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18.嫉妬
そんなことより大事なことをジュールに伝えないとなりません。
「アーシャ、それにしても危ないところだったな」
「うん……ジュール、聞いて。私、見てしまったの……あんな酷いことしたのは、多分、ヘンリーだと思う」
「な……何だと?」
ジュールは眼鏡のブリッジを指で押して、位置を直していました。
「盗賊風の男を制するのに必死でこちらからは確認できなかった……」
動揺したときの癖は以前と変わりません。
「しかし……仮にヘンリーであったとしても、現場を押さえない限り、処分するのは難しい……むしろ、下手に叩くと潰されかねないからな。特に私は……」
「ええ……」
「ヘルマン卿に話を上げておく。我々が何とかやってみる。とにかく、アーシャは出歩くことを控えるようにして欲しい」
「はい……」
私達の仲を引き裂いたヘンリーがイライザだけでなく、市井の女の子まで手に掛けるなんて……
☆
――――ヴェルナーの家。
路地裏で物音がして、駆け付けてみれば……まさか、アーシャとジュール様がキスしてるなんて……二人がこちらに近づいて来たので直ぐにその場を離れたが……
「ふふふんふ~ん♪」
アーシャは鼻歌を歌いながら、お菓子作りに熱中している……ジュール様との秘密の逢瀬がそんなにも楽しかったんだろうか?
やっぱり、俺なんかより王族のジュール様の方が良かったのだろうか? 俺の中にもやもやした嫌な気持ちが溢れてしまって、落ち着かない。
「ヴェル? ヴェルったら」
気付くと、ゆっさゆっさと俺の肩をアーシャが揺らしていた。
「済まない。ちょっと考え事をしていただけだ」
「アップルパイが出来たの、上手く出来てるか分からないけど、食べない?」
このもやもやが無ければ、俺はアーシャを食べたい、なんてノロケたことでも吐いてるとこだが……今日は気持ちが晴れそうにない。
「ああ、是非頂こう」
ミトンを嵌め、パドルを手馴れた手付きで扱い、オーブンからパイを引き出す。すると、部屋いっぱいにふわっとした甘い香りが漂い食欲を誘う。
ナイフでサクッと、サクッと手際良く切り分けると皿に乗せ、俺の席とアーシャの席へと並べていた。
俺も茶葉を少し蒸らしたあと、ティーポットから紅茶をカップに注ぎ、彼女の席へと並べる。
本当はアーシャに問い質したい……ジュール様とは、どういう関係なのか……ただの知り合いなんて雰囲気じゃなくて、もっとこう深い中だというのだろうか……
エプロンを掛け、俺に微笑む彼女……ジュール様にもそんな笑顔を向けているのだろうか?
考えたくない!
「ヴェルのお口に合うか分からないけど、さあ、召し上がって下さい」
「ああ……」
フォークで切り分け、口に運ぶとシナモンの香りが広がり、とても美味い! ゴスワルドとソフィーの前に出そうものなら、ホールごと一分も経たない内に全て腹の中だろう。
アーシャに限って、浮気なんてそんなことしないと信じたい! でも、万が一ってことが……
まさか、二人は焼け木杭に火がついたとか……
そうか、だからジュール様はアーシャに謝罪したいと仰っていたのか……
「美味しいよ、パリッとした生地に甘酸っぱくて、シャキシャキとした歯応えの良いリンゴ……また、作って欲しい」
「はい!」
食べ終え、何とか感想を返す。二人とも食欲を満たすと……
「しようか……」
「はい……」
俺は戦友であり無二の友でもあるジュール様にアーシャを奪われたくないと思い、いつもより彼女と激しく交わった。
「アーシャ! アーシャ!」
胡座を掻いて座る俺に向かい合い跨がるアーシャ。
「ヴェル、激しいぃぃっ……」
抱き締め乳房を吸いながら、彼女を激しく突き上げる。蕩けるような嬌声を上げ、俺の上でアーシャの身体は躍っていた。
俺だけじゃなく、ジュール様として、こんな可愛く喘ぐのか?
嫌だ……嫌だ……
彼女の膣内で果てた俺だったが、瞼から雫が零れていた。
「どうしたの、ヴェル!?」
「アーシャ……お願いだ……また、俺を一人にしないでくれ……」
「はい……もちろんです!」
俺の願いにはっきりと答えてくれたアーシャ……でも、彼女は俺がジュール様との逢瀬を……キスを見たとは知らないだろう。
彼女の言葉を信じてもいいのか? 本当にか? そう、確認したかったが……
「いや……何でもない」
訊ねる勇気を俺は持っていなかった……
俺の腕の中で眠る彼女がもし、ジュール様と隠れてしていたら……いや、ソフィーじゃあるまいし、そんなことはないはず……
――――翌朝。
「アーシャ、行ってくるよ」
「はい!」
ん……
この可愛らしい唇がジュール様と……悶々とした気持ちを抱え、仕事へ出掛けるのだった。
☆
コンコン、コンコン!
ヴェルを送り出して、それほど時間が経たない内にドアがノックされました。ヴェルが忘れ物でもしたのでしょうか?
「は~い!」
返事をしてすると……
「私だ、ジュールだ。アーシャ、ドアを開けてくれないか?」
開けると眼鏡を掛け、手には白い手袋に金の装飾の施されたジャケットと白いズボンにブーツ……騎士の礼装の彼が立っていました。
「ジュール!? どうして?」
「キミの警護を命じられた。ヴェルが戻るまで一緒だ」
「えっ!?」
ジュールの言葉に驚きましたが私には騎士団がどのような指令系統になっているのか分かりません。ですがあんなことがあっただけに彼を招き入れたのです。
「アーシャ、それにしても危ないところだったな」
「うん……ジュール、聞いて。私、見てしまったの……あんな酷いことしたのは、多分、ヘンリーだと思う」
「な……何だと?」
ジュールは眼鏡のブリッジを指で押して、位置を直していました。
「盗賊風の男を制するのに必死でこちらからは確認できなかった……」
動揺したときの癖は以前と変わりません。
「しかし……仮にヘンリーであったとしても、現場を押さえない限り、処分するのは難しい……むしろ、下手に叩くと潰されかねないからな。特に私は……」
「ええ……」
「ヘルマン卿に話を上げておく。我々が何とかやってみる。とにかく、アーシャは出歩くことを控えるようにして欲しい」
「はい……」
私達の仲を引き裂いたヘンリーがイライザだけでなく、市井の女の子まで手に掛けるなんて……
☆
――――ヴェルナーの家。
路地裏で物音がして、駆け付けてみれば……まさか、アーシャとジュール様がキスしてるなんて……二人がこちらに近づいて来たので直ぐにその場を離れたが……
「ふふふんふ~ん♪」
アーシャは鼻歌を歌いながら、お菓子作りに熱中している……ジュール様との秘密の逢瀬がそんなにも楽しかったんだろうか?
やっぱり、俺なんかより王族のジュール様の方が良かったのだろうか? 俺の中にもやもやした嫌な気持ちが溢れてしまって、落ち着かない。
「ヴェル? ヴェルったら」
気付くと、ゆっさゆっさと俺の肩をアーシャが揺らしていた。
「済まない。ちょっと考え事をしていただけだ」
「アップルパイが出来たの、上手く出来てるか分からないけど、食べない?」
このもやもやが無ければ、俺はアーシャを食べたい、なんてノロケたことでも吐いてるとこだが……今日は気持ちが晴れそうにない。
「ああ、是非頂こう」
ミトンを嵌め、パドルを手馴れた手付きで扱い、オーブンからパイを引き出す。すると、部屋いっぱいにふわっとした甘い香りが漂い食欲を誘う。
ナイフでサクッと、サクッと手際良く切り分けると皿に乗せ、俺の席とアーシャの席へと並べていた。
俺も茶葉を少し蒸らしたあと、ティーポットから紅茶をカップに注ぎ、彼女の席へと並べる。
本当はアーシャに問い質したい……ジュール様とは、どういう関係なのか……ただの知り合いなんて雰囲気じゃなくて、もっとこう深い中だというのだろうか……
エプロンを掛け、俺に微笑む彼女……ジュール様にもそんな笑顔を向けているのだろうか?
考えたくない!
「ヴェルのお口に合うか分からないけど、さあ、召し上がって下さい」
「ああ……」
フォークで切り分け、口に運ぶとシナモンの香りが広がり、とても美味い! ゴスワルドとソフィーの前に出そうものなら、ホールごと一分も経たない内に全て腹の中だろう。
アーシャに限って、浮気なんてそんなことしないと信じたい! でも、万が一ってことが……
まさか、二人は焼け木杭に火がついたとか……
そうか、だからジュール様はアーシャに謝罪したいと仰っていたのか……
「美味しいよ、パリッとした生地に甘酸っぱくて、シャキシャキとした歯応えの良いリンゴ……また、作って欲しい」
「はい!」
食べ終え、何とか感想を返す。二人とも食欲を満たすと……
「しようか……」
「はい……」
俺は戦友であり無二の友でもあるジュール様にアーシャを奪われたくないと思い、いつもより彼女と激しく交わった。
「アーシャ! アーシャ!」
胡座を掻いて座る俺に向かい合い跨がるアーシャ。
「ヴェル、激しいぃぃっ……」
抱き締め乳房を吸いながら、彼女を激しく突き上げる。蕩けるような嬌声を上げ、俺の上でアーシャの身体は躍っていた。
俺だけじゃなく、ジュール様として、こんな可愛く喘ぐのか?
嫌だ……嫌だ……
彼女の膣内で果てた俺だったが、瞼から雫が零れていた。
「どうしたの、ヴェル!?」
「アーシャ……お願いだ……また、俺を一人にしないでくれ……」
「はい……もちろんです!」
俺の願いにはっきりと答えてくれたアーシャ……でも、彼女は俺がジュール様との逢瀬を……キスを見たとは知らないだろう。
彼女の言葉を信じてもいいのか? 本当にか? そう、確認したかったが……
「いや……何でもない」
訊ねる勇気を俺は持っていなかった……
俺の腕の中で眠る彼女がもし、ジュール様と隠れてしていたら……いや、ソフィーじゃあるまいし、そんなことはないはず……
――――翌朝。
「アーシャ、行ってくるよ」
「はい!」
ん……
この可愛らしい唇がジュール様と……悶々とした気持ちを抱え、仕事へ出掛けるのだった。
☆
コンコン、コンコン!
ヴェルを送り出して、それほど時間が経たない内にドアがノックされました。ヴェルが忘れ物でもしたのでしょうか?
「は~い!」
返事をしてすると……
「私だ、ジュールだ。アーシャ、ドアを開けてくれないか?」
開けると眼鏡を掛け、手には白い手袋に金の装飾の施されたジャケットと白いズボンにブーツ……騎士の礼装の彼が立っていました。
「ジュール!? どうして?」
「キミの警護を命じられた。ヴェルが戻るまで一緒だ」
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