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25.追走
「アーシャ……行ってくる」
「ヴェル……気を付けて!」
「ああ、こんな可愛いキミを置いていくダメな俺を許してくれ……」
「気にしないで……ヴェル達がヘンリーを止めないと酷い目に遭う人達がたくさん出てしまう。どうか彼を止めて下さい!」
「ああ! 殿下の罪を全て償ってもらおうと思う」
ヴェルは私を熱い眼差しで見つめてきます。
(そんな顔されたら、別れが辛くなってしまう……)
頬に触れる温かい彼の手……今回の遠征は極少ない人達だけでヘンリーと護衛隊を止めないといけない危険な任務だそうでヴェルや騎士団の皆様が無事に戻ってこれか分かりません。
「アーシャ……」
ゆっくりと瞳を閉じると……
ん……
私を抱き寄せ、いつもより長く口付けを交わしていました。ヴェルと離れたくない……それは彼も同じ……
ヴェルの温もりを感じられる時間は過ぎてしまい、お互いに名残惜しさを残して離れました。
「必ず戻って来る。戻ってきたら、結婚しよう!」
「えっ!?」
「嫌か?」
「いえ……嬉しくて……」
突然のプロポーズに私の瞼からは涙が溢れていました。
「俺はアーシャを泣かせてばかりだな……はは……」
笑顔で私の涙を優しく拭ってくれ……
ちゅ……と、またキスしてくれたのです。
「行ってくるよ」
「はい!」
ヴェルがドアを開けると家の前には騎士団長さん達が集まっていました。皆さんにご挨拶も済ませ……
「いいのか? ヴェル。時間はまだ少しならあんだぞ?」
「いや、楽しみはあとに取っておく。必ず生きて戻り、アーシャをこの腕に……」
ヴェルのそんな言葉にポーッと顔が熱くなり、両手で押さえてしまいます。
「私達は戦場で死ぬときも一緒だが、ヴェルやゴズワルドは違う。覚悟は良いか?」
「アーシャに良い思いなんて、まだまだしてあげられてない。こんなところで死ねる訳ないだろ?」
「ジュール様、俺は大丈夫! いつも言ってある」
「二人の覚悟を聞いて、私も腹は決まった」
ジュールは何かを決めていたようでした。そんなときでした。
ヒヒヒーーーン!
家の前で皆さんが集まる中、突然、馬に跨がった一人の騎士が駆けてきます。私達の前で手綱を引いて止まりました。
「皆の者、待たせたな!」
バイザーを開けると目尻の皺の多い壮年の男性の顔が……
「「「「ヘルマン卿!!!」」」」
「儂もも出る。貴殿らだけに重荷は背負わせはせん」
「まさか、ヘルマン卿がお出になるとは……」
「おっさん、無理すんなって……」
「はははっ、心配するでない。ソフィーの足手纏いにはならんよ!」
ヘルマンおじ様のお陰で暗い雰囲気が変わったように思います。
「おじ様……どうぞ、お気を付けて!」
「ああ、アーシャ。ヴェルは任せるのだ、儂が皆を守ってやろうと思う」
小さいときにお父様がおじ様は大変な勲功を挙げて、軍務卿になられたと聞いたのですが、そのときの二つ名がどうしても思い出せませんでした……
☆
――――村の周辺。
俺達は馬を走らせ、もう少しで村という場所まで来た。
「そろそろ、ヨルギスとの合流場所なんだが……それらしい姿がないな……」
「あいつがヴェルの命令を破るとは思えないしなぁ」
「見つかったという線はないか?」
「それはない。あいつが潜伏すると誰も見つけることが出来ないくらいだからな」
「俺はすぐ見つかってしまう……」
「ゴズ、テメエはそれが役割だろ! 的になってくれっから皆助かってる」
「姉御ぉぉ~!」
ゴズがソフィーの言葉に涙を流してるときだった。
「何だ? 女の子が裸足で走ってくるぞ!」
「はぁ……はぁ……き、騎士さまぁ!?」
魔物にでも襲われたのか? それとも、まさか……俺は下馬し女の子を保護して、話を訊くことにした。
「お父さんとお母さんがぁぁ……」
「魔物に襲われたのかい?」
ブルブルと首を振る……
「騎士のお兄ちゃんが私を逃がしてくれたの……ぐすっ……」
「な……なんだと……」
ヨルギス……お前……
「襲ったというのはこんな格好をしていたか?」
ジュール様が女の子に絵を見せていた。
「ひっ!?」
護衛隊の人物が描かれた物……それを見た女の子は恐怖に慄いてしまっていた。ソフィーが少女を抱き締め、慰める。
皆、即座に悟ったような表情をしており、拳を握り締め、怒りを露わにしていたのだった。
「ヴェル……気を付けて!」
「ああ、こんな可愛いキミを置いていくダメな俺を許してくれ……」
「気にしないで……ヴェル達がヘンリーを止めないと酷い目に遭う人達がたくさん出てしまう。どうか彼を止めて下さい!」
「ああ! 殿下の罪を全て償ってもらおうと思う」
ヴェルは私を熱い眼差しで見つめてきます。
(そんな顔されたら、別れが辛くなってしまう……)
頬に触れる温かい彼の手……今回の遠征は極少ない人達だけでヘンリーと護衛隊を止めないといけない危険な任務だそうでヴェルや騎士団の皆様が無事に戻ってこれか分かりません。
「アーシャ……」
ゆっくりと瞳を閉じると……
ん……
私を抱き寄せ、いつもより長く口付けを交わしていました。ヴェルと離れたくない……それは彼も同じ……
ヴェルの温もりを感じられる時間は過ぎてしまい、お互いに名残惜しさを残して離れました。
「必ず戻って来る。戻ってきたら、結婚しよう!」
「えっ!?」
「嫌か?」
「いえ……嬉しくて……」
突然のプロポーズに私の瞼からは涙が溢れていました。
「俺はアーシャを泣かせてばかりだな……はは……」
笑顔で私の涙を優しく拭ってくれ……
ちゅ……と、またキスしてくれたのです。
「行ってくるよ」
「はい!」
ヴェルがドアを開けると家の前には騎士団長さん達が集まっていました。皆さんにご挨拶も済ませ……
「いいのか? ヴェル。時間はまだ少しならあんだぞ?」
「いや、楽しみはあとに取っておく。必ず生きて戻り、アーシャをこの腕に……」
ヴェルのそんな言葉にポーッと顔が熱くなり、両手で押さえてしまいます。
「私達は戦場で死ぬときも一緒だが、ヴェルやゴズワルドは違う。覚悟は良いか?」
「アーシャに良い思いなんて、まだまだしてあげられてない。こんなところで死ねる訳ないだろ?」
「ジュール様、俺は大丈夫! いつも言ってある」
「二人の覚悟を聞いて、私も腹は決まった」
ジュールは何かを決めていたようでした。そんなときでした。
ヒヒヒーーーン!
家の前で皆さんが集まる中、突然、馬に跨がった一人の騎士が駆けてきます。私達の前で手綱を引いて止まりました。
「皆の者、待たせたな!」
バイザーを開けると目尻の皺の多い壮年の男性の顔が……
「「「「ヘルマン卿!!!」」」」
「儂もも出る。貴殿らだけに重荷は背負わせはせん」
「まさか、ヘルマン卿がお出になるとは……」
「おっさん、無理すんなって……」
「はははっ、心配するでない。ソフィーの足手纏いにはならんよ!」
ヘルマンおじ様のお陰で暗い雰囲気が変わったように思います。
「おじ様……どうぞ、お気を付けて!」
「ああ、アーシャ。ヴェルは任せるのだ、儂が皆を守ってやろうと思う」
小さいときにお父様がおじ様は大変な勲功を挙げて、軍務卿になられたと聞いたのですが、そのときの二つ名がどうしても思い出せませんでした……
☆
――――村の周辺。
俺達は馬を走らせ、もう少しで村という場所まで来た。
「そろそろ、ヨルギスとの合流場所なんだが……それらしい姿がないな……」
「あいつがヴェルの命令を破るとは思えないしなぁ」
「見つかったという線はないか?」
「それはない。あいつが潜伏すると誰も見つけることが出来ないくらいだからな」
「俺はすぐ見つかってしまう……」
「ゴズ、テメエはそれが役割だろ! 的になってくれっから皆助かってる」
「姉御ぉぉ~!」
ゴズがソフィーの言葉に涙を流してるときだった。
「何だ? 女の子が裸足で走ってくるぞ!」
「はぁ……はぁ……き、騎士さまぁ!?」
魔物にでも襲われたのか? それとも、まさか……俺は下馬し女の子を保護して、話を訊くことにした。
「お父さんとお母さんがぁぁ……」
「魔物に襲われたのかい?」
ブルブルと首を振る……
「騎士のお兄ちゃんが私を逃がしてくれたの……ぐすっ……」
「な……なんだと……」
ヨルギス……お前……
「襲ったというのはこんな格好をしていたか?」
ジュール様が女の子に絵を見せていた。
「ひっ!?」
護衛隊の人物が描かれた物……それを見た女の子は恐怖に慄いてしまっていた。ソフィーが少女を抱き締め、慰める。
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