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ポツポツ……
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その日は雨でした。
「ごめん。」
雨降る中、コンビニの駐車場の車の中、
彼は私に謝る。
「な、なに?」
思わず声が上ずった。
「 別れよう。」
別れよう?ではなく、
別れよう。でした。
「ど、どうして?」
彼はいっこうに理由を話さない。
私と彼は、
職場恋愛でした。
私が先輩で彼が後輩でした。
職場にばれそうだから?
でも別に不倫じゃないよ?
どうして、私たち、別れるの?
訳がわからないよ。
彼と出会ったのは、1年前でした。
彼の担当エリアが私のお店になったのがきっかけでした。
「はじめまして、今日から00地区担当になりました。
八木です。宜しくお願いします。」
私より3つ年下の25歳でした。
「八木さん。」
「高橋さん?」
「よく名前覚えましたね。」
「ここの地区は高橋さんに聞いとけば間違いないって教えられたんです。」
「そんなことないのに。」
「ネクタイ、曲がってます。」
「あ、すいません。ありがとうございます。」
なんてことない、
お店でしか会わない。
挨拶を交わして、
報告をする、
連絡を受けるだけの関係だった。
そういえば、あの日も雨だったね。
帰り道、突然の土砂降りだった。
お店の外を眺めながら、
傘を持ってきてないことを思う。
「高橋さん、あがらないんですか?」
「傘、忘れちゃって。」
「送りますよ。」
「悪いですよ。」
「ちょうど本社に戻るので大丈夫ですよ。」
彼の運転する社用車に乗る。
「ごめんなさい、助かりました。」
「いえいえ、困ったときはお互い様ですよ。」
話はとくになくて、
雨の音と車から流れるラジオ。
家の前まで送って貰う。
「お礼にお茶でも?(笑)」
「仕事じゃなきゃ貰いたかったです。(笑)」
そのまま半年がすぎて、
忘年会の時だった。
私たちは帰る方向が同じで、
二人とも酔っていた。
「高橋さぁん、つきましたよぉ、いえぇ。」
「ありがとうぉございますぅ。」
私の住むアパートの前、
「この前のお礼の、お茶、貰おうかなぁ?」
「いいですよぉ?」
こんな状態で家に上げて、
そのまま流れるままに行為をした。
それから、八木さんは仕事終わりに私の家に来るようになった。
いつもコンビニでスイーツを手土産にもってやってくる。
毎回、楽しみでした。
「どうして、別れたいの?」
「 彼女と婚約したからです。」
彼女は、私じゃないの?
「 ひどい。」
「すいません。」
「なんで、もっと早くにいってくれなかったの?」
「高橋さんのこと、気になってて。」
「失礼だよ。」
「来月、結婚するんです。
だから、もう会えません。」
「私ばっかり、ひとりぼっちじゃん。」
「大丈夫ですよ、高橋さんは素敵だから。」
「嬉しくない。」
「お互い、忘れませんか?」
「は?」
「多分、もう俺が何言っても嫌な感じになりますよね?」
「あたりまえじゃん。」
「楽しかったから、嫌な思い出にしたくないんです。」
「自分勝手。」
「俺の我儘につきあってください。」
「嫌だよ。」
もう私に触れない距離にいる彼に、
もう私の名前を呼んでくれない彼に、
もう私の頬を触ってはくれない彼に、
私はすがることもできなかった。
彼ばかりが明日を見てる、
私のいない明日を見てる。
私ばかりが現状を飲み込めなくて、
泣きたくなる。
私がばいばいといえば、
もう終わってしまう、恋なのだ。
もう冷めてしまっている恋なのだ。
悔しくて、思わず唇を噛んだ。
「高橋さんは、僕が出会った中で最高に素敵な人でした。」
「だから、俺よりもっといいやつにきっと出会えます。」
全然言葉の意味がわからなかった。
ただ静かに、涙が流れた。
ワイパーが規則正しく動き出す。
正味30分でした。
さよならと彼が私を促す。
あなたはこんな雨の中に、
私をおいていくのね。
もう、家まで送ってくれない。
こんなに悲しいのに、それでも明日は私にもくるんだね。
「ごめん。」
雨降る中、コンビニの駐車場の車の中、
彼は私に謝る。
「な、なに?」
思わず声が上ずった。
「 別れよう。」
別れよう?ではなく、
別れよう。でした。
「ど、どうして?」
彼はいっこうに理由を話さない。
私と彼は、
職場恋愛でした。
私が先輩で彼が後輩でした。
職場にばれそうだから?
でも別に不倫じゃないよ?
どうして、私たち、別れるの?
訳がわからないよ。
彼と出会ったのは、1年前でした。
彼の担当エリアが私のお店になったのがきっかけでした。
「はじめまして、今日から00地区担当になりました。
八木です。宜しくお願いします。」
私より3つ年下の25歳でした。
「八木さん。」
「高橋さん?」
「よく名前覚えましたね。」
「ここの地区は高橋さんに聞いとけば間違いないって教えられたんです。」
「そんなことないのに。」
「ネクタイ、曲がってます。」
「あ、すいません。ありがとうございます。」
なんてことない、
お店でしか会わない。
挨拶を交わして、
報告をする、
連絡を受けるだけの関係だった。
そういえば、あの日も雨だったね。
帰り道、突然の土砂降りだった。
お店の外を眺めながら、
傘を持ってきてないことを思う。
「高橋さん、あがらないんですか?」
「傘、忘れちゃって。」
「送りますよ。」
「悪いですよ。」
「ちょうど本社に戻るので大丈夫ですよ。」
彼の運転する社用車に乗る。
「ごめんなさい、助かりました。」
「いえいえ、困ったときはお互い様ですよ。」
話はとくになくて、
雨の音と車から流れるラジオ。
家の前まで送って貰う。
「お礼にお茶でも?(笑)」
「仕事じゃなきゃ貰いたかったです。(笑)」
そのまま半年がすぎて、
忘年会の時だった。
私たちは帰る方向が同じで、
二人とも酔っていた。
「高橋さぁん、つきましたよぉ、いえぇ。」
「ありがとうぉございますぅ。」
私の住むアパートの前、
「この前のお礼の、お茶、貰おうかなぁ?」
「いいですよぉ?」
こんな状態で家に上げて、
そのまま流れるままに行為をした。
それから、八木さんは仕事終わりに私の家に来るようになった。
いつもコンビニでスイーツを手土産にもってやってくる。
毎回、楽しみでした。
「どうして、別れたいの?」
「 彼女と婚約したからです。」
彼女は、私じゃないの?
「 ひどい。」
「すいません。」
「なんで、もっと早くにいってくれなかったの?」
「高橋さんのこと、気になってて。」
「失礼だよ。」
「来月、結婚するんです。
だから、もう会えません。」
「私ばっかり、ひとりぼっちじゃん。」
「大丈夫ですよ、高橋さんは素敵だから。」
「嬉しくない。」
「お互い、忘れませんか?」
「は?」
「多分、もう俺が何言っても嫌な感じになりますよね?」
「あたりまえじゃん。」
「楽しかったから、嫌な思い出にしたくないんです。」
「自分勝手。」
「俺の我儘につきあってください。」
「嫌だよ。」
もう私に触れない距離にいる彼に、
もう私の名前を呼んでくれない彼に、
もう私の頬を触ってはくれない彼に、
私はすがることもできなかった。
彼ばかりが明日を見てる、
私のいない明日を見てる。
私ばかりが現状を飲み込めなくて、
泣きたくなる。
私がばいばいといえば、
もう終わってしまう、恋なのだ。
もう冷めてしまっている恋なのだ。
悔しくて、思わず唇を噛んだ。
「高橋さんは、僕が出会った中で最高に素敵な人でした。」
「だから、俺よりもっといいやつにきっと出会えます。」
全然言葉の意味がわからなかった。
ただ静かに、涙が流れた。
ワイパーが規則正しく動き出す。
正味30分でした。
さよならと彼が私を促す。
あなたはこんな雨の中に、
私をおいていくのね。
もう、家まで送ってくれない。
こんなに悲しいのに、それでも明日は私にもくるんだね。
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