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26.乱入
ケーラと名乗る少女を襲ったのは見目麗しい男だったらしい。まさか……ヘンリー王子がこんな小さな女の子まで……
「もう大丈夫だ! あたしがついてる限り、男に指一本触れさしやしねえよ!」
「ありがとう、ソフィーお姉ちゃん!」
ケーラを馬の前に乗せ、亜麻色の髪を優しく撫でるソフィーだった。俺達は彼女の案内で村へと急ぐ。何故なら、ヘンリー王子が村で酷い蛮行を行っているらしい。
この子の父親は既に殺され、母親は護衛隊の男どもに輪姦されているようだった……最早、一国の王子がやって良い行いを越えている……それが俺達、騎士団幹部の同意見だった。
ヘルマン卿も……
「儂も国王陛下に何度も奏上しようとしたのだがお身体の調子が悪く、ほんの少しだけご裁可を頂けただけだった……」
「そうでしたか……」
なんとかヘンリー王子を止める方法がないかと思うのだが答えなど今すぐ出そうにない。騎士団長及び幹部級の中で一番目の良い俺が遠くから村の様子を覗くと……
ヨルギスの声が響いてきた。
「殿下ぁぁ!!! どうかこのような蛮行はお止め下さい!」
「ふん! 何を言っている。お前はここで全ての罪を被って死に、ここでの蛮行は闇に葬り去られる」
「そんなことが許されると本気でお思いなのですか!?」
「痴れ者がっ!!! 許すも許されざるも俺が全て決める。貴様ら下僕に指図される謂われはないわ!」
パシーーーン!
「あぐっ!」
上半身を裸にされ、鞭で何度も打たれたのだろう。酷いミミズ腫れが幾つも付けられていた……
それでもヨルギスは生きているだけマシってものだ。男や年寄りの多くは剣で斬りつけられたり、矢が刺さり息絶えている者がみられる。
生きている女達も護衛隊の慰み者だった……
(本当に酷いことをする……)
ヨルギスを救い出したいが人質に取られてる以上、簡単に手出しできそうにない。
俺達が攻め倦ねているときだった。
グアアアアアアーーー!!!
「一体、何だ!?」
耳を劈くような凄まじい獣の咆哮が辺りに響く。ケーラは顔が青ざめ、ぶるぶると震えだした。
「どうしたんだ、ケーラ? 男どもが怖いのか?」
「違うの! 魔物が……ブラッディベアが血の匂いに吸い寄せられて、村に来ちゃう……」
「何だって!?」
「ヘルマン卿!」
「ああ、討伐の嘆願書に書かれてあった巨大な人喰い熊に違いない……」
「奴が村に入るまで待とう」
「ジュール様!?」
「混乱に乗じて、ヨルギスと生き残った村人を救出する。危険な賭けだが、今は手段を選んでいる場合ではない」
非情とも思えるジュール様の判断……だが、寡兵である俺達に人質に取られているヨルギスと村人を救うにはそれしか無かった。
俺達は村の教会の物陰に潜伏し、様子を窺う。
すると森から黒い巨大な影が姿を現し、まるで戦勝気分にでも浸っていた護衛隊を急襲した。
グルアアアア!!!
「「「な……何だ、あれは……」」」
混乱する隊員達の前で立ち上がり、咆哮したかと思うと、人の胴体はあろうかと思う前脚を振り下ろした。
「うぎゃあああっ!」
鋭利な爪はいとも簡単に皮膚を切り裂いている。
「何をしているっ! 撃て、撃てーーっ!」
アランの檄が飛んで隊員達は我に帰り……クロスボウを構え、一斉射を行うが硬い毛並と皮膚により、全く効いていない。
「今だっ! 隙が出来たぞ! ヨルギスとまだ、生き残ってる村人を救出する」
「なっ!? 騎士どもがっ……ぐふっ」
ガゴッ!
「大人しく寝てろって!」
ソフィーがヨルギスの側に居た隊員の首筋に剣の束で殴りつけ昏倒させた。
「ソフィー団長!」
「お~、ヨルギスぅ……随分、男前になったなぁ~」
「はは……ソフィー団長に誉められて嬉しいです」
「身体のことじゃねえよ。命掛けであの娘を守ったことだよ」
「ソフィー団長ぉぉ~」
「ま、規則違反でヴェルに怒られっけど!」
「忘れてた……」
ケーラにジュール様が村の見取り図の詳細を訊ね、村人の救出も完璧だった。
護衛隊はブラッディベアの対応で手一杯に陥っており、魔物はその名の通り、隊員の返り血を浴び、真っ赤に染まっている。
俺達はジュール様の提言でブラッディベアとの会敵を避けていた。
「魔物とは言え、熊だ。執着心が強い。下手に抵抗すると激しい反撃をもらう」
「ジュール様はやはり博識だな!」
クイッと眼鏡のブリッジを引き上げ……
「あんな悪逆非道を行う奴らだが、自ら手に掛けるのは気が引ける。だが、許すつもりもない」
ブラッディベアに腹や頭を食われたり、爪で切り裂かれ隊員達は次々と命を落としていった。だが、ヘンリー王子は無慈悲な命令を下す。
「殿下、ここは危険です! 撤退を」
「きっ、貴様ら、に……逃げれば、逃亡罪で死刑だ! 俺を全力で守れ!」
馬に跨がり、一人で逃げようとしていた。
「ヴェル! 王子が!!!」
「大丈夫だ、向こうにはヘルマン卿がいる」
「ヴェル! お前がこの国最強の騎士であることを証明するときだ!」
「ああ! 陛下から賜った 護国の聖剣を使わせてもらうときが来たらしい」
恐怖で戦意を失った護衛隊員を余所に俺達は各々の武器を手に家の屋根ほどある大きさの魔物に対峙していた。
「もう大丈夫だ! あたしがついてる限り、男に指一本触れさしやしねえよ!」
「ありがとう、ソフィーお姉ちゃん!」
ケーラを馬の前に乗せ、亜麻色の髪を優しく撫でるソフィーだった。俺達は彼女の案内で村へと急ぐ。何故なら、ヘンリー王子が村で酷い蛮行を行っているらしい。
この子の父親は既に殺され、母親は護衛隊の男どもに輪姦されているようだった……最早、一国の王子がやって良い行いを越えている……それが俺達、騎士団幹部の同意見だった。
ヘルマン卿も……
「儂も国王陛下に何度も奏上しようとしたのだがお身体の調子が悪く、ほんの少しだけご裁可を頂けただけだった……」
「そうでしたか……」
なんとかヘンリー王子を止める方法がないかと思うのだが答えなど今すぐ出そうにない。騎士団長及び幹部級の中で一番目の良い俺が遠くから村の様子を覗くと……
ヨルギスの声が響いてきた。
「殿下ぁぁ!!! どうかこのような蛮行はお止め下さい!」
「ふん! 何を言っている。お前はここで全ての罪を被って死に、ここでの蛮行は闇に葬り去られる」
「そんなことが許されると本気でお思いなのですか!?」
「痴れ者がっ!!! 許すも許されざるも俺が全て決める。貴様ら下僕に指図される謂われはないわ!」
パシーーーン!
「あぐっ!」
上半身を裸にされ、鞭で何度も打たれたのだろう。酷いミミズ腫れが幾つも付けられていた……
それでもヨルギスは生きているだけマシってものだ。男や年寄りの多くは剣で斬りつけられたり、矢が刺さり息絶えている者がみられる。
生きている女達も護衛隊の慰み者だった……
(本当に酷いことをする……)
ヨルギスを救い出したいが人質に取られてる以上、簡単に手出しできそうにない。
俺達が攻め倦ねているときだった。
グアアアアアアーーー!!!
「一体、何だ!?」
耳を劈くような凄まじい獣の咆哮が辺りに響く。ケーラは顔が青ざめ、ぶるぶると震えだした。
「どうしたんだ、ケーラ? 男どもが怖いのか?」
「違うの! 魔物が……ブラッディベアが血の匂いに吸い寄せられて、村に来ちゃう……」
「何だって!?」
「ヘルマン卿!」
「ああ、討伐の嘆願書に書かれてあった巨大な人喰い熊に違いない……」
「奴が村に入るまで待とう」
「ジュール様!?」
「混乱に乗じて、ヨルギスと生き残った村人を救出する。危険な賭けだが、今は手段を選んでいる場合ではない」
非情とも思えるジュール様の判断……だが、寡兵である俺達に人質に取られているヨルギスと村人を救うにはそれしか無かった。
俺達は村の教会の物陰に潜伏し、様子を窺う。
すると森から黒い巨大な影が姿を現し、まるで戦勝気分にでも浸っていた護衛隊を急襲した。
グルアアアア!!!
「「「な……何だ、あれは……」」」
混乱する隊員達の前で立ち上がり、咆哮したかと思うと、人の胴体はあろうかと思う前脚を振り下ろした。
「うぎゃあああっ!」
鋭利な爪はいとも簡単に皮膚を切り裂いている。
「何をしているっ! 撃て、撃てーーっ!」
アランの檄が飛んで隊員達は我に帰り……クロスボウを構え、一斉射を行うが硬い毛並と皮膚により、全く効いていない。
「今だっ! 隙が出来たぞ! ヨルギスとまだ、生き残ってる村人を救出する」
「なっ!? 騎士どもがっ……ぐふっ」
ガゴッ!
「大人しく寝てろって!」
ソフィーがヨルギスの側に居た隊員の首筋に剣の束で殴りつけ昏倒させた。
「ソフィー団長!」
「お~、ヨルギスぅ……随分、男前になったなぁ~」
「はは……ソフィー団長に誉められて嬉しいです」
「身体のことじゃねえよ。命掛けであの娘を守ったことだよ」
「ソフィー団長ぉぉ~」
「ま、規則違反でヴェルに怒られっけど!」
「忘れてた……」
ケーラにジュール様が村の見取り図の詳細を訊ね、村人の救出も完璧だった。
護衛隊はブラッディベアの対応で手一杯に陥っており、魔物はその名の通り、隊員の返り血を浴び、真っ赤に染まっている。
俺達はジュール様の提言でブラッディベアとの会敵を避けていた。
「魔物とは言え、熊だ。執着心が強い。下手に抵抗すると激しい反撃をもらう」
「ジュール様はやはり博識だな!」
クイッと眼鏡のブリッジを引き上げ……
「あんな悪逆非道を行う奴らだが、自ら手に掛けるのは気が引ける。だが、許すつもりもない」
ブラッディベアに腹や頭を食われたり、爪で切り裂かれ隊員達は次々と命を落としていった。だが、ヘンリー王子は無慈悲な命令を下す。
「殿下、ここは危険です! 撤退を」
「きっ、貴様ら、に……逃げれば、逃亡罪で死刑だ! 俺を全力で守れ!」
馬に跨がり、一人で逃げようとしていた。
「ヴェル! 王子が!!!」
「大丈夫だ、向こうにはヘルマン卿がいる」
「ヴェル! お前がこの国最強の騎士であることを証明するときだ!」
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