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6.新しい日常
チュン……チュチュン!
窓から二匹の小鳥が仲睦まじく、嘴を重ねていました。
朝起きると傍らにヴェルの姿はなく……
私……ヴェルのモノを咥えてしまうなんて……思い出すだけで恥ずかしくなってしまいます。
そんな羞恥で赤くなっていると美味しそうな香りが漂ってきて、テーブルを見ると、蠅帳が掛かっていました。
取り払うと朝の食事が用意されていたのです。そして、その脇にはメモが……
【仕事に行ってくる。昨日はキミがかわいくて、つい無理させてしまった、済まない】
と……
暖炉の上を見るとお鍋が掛かっており、蓋を開けてみるとブイオンをベースにした澄んだスープがあります。
全て、ヴェルが……
「うん、どれも、とっても美味しい!」
スープを温め直し、パンと卵を焼いた物、それに葉物野菜とプラムをありがたく頂いたあと、実家から用意して頂いた服に着替えました。
王宮の暮らしとは全く違うけど、堅苦しくなくて、ヴェルは優しく包容力があって……
格好いい……
それに夜は……もっと……
また、昨晩のことを思い出すと、ぐーっと頬が火照ってしまって、何も手につきません。
少し落ち着いたところでベッドを見ると……
ひゃっ!?
も、物凄くシーツを汚しちゃってる……しかもほとんど私の愛液で……
修道院に入る予定だったので何でも自分一人で身の回りのことは出来るようにとメイド達に家事を教わっていて、正解でした。
それに彼女達のお下がりのメイド服をもらって、着替えたので準備は万端!
お洗濯です!
ふと籠を見るヴェルの下着が……ついでにこちらも洗ってしまいましょう。
私をあんなにトロトロに蕩けるまで喜ばせてくれたヴェルのモノを包んだ布なんですから……
洗濯板と石鹸で習ったように擦るとシーツの染みはなんとか落ちてくれたみたい。
洗い終わり、足で踏んで脱水したあと、ブッサッとシーツを丈夫な紐を張った物干しに掛けました。
夜の食事までには時間があり、お部屋も綺麗で掃除の必要もなさそう……早くヴェルが帰ってきてくれないかと待ち遠しくて堪りませんでした。
☆
――――近衛騎士団長室。
「おい! ヴェル! お前、婚約したんだってな?」
「ソフィー! 朝から騒がしいぞ」
左目に眼帯を当て、黒髪の第三騎士団長の同僚が話し掛けてきた。一応、女ではあるが女傑と言う方が正しいだろう。
時々、どう扱って良いのか分からないときがあるが……
「何であたしに一言もなく、婚約しちまうんだよ!」
「おいおい、俺だってヘルマン卿から急に持って来られた話なんだって!」
「ちっ、あの禿親父……まったく食えねえな」
歯に衣着せぬ発言が偶に傷で第三どころか、第一の団長でも出来る奴だが、そこに留まったままだ。
「で……もう、やったのか?」
ぶっ!?
人差し指と中指の間に親指を差し込んで、馬鹿なことを言ってくる……まったくこいつにはお淑やかとか、そういった概念はないのか?
「まっ、ヴェルに限ってそれはねえか……エレオノーラ一筋であたしの誘いも全部、断ってるしな」
「お前はそもそも既婚者だろ!」
同僚の貞操観念の無さに呆れつつも、アーシャとの昨晩のことを思い出し、赤くなってしまっていた。まさか、エレオノーラ以外を好きになってしまうなんて……
臆面もなく
「冷やかしなら、もう帰れ。また、ヘルマン卿から怒られるぞ」
「あ~、しゃ~ね。ヴェルをからかいに来たんだがやってねえんなら、つまんね」
椅子に座り、背もたれにだらしなくもたれ、頭の後ろで手を組むソフィー。
「んじゃ、帰って仕事でもするわ。あたしとしたくなったら何時でも言えよ」
「さっさと帰れ!」
「え~、婚約祝いの餞別だと思ってもらえりゃありがたいんだけど」
「婚約したての奴に浮気を誘ってくる馬鹿がどこにいる……」
「ここ!」
臆面もなく、自分に指を差すソフィー……
「ヨルギス!」
俺が片腕の名を呼ぶとすぐに駆け付けて、内容を訊ねる。
「はいっ! 団長、何でしょうか?」
「このお馬鹿様を第三騎士団長まで搬送して差し上げろ!」
「ソフィー団長、失礼します!」
「お前ら、覚えてろよ~!」
団員数名に抱えられ、退室していった。
「はぁ……仕事は出来る奴なんだよなぁ、仕事は……」
「団長、モテるのにお誘いは全部、断ってますから仕方ないですよ」
「ソフィーは断る断らない以前の問題だ。サキュバスより質が悪い」
「はは、そりゃ堪まりませんね。で、本当のところどうなんですか? 婚約者さん」
「ヨルギス……お前もか……」
ソフィーを連れて行った団員達も戻り……
「団長! 再婚されたって本当ですか!?」
ソフィーの奴……余計なことをまた、吹き込みやがって……
「ああ。だが、まだ婚約したばかりだ」
「まさかあのマグロ令……」
「バカ! 団長になんつうこと言うんだよ! 失礼過ぎるだろ」
ヨルギスが叱ると慌てて、お調子者のスターリングが手で口を塞ぐ。
「俺もそう思ってしまったから、構わない。但し、アーシャの前では控えてくれよな」
「アーシャさんって言うんですね」
こほん。
「そうだ。だが、婚約して浮かれてなんていないからな。午後の訓練はビシバシ行くぞ!」
「でも団長、表情が緩みっぱなしですよ」
「そ、そうか? 俺はいつもと変わらんぞ」
マズい……全く自覚していなかった。
「団長、お疲れ様でした~!」
「おう~、ゆっくり休めよ」
訓練も終わり、日が下がり掛けた頃に仕事を切り上げ、寄り道して帰る。
窓から二匹の小鳥が仲睦まじく、嘴を重ねていました。
朝起きると傍らにヴェルの姿はなく……
私……ヴェルのモノを咥えてしまうなんて……思い出すだけで恥ずかしくなってしまいます。
そんな羞恥で赤くなっていると美味しそうな香りが漂ってきて、テーブルを見ると、蠅帳が掛かっていました。
取り払うと朝の食事が用意されていたのです。そして、その脇にはメモが……
【仕事に行ってくる。昨日はキミがかわいくて、つい無理させてしまった、済まない】
と……
暖炉の上を見るとお鍋が掛かっており、蓋を開けてみるとブイオンをベースにした澄んだスープがあります。
全て、ヴェルが……
「うん、どれも、とっても美味しい!」
スープを温め直し、パンと卵を焼いた物、それに葉物野菜とプラムをありがたく頂いたあと、実家から用意して頂いた服に着替えました。
王宮の暮らしとは全く違うけど、堅苦しくなくて、ヴェルは優しく包容力があって……
格好いい……
それに夜は……もっと……
また、昨晩のことを思い出すと、ぐーっと頬が火照ってしまって、何も手につきません。
少し落ち着いたところでベッドを見ると……
ひゃっ!?
も、物凄くシーツを汚しちゃってる……しかもほとんど私の愛液で……
修道院に入る予定だったので何でも自分一人で身の回りのことは出来るようにとメイド達に家事を教わっていて、正解でした。
それに彼女達のお下がりのメイド服をもらって、着替えたので準備は万端!
お洗濯です!
ふと籠を見るヴェルの下着が……ついでにこちらも洗ってしまいましょう。
私をあんなにトロトロに蕩けるまで喜ばせてくれたヴェルのモノを包んだ布なんですから……
洗濯板と石鹸で習ったように擦るとシーツの染みはなんとか落ちてくれたみたい。
洗い終わり、足で踏んで脱水したあと、ブッサッとシーツを丈夫な紐を張った物干しに掛けました。
夜の食事までには時間があり、お部屋も綺麗で掃除の必要もなさそう……早くヴェルが帰ってきてくれないかと待ち遠しくて堪りませんでした。
☆
――――近衛騎士団長室。
「おい! ヴェル! お前、婚約したんだってな?」
「ソフィー! 朝から騒がしいぞ」
左目に眼帯を当て、黒髪の第三騎士団長の同僚が話し掛けてきた。一応、女ではあるが女傑と言う方が正しいだろう。
時々、どう扱って良いのか分からないときがあるが……
「何であたしに一言もなく、婚約しちまうんだよ!」
「おいおい、俺だってヘルマン卿から急に持って来られた話なんだって!」
「ちっ、あの禿親父……まったく食えねえな」
歯に衣着せぬ発言が偶に傷で第三どころか、第一の団長でも出来る奴だが、そこに留まったままだ。
「で……もう、やったのか?」
ぶっ!?
人差し指と中指の間に親指を差し込んで、馬鹿なことを言ってくる……まったくこいつにはお淑やかとか、そういった概念はないのか?
「まっ、ヴェルに限ってそれはねえか……エレオノーラ一筋であたしの誘いも全部、断ってるしな」
「お前はそもそも既婚者だろ!」
同僚の貞操観念の無さに呆れつつも、アーシャとの昨晩のことを思い出し、赤くなってしまっていた。まさか、エレオノーラ以外を好きになってしまうなんて……
臆面もなく
「冷やかしなら、もう帰れ。また、ヘルマン卿から怒られるぞ」
「あ~、しゃ~ね。ヴェルをからかいに来たんだがやってねえんなら、つまんね」
椅子に座り、背もたれにだらしなくもたれ、頭の後ろで手を組むソフィー。
「んじゃ、帰って仕事でもするわ。あたしとしたくなったら何時でも言えよ」
「さっさと帰れ!」
「え~、婚約祝いの餞別だと思ってもらえりゃありがたいんだけど」
「婚約したての奴に浮気を誘ってくる馬鹿がどこにいる……」
「ここ!」
臆面もなく、自分に指を差すソフィー……
「ヨルギス!」
俺が片腕の名を呼ぶとすぐに駆け付けて、内容を訊ねる。
「はいっ! 団長、何でしょうか?」
「このお馬鹿様を第三騎士団長まで搬送して差し上げろ!」
「ソフィー団長、失礼します!」
「お前ら、覚えてろよ~!」
団員数名に抱えられ、退室していった。
「はぁ……仕事は出来る奴なんだよなぁ、仕事は……」
「団長、モテるのにお誘いは全部、断ってますから仕方ないですよ」
「ソフィーは断る断らない以前の問題だ。サキュバスより質が悪い」
「はは、そりゃ堪まりませんね。で、本当のところどうなんですか? 婚約者さん」
「ヨルギス……お前もか……」
ソフィーを連れて行った団員達も戻り……
「団長! 再婚されたって本当ですか!?」
ソフィーの奴……余計なことをまた、吹き込みやがって……
「ああ。だが、まだ婚約したばかりだ」
「まさかあのマグロ令……」
「バカ! 団長になんつうこと言うんだよ! 失礼過ぎるだろ」
ヨルギスが叱ると慌てて、お調子者のスターリングが手で口を塞ぐ。
「俺もそう思ってしまったから、構わない。但し、アーシャの前では控えてくれよな」
「アーシャさんって言うんですね」
こほん。
「そうだ。だが、婚約して浮かれてなんていないからな。午後の訓練はビシバシ行くぞ!」
「でも団長、表情が緩みっぱなしですよ」
「そ、そうか? 俺はいつもと変わらんぞ」
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