心の苦虫

神奈川雪枝

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心の苦虫

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私のクラスではいじめが行われている。
誰も止めない、
止める勇気を持っている者は誰もいない。

こんなことを言っている私だって、
立派な傍観者であり、
いじめを行っている一人なのである。

あぁ、なんと無常なことか。
自分が可愛い。
いじめられているあの子は可哀想。

そうは思うが、
毎日穏便に生き抜くことで精一杯なのだ。

いじめられたくない、
その気持ちしか私にはないのだ。
可哀想とは思うけど、
同時に、
馬鹿なやつとも思う。

きっかけは些細な事だった。
あの時、
もっとうまくやれていれば、
あの子はいじめられることなんてなかった。

選択を間違ったのだ。

まるで、
ルーレット。

明日は我が身と、
嫌でもわかる。

昔、選択を間違ったことがあり、
私もいじめられたことがあった。

幸い、ターゲットはすぐに変わったが、
とても辛く、
すぐさま、
スクールカウンセラーの先生に相談した。

その時もらった飴玉を、
私は忘れられない。

大切な思い出だ。

私も誰かを救いたい、
いや、
助けたい?
もっと、簡単。

誰かの拠り所にでもなれたら嬉しいなと思った。

でも、
そんなことできるのだろうか?

カウンセラーになるのが、
私の夢になった。

でも、
今現在、
いじめられている子を無視しているのに、
そんな夢、
叶えていいのだろうか?

私は、卑怯者かもしれないと思うと、
口の中に、
苦みが広がった。
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