雨の日限定

神奈川雪枝

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雨の日にしか会えない

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それはいつも雨の日でした。
傘をさすあなた。
傘にいれてもらう私。
どうってことない、
何気ない日常でした。

「寒いね。」と、
私の肩を寄せるあなたの大きな手。

私とあなたは、
付き合ってない。
でも、
体の関係がある。

付き合いたい、
でも付き合えない。

最初から間違った出会い方をしてしまったから、
仕方ないのでしょうか?

セフレ探してますと、
掲示板にあった。
淋しさから、
私でよければなんて返事をしたのが、
きっかけでした。

会うのは雨の日。

雨で張り付いた衣服を邪魔だと言わんばかりに、
部屋に入ると、
キスをしながら脱がせるあなたが好きでした。

「はぁ。はぁ。」

雨で濡れて冷えた体と反比例するように、
鼓動は高くなり、
体温は上がっていく。

どうでもよかったんです。
私。

誰でもよかったんです。

この寂しい私を抱きしめてくれればそれで
良かったんです。

雨に濡れた髪の毛から、
雫が流れる。

流れ落ちた滴が私の胸元に垂れる。

「今日はどうする?」

ご飯食べる?
そのままやる?

「いらない。」と、
あなたを抱きしめた。

いつも雨の日にしかあえない。
雨の日だと、
仕事が早く終わるから会える。

晴れの日だって、
会いたい。

下着姿になった私は、
ただあなたを見つめていた。

「可愛いね。」と、
ぷちんとホックを外す。

「うん。」

下着を取られて、
雨で濡れた手で触られる。

冷たい指先。

彼は雨を含んだスーツを、
まだ脱がない。

がさがさと、
肌にスーツがあたる。

くりくりと乳首をこねくりまわす彼の指先と、
荒くなる私の息遣い。

唇を近づけて私の乳房に彼は吸いつく。
優しくやさしく。

くすぐたっくて、
思わず笑みがこぼれた。

舌先で優しくなめまわす彼の
髪の毛を撫でた。

いつも、
雨の日に、
おっぱいだけを彼は愛でる。

彼は服を脱がない、
私は知らない、
彼の素性を。
なにも、知らないのだ。

あまりの優しい愛撫に、
いつも腰が浮く。
でも、彼は触ってくれないので、
私は自分で触るしかなかった。

彼自身はどうなのかと、
手を伸ばせば、
硬い感触で、
どうして、だめなの?と聞いた。

「僕は、母性を求めているから。」と、
彼はぼそぼそと話した。

彼は私の谷間へと顔を埋めた。

「会えてよかった。」と、
私に言う。

あぁ、苦しい。
彼と先に進めないのがもどかしい。

付き合ってといえば、
ごめんね、と言われそうで。

私はしばらく雨の日のこの時間を、
大切に生きていくことになるのだろう。
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