「ううっ……今まで、ヘンリーの妃に相応しいように嫌なことも全部、我慢して、辛いことも明るく振る舞っていたのに……こんなことって……ううっ」
「ああ、お前はちゃんと努力したよ」
「どこに出しても恥ずかしくない子よ、あなたは……」
「それなのに……それなのに……」
ヘンリーのことは好きでもありませんでした。ですが伴侶として、王国を支えようと好きに努力は惜しまなかったのですが今となっては全て無駄だったです。
泣きはらす私に両親はずっと一緒に付いていてくれました。
こんな醜聞が広まれば、私はもう……王子が用済みになった女など、誰が求めるというのでしょうか? ですが、あの苦痛だけしかなかった夜伽から解放され、ホッとしたのも事実でした。
しばらく、屋敷に引きこもり過ごしておりましたが、決心して修道女となるため、髪を短く切ろうとしたときです。
「アーシャ! いけません!!!」
部屋に入ってきた母が挟みを持った手を握り、制止しました。
「お母様……私は修道女として生きようと思います。止めないで!」
「今、オットーがあなたと婚約してくれている相手を見つけようとしています。せめて、会ってからお決めなさい」
「はい……」
こんな哀れになった私でも両親は見捨てることなく、愛して下さることに髪を切ることを踏みとどまりました。
父は私の先を哀れみ、修道院入りをなんとか回避させ、縁を頼り、新たな婚約者を見つけて下さったようで……
「アーシャ! 相手が見付かったぞ! 家格こそ低いがお前を大事にしてくれそうだ」
「何もしてあげられなかった私達を許して……」
本当は父も母も私が婚約破棄され、痛手だと言うのに私を気遣ってくれたのでした。
「お父様、そのお相手というのは?」
「妻を亡くしたと言う近衛騎士団長のヴェルナーだ」
「「えっ!?」」
私と母は父から出た名前に驚きを隠せませんでした。彼は妻を亡くして以来、女性とは無縁の生活を送っていると評判の草食騎士団長と渾名されていたからです。
挿入して、一分も経たずに果てたヘンリーが私を罵ります。せめて、前戯が上手ければ許せる範囲ですが,ただ、乱暴に弄るだけで気持ち悪い……
おまけに愛液が滴る前に焦って、挿入しようとするだけなので痛くて堪りません……
(粗チンの癖して……)
私にとって、ヘンリーとの夜伽は苦痛でしかなく、台の上に乗ったマグロのように喘ぐことなく、ただ、苦痛に耐えるだけだったのです。
見てくれは金髪碧眼で美しいのですが、心根はとてもそのようなことはなく、彼から愛情を感じることはありませんでした。
殿方に愛され尽くして、絶頂を迎えたい……相手を選べない私にとって、そんな細やかな女の願いは絶望的に思えたのでした。
それから半年ほど拷問のような夜伽を続けていたのですが……
「お前のようなマグロ女とは婚約破棄だ!」
本来なら、私とヘンリーの結婚が発表されるパーティーの場で彼はあろうことか、夜伽で私の態度が全て悪いかのように罵り、婚約破棄を宣告したのです。
パーティーの参加者からクスクスと漏れる失笑……
更にヘンリーの傍らで薄ら笑いを浮かべる学院でのライバルだったイライザがおりました。つかつかとヒールを鳴らし、私の耳元に扇子を当てて、囁きます。
金髪に幾つもの縦ロールをセットし、切れ長の瞳の彼女……
「あなたでは王子を満足させられなかったようね、うふふ……」
「イライザ……まさか、ヘンリーと……悪いことは言わないわ。止めておきなさい」
「あら、ヘンリー様を取られて、悔しいのかしら? でも、もう皆に宣告しちゃったあとよ。あなたはお払い箱。私はヘンリー様に寵愛されるのよ!」
「……」
例え、ライバルであろうとも女の幸せが得られない以上、忠告したつもりでも、彼女の耳に届くことはありませんでした。
「ん? アーシャ、ここで何をしている。今からイライザと婚約発表を行うのだ。早々に立ち去ってもらえないか?」
「はい……」
パーティーに参加している貴族達全員か私を嘲笑っているかのように思え、逃げるように王宮を後にしたのです。
帰宅すると……
「「アーシャ!」」
「さぞ、辛かっただろう」
「もう、良いのよ」
「お父様、お母様……」
きっと叱られると思っていたのに両親から抱き締められ……
「ううっ……今まで、ヘンリーの妃に相応しいように嫌なことも全部、我慢して、辛いことも明るく振る舞っていたのに……こんなことって……ううっ」
「ああ、お前はちゃんと努力したよ」
「どこに出しても恥ずかしくない子よ、あなたは……」
「それなのに……それなのに……」
ヘンリーのことは好きでもありませんでした。ですが伴侶として、王国を支えようと好きに努力は惜しまなかったのですが今となっては全て無駄だったです。
泣きはらす私に両親はずっと一緒に付いていてくれました。
こんな醜聞が広まれば、私はもう……王子が用済みになった女など、誰が求めるというのでしょうか? ですが、あの苦痛だけしかなかった夜伽から解放され、ホッとしたのも事実でした。
しばらく、屋敷に引きこもり過ごしておりましたが、決心して修道女となるため、髪を短く切ろうとしたときです。
「アーシャ! いけません!!!」
部屋に入ってきた母が挟みを持った手を握り、制止しました。
「お母様……私は修道女として生きようと思います。止めないで!」
「今、オットーがあなたと婚約してくれている相手を見つけようとしています。せめて、会ってからお決めなさい」
「はい……」
こんな哀れになった私でも両親は見捨てることなく、愛して下さることに髪を切ることを踏みとどまりました。
父は私の先を哀れみ、修道院入りをなんとか回避させ、縁を頼り、新たな婚約者を見つけて下さったようで……
「アーシャ! 相手が見付かったぞ! 家格こそ低いがお前を大事にしてくれそうだ」
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本当は父も母も私が婚約破棄され、痛手だと言うのに私を気遣ってくれたのでした。
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