粗チン早漏王子にマグロだと罵られ、婚約破棄……拾ってもらった草食騎士団長はベッドの上では野獣でした。

高橋冬夏

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22.討伐

 ――――王宮、王子の部屋。

 ビリリッ!!!

「【粗末な下半身を晒す露出狂に注意】だと!? 何だ! このふざけた張り紙は! 俺を愚弄するにも程がある!」

 プッ!

 脇に控える護衛隊どもの一人から失笑が漏れ出ている……俺を笑った奴には罰を与えねばな……

「おい、そこのお前、笑ったな?」
「いえ、笑ってなどおりません!」
「笑っただろ?」

 俺は笑った隊員の前で詰め寄るも口角が上がるような顔こそしてはいない。だが、間違いなく、こいつだ……首を横に振ったところで無意味。俺の耳はお前だと分かっている。

「正直に白状すれば、命だけは助けてやる、早く言え!」
「申し訳ありません! 笑いました!」

「そうか、そうか、良く言ってくれた。では死ね!」
「は? うぐっ……」

 護身用のダガーで痴れ者の腹を抉り、突き刺してやった。俺の下に駄犬は要らぬからな!

「そいつを裸にして、俺の仮面と外套を着せろ、そして、護衛隊が騎士団を出し抜き、始末したと喧伝してやれ!」

 しかし、あの場でまさかアーシャに顔を見られてしまうとはなぁ……だが、あのマグロが吠えたところで誰も信用しまい! 

 俺が憎くくて貶めるために虚言を吹聴してると言い張れば良かろう。

「流石、ヘンリー殿下! その聡明さにこのアラン、感服しております」
「部下が死んでいるのに良くもまあ、抜け抜けと……」

「いえいえ、死んだ彼も殿下のお役に立てて本望でしょう!」
「ふん! まあいい、貴様の監督不行き届きは不問にしてやる」

「有り難き幸せ……」

 それにしてもだ、あのクソ忌々しい騎士団どもの警戒が厳重なせいで女を犯せん! あいつら……俺が王になった暁には幹部どもは全員、断頭台送りだ!!!

「そう言えば、小さな村が魔物討伐の申請を出していたようだな?」
「は! 左様にございます。騎士団が来週にも向かう予定になっているようですが……」

「あの禿に伝えて来い、俺自ら、討伐に赴いてやる、となぁ」
「は!」

 まあ、街ほど垢抜けなくともいいか……狩って、狩って、狩り尽くしてやる……女どもを欲望に赴くまま、犯せる……舌舐めずりしたくなるな。

 魔物どもの仕業にして、あとは村を焼けばいい、証拠は全て灰となるのだ。

 男は殺し、女は嬲る……

「貴様ら、酒池肉林の祭りフェスティバルの始まりだ、存分に楽しめよ!」
「「「「「おーーーー!!!」」」」」


          ☆


 ――――軍務卿の執務室。

「警戒に忙しいところ、呼び出して申し訳ない」
「あんだよ、このクソ忙しいってのによぉ!」

「ソフィー、口を慎め。ヘルマン卿も謝罪している」

 ジュールがソフィーを窘めていたが、無駄に急な呼び出しなどしないヘルマン卿が俺達団長に召集を掛けたことが気になった。

「一体、何事でしょうか?」
「うむ、討伐の依頼を護衛隊が引き受けることになった」
「何だって!?」

 ガタッと椅子から俺とゴスが立ち上がる。ジュールは渋い表情をしていたが、ソフィーは涼しい顔で言ってのけた。

「お~、引き受けてくんなら、仕事が減って助かんじゃねえか、何か不都合でもあんのかよ?」
「皆、近くに寄ってくれ」

 俺は団長達をヘルマン卿の近く集め、小声で話す。

「若い娘を犯して殺した疑いのある殿下がまともに討伐をすると思うか?」

「儂もそう思いながらも、向こうも我々が警戒で手一杯なのを知っていて、強引に討伐を引き受けおった……」
「くそう! あいつら好き勝手しやがって!」

 ゴスは憤慨していたが……

「ならば犯人を捕らえ、裁きに掛ける。それしかない!」

 俺の言葉に皆は頷いていた。


 団長会議のあと、全騎士団はずっと警戒し、ヘンリー殿下を捕縛しようと働き詰めだったが全く姿を現す気配が見られなかった……

 お陰で街は平穏を取り戻したが、殿下を現行犯で捕らえなければ、いたちごっこに過ぎない。

 だが、護衛隊が討伐の準備を済ました頃だった。ヨルギスが血相を変えて飛び込んで来る。

「団長、大変です!!! 護衛隊の連中が例の事件の犯人を捕まえ、処刑したとのことです!」
「なんだと!?」

 馬鹿な……アーシャはヘンリーだと言っていたはずなのに……そんなことが……
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