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第1章 幼児〜少年期編
5.魔法の世界
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3ヶ月後
「リュカ様!読み書き共に完璧です!3歳で習得するなんてすごいです!フィリア様でもまだできていません!フッフッフ、これで見返せる…ゴニョゴニョ…」
「はは…終わった…」
フルールの読み書きの勉強はまさに『スパルタ』だったのだ。
「読み」に関しては絵本の読み聞かせだったのだが、1日に何冊も読まれるのだ。途中で眠たくなって寝かけると耳元で、
「リュカ様はこわーい本が読みたいのですか…それならそうと言ってくだされば…」と囁かれ、立ち上がろうとするのである。賢人は前世の頃から怖い話が苦手であった。なので、そう囁かれると飛び起きて立ち上がろうとするフルールの袖を引っ張るのである。
「書き」の勉強はそれはもう地獄だった。字を間違えれば笑顔で「20回、声に出しながら読んでください?」と言われるし、字が汚ければ「やり直し、ですね!」と言われる。最初の頃は間違えまくって何回手が死にかけたか…
その甲斐あっていまは字が‘綺麗に’書けるようになった。
綺麗に書く必要はないんじゃないか、と1度文句を言うと、真顔で
「リュカ様?字を綺麗に書くことは貴族として当たり前です。それに、性格は字にでます。字が汚い=雑なので覚えておいてくださいね。」と言うのである。その時は本当に顔が引きつった。直感的に「この人を怒らせてはいけない。」とも思った。
そして賢人はそんな試練を乗り越え、現在書庫の入り口にいる。何をするため?もちろん、魔法の本を読むためだ!!やっと、やっと魔法が使える!と思い、朝からルンルンで準備をしていたのである。準備なんかいるのかって?もちろん!うちの書庫は“禁書”などの類もあるらしく、許可がないと入れないのだ。つまり、僕はまだ3歳なので許可が下りるわけがない。なので、誰かが入るのと同時に入らなければならないのである。そして今日は休日なのでお父様が帰ってきている。ちなみに、この世界は1週間6日で1ヶ月は30日と、前世の時と似たようなもので、闇の日、火の日、水の日、風の日、光の日、土の日と言われている。休日は闇の日だ。闇の日は太陽が小さくなるから危ない、とかで休みの日になったらしい。まあ、つまり今日は闇の日で、お父様がいる。そして、お父様は休日の日でも午前中はお仕事のため書庫に引きこもるのである。お父様が何か考えている時は周りのものが目に入らないっぽいので、その時に入ろうと思う。
(あっ!お父様だ!)
スタスタスタ。「ブツブツ……」
ーーウィーン、カチャ。ーー
(よしっ!いまだ!)
(アイムイン!)
一度言ってみたかったセリフだ!某ドラマの敵のアジトに侵入した時に「アイムイン!作戦続行。」と言う、アレだ。さてさて、作戦続行だ。
ミッション:誰にも見つからずに魔法の本を探せ。
(魔法書…魔法書…)
(あっ!あった!)
「えーっと、なになに?『サルも使える初級魔法』いや!サルは読めないでしょ!」
(大丈夫かな?この本…まあいいや、とりあえずこの本と、あとこの世界の地理や歴史の本かな…)
(おっ、ここか!)
「えーっと、『サルも歩けば理解できる地理』と『サルも理解できるヴォルグラーデの歴史』か。ははっ、『サルも』シリーズか…誰が書いてるんだ?……見なかったことにしておこう。」
そこにはアシェルス・フォン・ソルシエ・クロードと書かれていたのだ。(クロードとは貴族家当主のみが名乗れる名前である。)
お父様…
賢人の中でクールでカッコいいお父様のイメージが崩れていく音が聞こえたような気がした。
「リュカ様!読み書き共に完璧です!3歳で習得するなんてすごいです!フィリア様でもまだできていません!フッフッフ、これで見返せる…ゴニョゴニョ…」
「はは…終わった…」
フルールの読み書きの勉強はまさに『スパルタ』だったのだ。
「読み」に関しては絵本の読み聞かせだったのだが、1日に何冊も読まれるのだ。途中で眠たくなって寝かけると耳元で、
「リュカ様はこわーい本が読みたいのですか…それならそうと言ってくだされば…」と囁かれ、立ち上がろうとするのである。賢人は前世の頃から怖い話が苦手であった。なので、そう囁かれると飛び起きて立ち上がろうとするフルールの袖を引っ張るのである。
「書き」の勉強はそれはもう地獄だった。字を間違えれば笑顔で「20回、声に出しながら読んでください?」と言われるし、字が汚ければ「やり直し、ですね!」と言われる。最初の頃は間違えまくって何回手が死にかけたか…
その甲斐あっていまは字が‘綺麗に’書けるようになった。
綺麗に書く必要はないんじゃないか、と1度文句を言うと、真顔で
「リュカ様?字を綺麗に書くことは貴族として当たり前です。それに、性格は字にでます。字が汚い=雑なので覚えておいてくださいね。」と言うのである。その時は本当に顔が引きつった。直感的に「この人を怒らせてはいけない。」とも思った。
そして賢人はそんな試練を乗り越え、現在書庫の入り口にいる。何をするため?もちろん、魔法の本を読むためだ!!やっと、やっと魔法が使える!と思い、朝からルンルンで準備をしていたのである。準備なんかいるのかって?もちろん!うちの書庫は“禁書”などの類もあるらしく、許可がないと入れないのだ。つまり、僕はまだ3歳なので許可が下りるわけがない。なので、誰かが入るのと同時に入らなければならないのである。そして今日は休日なのでお父様が帰ってきている。ちなみに、この世界は1週間6日で1ヶ月は30日と、前世の時と似たようなもので、闇の日、火の日、水の日、風の日、光の日、土の日と言われている。休日は闇の日だ。闇の日は太陽が小さくなるから危ない、とかで休みの日になったらしい。まあ、つまり今日は闇の日で、お父様がいる。そして、お父様は休日の日でも午前中はお仕事のため書庫に引きこもるのである。お父様が何か考えている時は周りのものが目に入らないっぽいので、その時に入ろうと思う。
(あっ!お父様だ!)
スタスタスタ。「ブツブツ……」
ーーウィーン、カチャ。ーー
(よしっ!いまだ!)
(アイムイン!)
一度言ってみたかったセリフだ!某ドラマの敵のアジトに侵入した時に「アイムイン!作戦続行。」と言う、アレだ。さてさて、作戦続行だ。
ミッション:誰にも見つからずに魔法の本を探せ。
(魔法書…魔法書…)
(あっ!あった!)
「えーっと、なになに?『サルも使える初級魔法』いや!サルは読めないでしょ!」
(大丈夫かな?この本…まあいいや、とりあえずこの本と、あとこの世界の地理や歴史の本かな…)
(おっ、ここか!)
「えーっと、『サルも歩けば理解できる地理』と『サルも理解できるヴォルグラーデの歴史』か。ははっ、『サルも』シリーズか…誰が書いてるんだ?……見なかったことにしておこう。」
そこにはアシェルス・フォン・ソルシエ・クロードと書かれていたのだ。(クロードとは貴族家当主のみが名乗れる名前である。)
お父様…
賢人の中でクールでカッコいいお父様のイメージが崩れていく音が聞こえたような気がした。
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