マイノリティの中で

神奈川雪枝

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光あれば影あり

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(言わなきゃ!)

いつからだったか、
気がつくとら
給湯室でお茶を入れてると、
必ず50代の部長がやって、
私のおしりを触る。

「花岡くん、今日もいいねぇ。」
と、私の背後で部長が興奮している。





「や、やめてくださいっ!」




声が震えた。
部長は、豆鉄砲を食らった鳩みたいな顔をしていた。

「嫌よ嫌よも好きのうちだよね?」と、
私のおしりを触る手を止めない。

「本当にっ!やめてくださいっ!」

大きな声が出た。
ちょうど近くにいた、
男の先輩、島野さんが給湯室を除く。

「部長と、花岡さん?」

部長は、さっと私のおしりから手を離した。

「島野くんか!
花岡くんの入れるお茶、美味しいよね。」と、部長は立ち去った。

「花岡さん、大丈夫?」

その一言を聞いた時、
ほっとして力が抜けた。

「今の見間違いかな?
部長、
花岡さんのおしり触ってなかった??」

「見間違いじゃないです。」

「えー、だよね?!
部長がセクハラ?!」

「私、誰にも言えなくて……っ。」と、
涙が出た。

「ああ、それはそうだよね。」と、
島野さんがポケットからタオルハンカチを取り出して、私に渡す。

「花岡さん、
ハラスメント撲滅委員会って知ってる?」

「な、なんですか、それ?」

その日をキッカケに、
社内で有志だけの集まりの、
ハラスメント撲滅委員会に入ることになった。

まずは署名を集めて、
声をあげようという集まりだった。

「島野さんも、なにかあったんですか?」と聞くと、
「圧力っていうのかな、
ちょっときつくて、ね。」と、
島野さんが苦笑いする。

週に一回、
毎週金曜日の仕事終わり、
会議室に集まった。

啓発ポスターを作ったり、
広報誌みたいな冊子を作成した。

その後に、
私は島野さんに誘われて、
一緒に夜ご飯を食べた。

島野さんは、私の先輩で、
物腰も柔らかくて、
いい人だ。

「お茶頼まれる度に、
給湯室に顔だしてくれて、
本当にありがとうございます!」

「いやいや。」

「島野さんのおかげで、
部長に触られなくなりました。」

「それはよかった!」

私と島野さんは、
親密になっていた。

でもそれは、
先輩と後輩としてのことだ。

島野さんは独身、
私も独身、
だけど、私には彼氏がいる。

彼氏にはセクハラのことは、
言えなくて。

土曜日、彼氏とデートしていたら、
街でばったり島野さんとあった。

「花岡さん?」

「ああ、島野さん!」

「花岡さん、彼氏いたんだね?」

「はい、付き合って2年になります!」

何気ない会話だった。
その週の金曜日の集まりを終えて、
今日も島野さんと夜ご飯を食べる。

「昨日、もつ煮込み作りすぎちゃってさ、
良かったら、食べてくれない?」

「料理するんですね?」

「俺には食べてくれる彼女いないからさ!笑」

「島野さん、フリーなんですね?」

警戒もしないで、
私は島野さんの住む一人暮らしの部屋に入った。

部屋に入ると、
島野さんが急に抱きついてきた。

「え?!島野さん?!」
驚く私に、島野さんはキスしようと顔を近づけてきた。

「なんですか?!いきなり?!
やめてください!」

抵抗する私を押えて、
私の服を脱がせる。

「島野さんっ、やめてください!」と、
何度も声をあげたが、
島野さんは私を襲う。

「花岡さん、
てっきり俺しかいないのかと思ってたのに。」

「なんのことですか?!」

「花岡さん、
この前彼氏とデートしてたよね?」

「は?」

「彼氏とSEXしたの?」

「な、なにいってるんですか?!」

「部長には触られたくないのに、
彼氏には触られてもいいんだ?!」

(意味が分からない。)

(怖い。)

私の携帯が鳴った。

「彼氏?」

島野さんが、私のカバンに意識をずらす。
力が弱くなった瞬間、
私は立ち上がった。

「花岡さん!」

「最低です、島野さん。」

私は急いで鞄を持って、
部屋を出た。

(怖い。)

体が震えた。

電話は、彼氏からだった。

私は急いで彼氏の部屋へ行った。

ハラスメント撲滅委員会なんかに入ってるのに、
レイプまがいのことをするなんて、
どういう思考回路なんだろ?

彼氏に話して、
私は会社をやめることにした。

島野さんは、
優しい顔をして、
毎週金曜日の夜、
私とそういう事をするチャンスを狙っていたのだろうか?

(気持ち悪い。)
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