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No thank you.
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きっかけは、
今流行りのアプリだった。
hello.
第一声が英語で、
私は英語が不得意だから、
ぎょっとしたのがきっかけで、
何十人もいるアプリの中で、
記憶に残ったのだった。
翻訳サイトを使いながら、
簡単な英語でやり取りをした。
何もない日常に飽きていたのかもしれない。
会うことはあまりにも、
予想的だった。
会ってみたら、
背は高くて、
サラサラの髪の毛の白人だった。
瞳も少し青がかっている。
普通に、
イケメンだった。
やり取りでは英語を使えたが、
会うとなると、
話は別だ。
緊張でてんぱる。
「あ、あのっ。
日本語、わかる?!」
「チョット、ダケ、ナラ。」
と、頼りなく笑う。
「お、おっけー。」
お茶して、
気が付いたら、
指を絡めあっていて、
あっと思った時には、
ホテルのベッドで、
絶頂に達していた。
「ヨウコ、サン。」
彼は、慣れない日本語で私の名前を読んだ。
「そう、葉子。
葉っぱの子って書くの。」
「ハッパノコ……?」
「えっと、
そーだ、リーフ!
リーフ チルドレン !」
「oh.」
今思うと、
何がリーフチルドレンなのか、
説明として合っているのか、
不明である。
彼は、ジャックといった。
初めての外人。
非日常に、心が躍った。
何を隠そう、
私はめちゃくちゃアプリで
遊び歩いていた。
もう、日本人の年下も
同い年も、
年上も、
男なら誰でも予定が合えば会ってやった。
飽きるはずだ。
「ヨウコハ、ヨクアウ、ノ?」
彼の腕枕の中で、
そう尋ねられた。
息を吐くように、
いつもと同じく、
「 ジャックが、初めて、よ?」
「yes.」
ジャックは嬉しそうだった。
それから、
ジャックとは何度も会った。
いつもカフェで待ち合わせして、
ホテルに行く。
毎回ジャックはニコニコ嬉しそうだった。
その間も私は、
他の男とも会っていた。
付き合ってないから、
罪悪感なんていうものは特に感じなかった。
「ヨウコ サンっ。」
ジャックは、どんな時でも、
私の名前を呼ぶ。
「ヨウコ サンハ、
ドンナヒト、スキ?」
「えー。
ジャックみたいな、人(笑)」
「マジメ二、コタエテ。」
たまに、むっとむきになるジャックの青い瞳が
好きだった。
「ah ヨウコ、サン。
スキナ タベモノ ハ?」
「苺!
ストロベリー!」
「ボク モ。」
嬉しそうに笑ったジャックは、
次会った時に、
とちおとめを買って来た。
「シャンパン 二 。」
とジャックはシャンパンも持ってきていた。
シャンパンに苺を浮かべる。
しゅわしゅわと気泡を苺が全身に浴びている。
「ありがとう。」
そう言うと、ジャックは嬉しそうに微笑んだ。
実を言うと、
私はアプリであった、
既婚者の人に片思いをしていた。
いつも見たいに会ったら、
惚れてしまった。
顔も性格も全部がタイプだった。
なのに、
2回目で私の好意がばれたのか、
実は結婚していると指輪を見せられた。
やめようと思ったけど、
体だけなら別にいいかと思い、
だらだら彼のセフレになったわけだが、
とても、
身体に悪かった。
会うたびに苦しくなった、
二重の意味で。
彼は爽やかに笑いながら、
「最高!」と私を評価した。
嬉しいような、
悲しいようなその言葉は、
私を縛った。
その点、ジャックは私を評価しない。
いつも、
優しい笑顔で受け入れてくれる。
ジャックから告白されることは予想できていた。
でも、付き合えなかった。
嘘ばっかりついてるのに、
その時だけは、
嘘をつけなかった。
「 ナンデ ?
ヨウコ?」
気が付けば、
ヨウコサンから、
ヨウコに呼び捨てになっていた。
「 ごめん 。」
それしか言えなかった。
本当はもう、ジャックとしか会ってなかった。
アプリは消してたし、
セフレの彼はとっくにブロックしていた。
ジャックは、ひどく悲しがった。
「 モウ アエナイ ?」
「 それは、会える。」
ジャックは、私の意味不明な言葉に、
困惑していた。
ジャックから連絡が来なくなった。
当たり前だ。
わけがわからないからだ。
好きだといえば、ごめんと断られ、
アエナイと懇願すれば、会えるのだから。
ジャックは、誠実だったのだ。
ただ、それだけ。
私がいけない。
さよなら、ジャック。
楽しいカフェデートをありがとう。
色々行けて楽しかった。
ジャックは、9の数字が好きで、
ホテルの部屋は9のつく部屋にこだわっていたね。
9のついた部屋をとれなかったときは
少し不機嫌そうにキスをするジャック。
とても、かわいかった。
そういえば、
今日はスーパーで苺が安かったんだった。
無意識のうちに、
かごにいれていた。
本当は、苺なんて、
特に好きでも嫌いでもなかった。
ただ、そう言ったら可愛いかなって感じだった。
シャンパンは、家にはない。
炭酸水にしよう。
炭酸水に苺を入れれば、
しゅわしゅわと気泡を浴びる。
ジャックはよく愛を囁いてくれたね。
とても、心地よかった。
気が付いたら泣いてて、
炭酸水を飲むのを忘れて、
気が付いたときには、
ガスが抜けていた。
「 ヨウコ 。 アオウ !」
腫らした目で携帯を見れば、
ジャックからラインが届いていた。
(うん、会おう、ジャック!)
もう、嘘はつかない、
つけない状態だった。
胸の中にたまっていたもやがなくなって、
息苦しさから解放されて、
少し、寒い。
カフェじゃなくて、
ホテルでっていってくる、
ジャック。
私のせいだから、
仕方ない。
ジャックは、少しムスっとして、
部屋にいた。
「 ひ、久しぶり。」
「ヨウコ。」
「なに?」
心臓がどくどく言う。
何を言われるんだろう。
「ヨウコ、ウソ ツイタ?」
「 つ、ついてないよ?」
「 Really? 」
「 う、うん。」
ジャックは深く息を吸うと、
微笑みながら、
私のおでこにキスを落とした。
「 モウ イイヨ ヨウコ 。」
ジャックは優しくそういうと、
私を抱きしめた。
「な、なんでっ?!」
私は号泣していた。
「ヨウコ ウソ ツクトキ
コトバ ノ ウシロ タカク ナル (笑)」
「ど、どういうことっ?!」
「ボク ノ コト スキ?」
「す、好きじゃ……。」
「イッテ ヨウコ ?」
「本当は、好きっ。」
「ボク モ。」
私が嘘をつくときの癖を彼はわかっていたのだった。
遊びたいんじゃない。
誰でもいいんじゃない。
本当は探してた。
セフレなんかになりたいわけがない。
本命になりたかった。
彼から指輪を見せられたときの絶望は忘れられない。
でも、
ジャックが私に指輪をくれたから、
もう、大丈夫。
「ありがとう、ジャック。」
「No Thank you.」
今流行りのアプリだった。
hello.
第一声が英語で、
私は英語が不得意だから、
ぎょっとしたのがきっかけで、
何十人もいるアプリの中で、
記憶に残ったのだった。
翻訳サイトを使いながら、
簡単な英語でやり取りをした。
何もない日常に飽きていたのかもしれない。
会うことはあまりにも、
予想的だった。
会ってみたら、
背は高くて、
サラサラの髪の毛の白人だった。
瞳も少し青がかっている。
普通に、
イケメンだった。
やり取りでは英語を使えたが、
会うとなると、
話は別だ。
緊張でてんぱる。
「あ、あのっ。
日本語、わかる?!」
「チョット、ダケ、ナラ。」
と、頼りなく笑う。
「お、おっけー。」
お茶して、
気が付いたら、
指を絡めあっていて、
あっと思った時には、
ホテルのベッドで、
絶頂に達していた。
「ヨウコ、サン。」
彼は、慣れない日本語で私の名前を読んだ。
「そう、葉子。
葉っぱの子って書くの。」
「ハッパノコ……?」
「えっと、
そーだ、リーフ!
リーフ チルドレン !」
「oh.」
今思うと、
何がリーフチルドレンなのか、
説明として合っているのか、
不明である。
彼は、ジャックといった。
初めての外人。
非日常に、心が躍った。
何を隠そう、
私はめちゃくちゃアプリで
遊び歩いていた。
もう、日本人の年下も
同い年も、
年上も、
男なら誰でも予定が合えば会ってやった。
飽きるはずだ。
「ヨウコハ、ヨクアウ、ノ?」
彼の腕枕の中で、
そう尋ねられた。
息を吐くように、
いつもと同じく、
「 ジャックが、初めて、よ?」
「yes.」
ジャックは嬉しそうだった。
それから、
ジャックとは何度も会った。
いつもカフェで待ち合わせして、
ホテルに行く。
毎回ジャックはニコニコ嬉しそうだった。
その間も私は、
他の男とも会っていた。
付き合ってないから、
罪悪感なんていうものは特に感じなかった。
「ヨウコ サンっ。」
ジャックは、どんな時でも、
私の名前を呼ぶ。
「ヨウコ サンハ、
ドンナヒト、スキ?」
「えー。
ジャックみたいな、人(笑)」
「マジメ二、コタエテ。」
たまに、むっとむきになるジャックの青い瞳が
好きだった。
「ah ヨウコ、サン。
スキナ タベモノ ハ?」
「苺!
ストロベリー!」
「ボク モ。」
嬉しそうに笑ったジャックは、
次会った時に、
とちおとめを買って来た。
「シャンパン 二 。」
とジャックはシャンパンも持ってきていた。
シャンパンに苺を浮かべる。
しゅわしゅわと気泡を苺が全身に浴びている。
「ありがとう。」
そう言うと、ジャックは嬉しそうに微笑んだ。
実を言うと、
私はアプリであった、
既婚者の人に片思いをしていた。
いつも見たいに会ったら、
惚れてしまった。
顔も性格も全部がタイプだった。
なのに、
2回目で私の好意がばれたのか、
実は結婚していると指輪を見せられた。
やめようと思ったけど、
体だけなら別にいいかと思い、
だらだら彼のセフレになったわけだが、
とても、
身体に悪かった。
会うたびに苦しくなった、
二重の意味で。
彼は爽やかに笑いながら、
「最高!」と私を評価した。
嬉しいような、
悲しいようなその言葉は、
私を縛った。
その点、ジャックは私を評価しない。
いつも、
優しい笑顔で受け入れてくれる。
ジャックから告白されることは予想できていた。
でも、付き合えなかった。
嘘ばっかりついてるのに、
その時だけは、
嘘をつけなかった。
「 ナンデ ?
ヨウコ?」
気が付けば、
ヨウコサンから、
ヨウコに呼び捨てになっていた。
「 ごめん 。」
それしか言えなかった。
本当はもう、ジャックとしか会ってなかった。
アプリは消してたし、
セフレの彼はとっくにブロックしていた。
ジャックは、ひどく悲しがった。
「 モウ アエナイ ?」
「 それは、会える。」
ジャックは、私の意味不明な言葉に、
困惑していた。
ジャックから連絡が来なくなった。
当たり前だ。
わけがわからないからだ。
好きだといえば、ごめんと断られ、
アエナイと懇願すれば、会えるのだから。
ジャックは、誠実だったのだ。
ただ、それだけ。
私がいけない。
さよなら、ジャック。
楽しいカフェデートをありがとう。
色々行けて楽しかった。
ジャックは、9の数字が好きで、
ホテルの部屋は9のつく部屋にこだわっていたね。
9のついた部屋をとれなかったときは
少し不機嫌そうにキスをするジャック。
とても、かわいかった。
そういえば、
今日はスーパーで苺が安かったんだった。
無意識のうちに、
かごにいれていた。
本当は、苺なんて、
特に好きでも嫌いでもなかった。
ただ、そう言ったら可愛いかなって感じだった。
シャンパンは、家にはない。
炭酸水にしよう。
炭酸水に苺を入れれば、
しゅわしゅわと気泡を浴びる。
ジャックはよく愛を囁いてくれたね。
とても、心地よかった。
気が付いたら泣いてて、
炭酸水を飲むのを忘れて、
気が付いたときには、
ガスが抜けていた。
「 ヨウコ 。 アオウ !」
腫らした目で携帯を見れば、
ジャックからラインが届いていた。
(うん、会おう、ジャック!)
もう、嘘はつかない、
つけない状態だった。
胸の中にたまっていたもやがなくなって、
息苦しさから解放されて、
少し、寒い。
カフェじゃなくて、
ホテルでっていってくる、
ジャック。
私のせいだから、
仕方ない。
ジャックは、少しムスっとして、
部屋にいた。
「 ひ、久しぶり。」
「ヨウコ。」
「なに?」
心臓がどくどく言う。
何を言われるんだろう。
「ヨウコ、ウソ ツイタ?」
「 つ、ついてないよ?」
「 Really? 」
「 う、うん。」
ジャックは深く息を吸うと、
微笑みながら、
私のおでこにキスを落とした。
「 モウ イイヨ ヨウコ 。」
ジャックは優しくそういうと、
私を抱きしめた。
「な、なんでっ?!」
私は号泣していた。
「ヨウコ ウソ ツクトキ
コトバ ノ ウシロ タカク ナル (笑)」
「ど、どういうことっ?!」
「ボク ノ コト スキ?」
「す、好きじゃ……。」
「イッテ ヨウコ ?」
「本当は、好きっ。」
「ボク モ。」
私が嘘をつくときの癖を彼はわかっていたのだった。
遊びたいんじゃない。
誰でもいいんじゃない。
本当は探してた。
セフレなんかになりたいわけがない。
本命になりたかった。
彼から指輪を見せられたときの絶望は忘れられない。
でも、
ジャックが私に指輪をくれたから、
もう、大丈夫。
「ありがとう、ジャック。」
「No Thank you.」
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