下から見下して

下から見下して

相田くんと居ると、

上手に息をすることが出来なくなった。

相田くんに見つめられると、

頭が回らなくなった。


彼が何で怒っているのか、

悲しんでいるのか、

私にはわかってあげることができなかった。


寂しいのかなって思って、

「ずっと、一緒だよ。」って言った時の、

相田くんのあの冷めた目。


相田君は、

とても閉鎖的な人だった。


いつでも、

彼のテリトリー内だった。


そんな気がないのに、

漠然と、あぁ、逃げれないなって思ってた。


「上。」

と彼が発する度、

見下ろしてるはずなのに、

いつも上から見られてる気分だった。


相田くんと一緒に居る時の私は、

いつもぬいぐるみの様な存在だった。


彼のお願いに出来ないなんて言ったら、

何で？って言われて、

俺の事を想ってへんから、そんな冷たい事を言うんや。って睨まれて、

言葉が出なくて、

そんなんじゃないよ、違うよって泣きそうになったら、

相田くんの目が変わって、

「なんで、泣くん？！」

「え？」

「そうやって、俺が悪いみたいにすんなっ。」って相田君は叫ぶと、

「俺、悪くないやろ？」

「悪ないやんな？！」

「悪くないって言えや！」

って手を挙げる相田くんを私はただ見ることしかできなかった。


馬乗りになって首を絞めてくる相田くんに、

「あいだくん。」


「　しんじゃう　。」

って言った時の動揺した瞳が可愛くて、

絶対別れないって決めたの。










下から見下して。