名前が呼びたいんだ!

神奈川雪枝

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う、う、う

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「梅子。」

「梅子ちゃん。」

「梅子さん。」

なんて呼ぼう?
ちゃんづけ?さんづけ?
呼び捨て?

あぁ、迷う。

俺は今日クラスメイトのあいつを
苗字ではなく、
名前で呼ぼうと思ってる。

一歩近づくために。
最初は、
さんづけで徐々にちゃんづけにして、
最終的に呼び捨てとか?

いやいや、
まどろっこしくない?

最初から呼び捨てでもよくない?
同い年なんだし。

はぁ。

どうしよう。

「おはよう。」

「あ、おはよう、う。」

「う?」

「ういろう、食べたいなって思って。」

「あぁ、私もそれスキ。おいしいよね。」

何言ってんの、
ういろう食いたかったの、俺?
食えよ……。

「う、うめ。」

「うめ?」

「うめぇういろうあったら教えてくれよな。」

「えー、どこのがおいしかったかな?」

いや、だから、ういろう。
しばらく、脳内から隠れてて。

「うめ、こ。」

「ん?名前、呼んだ?」

「よ、呼んだっ。」

「なに?(笑)」

「なんでもないっ!」

「へんなの~(笑)」

呼べた、
色々あったけど、
なんか片言だったけど、
名前呼べた、
そして認識された。

俺が不自然すぎて、
なんで名前呼び?とかにならなかったし。

よかった。?

「梅子!」

「だからなに?」

「俺、ういろうそんなに好きじゃない。」

「は?なにそれ(笑)」

本当、やっとすっきりした。!
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