思い出の涙味

神奈川雪枝

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きっと…

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共に夜を過ごし、一緒に朝を迎える 。
( 好きな人と居られる、幸せな事なんだよね 。)

まだ薄暗い早朝。
となりですやすやと眠る、彼 。
(あ~そいうえば昨日もまた私が先に果てちゃったなぁ 。)

幸せそうに眠る彼。
私のものだって独り占めしたくなちゃって、彼の首筋に顔を埋めた。

彼の鎖骨ら辺に、私の印。
彼は、う~と唸ったけど眼は覚まさなかった 。

彼に少ししか自分の痕を残せない自分が酷く虚しい 。
(私の事もっともっと独占してほしい。綺麗じゃなくていい。むしろ、貴方の印で埋め尽くされたい 。)

彼の背中に刻んだ爪の痕だって 。
(消えないでキエナイデ 。)

言葉でくれる愛も、
文字でくれる愛も、
身体でくれる愛も 。

全部、ぜんぶ嘘なんでしょ ?

私だけじゃ、ないんでしょ ?

貴方には何人の女の子が居るの?
みんな、偽りなの?
私はその中で何番目なの?

ねぇ、貴方には本気で愛してる女性は居るの?
誰なの?私?私だったらいいのに。違うね。私なんか足元にも及ばないきっと素敵な人なんだろうね 。

携帯に残る貴方からのメール。(全部保護ってるよ。)
着信も留守電も、会話も 。(一人淋しい時に私をどれだけ励ましてくれてるか知ってる?)

会うたびに交わすキスも。(最初はちょっと恥しそうに交わすキスが私は好きよ。)
優しくやさしく、はげしくなる愛撫も 。(もう貴方は私の全てを知ってるのに 。)

落ちる汗も、流れる液も。
名前を呼ぶ声も愛の言葉も感じる声も 。

「 す き っ。」

私の本当の気持ちだけ、貴方は見て見ぬ振りするの 。
なのに、貴方は私に偽りの愛を沢山たくさんくれるから 。

酔って酔って酔い痴れて、溺れそうになる 。




「 さよなら」と何度言おうと想ったかな。
「私だけを」なんて何度言いそうになったか 。


貴方は知ってるの、気付いてるの?
それとも、本当に分かってない?


此処まで惚れさせて、貴方の心を全然教えてもくれないなんて酷いよ 。




「 太郎。」

「 ん?」


「今日はもう、帰るの?」

甘えた声を出しても、泣きそうな顔をしても。
貴方はふふって笑って。

「ごめんなぁ 。」

と言って、私に無数のキスをした。
(あ~今日の夜は違う女の子と愛しあうのね 。)

想像しただけで哀しくなった。
キスがいやにしょっぱいと想ったら、私は泣いていた。
(彼は少しだけ不味そうに、でもキスをやめなかった 。)







        涙味のキスもまた、思い出になるの 。
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