新卒ダイアリー

神奈川雪枝

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今日から頑張ります!

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今日から新社会人だ。

入社した会社には、
幼馴染の玲央先輩がいる。

ちょっとだけ心強い。


「よ。」

「わっ。」

「今日からだろ?」

「緊張します。」

「頑張れよ。」

「はい!」

私の肩をたたいてくれる玲央先輩。

よーし、頑張るぞ。


入社して3か月がたった。
少しだけ会社にもなれてきた。

「関口くん、これ倉庫に運んどいてくれる?」

「はーい。」

一人で書類の入った段ボールを倉庫に運ぶ。


ハイヒールにいまいちなれない。


階段だった。

ハイヒールで踏み外して転んでしまった。

「いたっ。」


「おい、大丈夫か?」

たまたま通りかかった玲央先輩が私の腕を引っ張ってくれた。

「はでに、ぶちまけたな(笑)」

「すいません。」

書類を拾うのも手伝ってくれる。

「ありがとうございます。」

「いいよ、別に。
 それより怪我は大丈夫?」

「なんとか。」って言ったけど、
思い切りストッキングは伝線していて、
うっすら血が出ていた。

「嘘つくなよ、血ぃ、でてんじゃん?!」

玲央先輩は、
私を抱きかかえると、
医務室まで連れてきてくれた。

「すいません、重かったですよね。」

「そんなことないよ。
 ばんそうこ、どこにしまってあったかな?」
先輩は探している。

「あ、あった。」

「水で濡らしたほうがいいか?」

ストッキング脱いじゃいますねと立ち上がろうとしたときだった、
先輩の手がスカートの中に入ってくる。

「え?ちょっ。」

「ダメ?」

「え?」

「俺、香里の事、好きなんだよ。」

「え?」

するっとストッキングが下げられる。

水で濡らしたガーゼで患部をふいてくれる。

じりっといたくて、
ひんやりする。

「知らなかった?」

「知らなかった、です。」

ぺちんとばんそうこをはられる。
はられた場所が熱い。

「そういうおっとりしたところも、好きだけどね。」と、
先輩は私のおでこにキスをした。

「へ?」

さっきから何が起こってるのかさっぱりわからない。

「今日、一緒にご飯たべてかえろ。」

先輩はあとの書類は俺が倉庫に運んどく
といって、
医務室を出て行った。

「 うそ 。」

今頃になってドキドキが押し寄せる。
顔が熱くなった。


定時。

先輩は私のことを待っていた。

「傷、大丈夫?いたくない?」

エレベーターで私を気遣ってくれる。

「大丈夫です。」

先輩、さっきの冗談ですよねって言おうとした瞬間、
先輩は私の手を握ってきて、

「やっぱり、かわいいね、香里は。」と、
照れくさそうに笑った。

大学でミスターにも選ばれた先輩が私のことを好きなんて、
信じられない。

先輩の甘いマスクで言われると、
悪い気がしない。


近くの洋食レストランに連れてきてもらった。

「何食べる?かおりは、何すきなの?」

「私、ハンバーグにしようかな。」

「じゃぁ、俺もそれにしよ。」

先輩を見ると、ニコニコ嬉しそうだった。

ハンバーグには、にんじん、ポテト、ブロッコリーが添えられていた。

私はブロッコリーが苦手だ。

どうしようと思ってると、
「かおり。」と先輩は私のお皿からブロッコリーをとって、
そのまま食べた。

「なんで?」

「苦手ですぅ~って顔にかいてあったよ?(笑)」

「うそ?」

「ほんと笑
 今香里が何考えてるか、あてようか?」

「え?」

「いきなり告白されてどうしよう、だろ?(笑)」

「先輩っ!
 からかわないでくださいっ!」

「だって、真剣に悩んでる顔も可愛くてさ、つい。」

「もう。」

「で、どうする?」

「え?」

「俺と付き合わない?」

「えっと。」

「俺自分でいうのもあれだけど、顔よしで仕事もできるし、優しいよ?」

「先輩笑」

「逃したらもったいない。」

先輩の顔をまじまじと見つめてみる。

不安そうな子犬みたいな顔でこちらをじぃーっと見ている。

(可愛い。)

「 いい、ですよ。
 つきあっても。」

「ほんと?」

「先輩、かわいいから。」

「え?可愛い?」

「うん。」と、ハンバーグを口に運ぶ。

「ちょっと、どういうこと?」

「内緒笑」


それから私たちは、
会社には内緒で付き合うことになった。

先輩は優しくて、
頼りがいのある人で、
文句のつけようがない完璧な人だった。

私は毎日が幸せだった。


付き合って3か月、
私の部署に期間限定で部長がくることになった。

その人は私の父親と同い年くらいのおじさんだった。

とてもきさくで明るいんだけど。

「関口ちゃん!おはよう!」

「きゃっ。」

おはようと同時におしりに手があたった。

「お茶、おねがいね。」とおしりをなでられる。

そう、私のことを気にいったのか、
私はセクハラにあっていた。

周りも、
波風たてたくないのか、
期間限定だしねとお茶を濁す。

「関口ちゃん、ちょっとこっち。」

「なんですか?」

「いい匂いするね。シャンプーなにつかってるの?」

「部長。」

「ごめんごめん。一緒に倉庫整理手伝ってくれる?」

「はーい。」

倉庫に入ると、
いきなり部長が私に抱きついてきた。

「ちょ、や、やめてくださいっ。」

「いいじゃないか、少しくらい。」

私の胸に顔をうずめる部長。

「やめてくださいっ。」

抵抗空しく、力にはかなわない。

気持ち悪いと涙が出てくる。

バチンと、倉庫に電気がつく。

「部長。」

声のほうをみると、
玲央先輩がすごい顔でそこにいた。

「んっなんだね、一体っ?!」

部長は慌てて顔をあげる。

「先ほど、取引先から緊急の連絡がありましたので、
 対応お願いします。」

「そ、そうか、わかった。」と、
部長はそそくさと倉庫を去っていった。

「先輩っ。」と、
私は震えるからだで抱き着いた。

「なんで、黙ってた?」

「え?」

「セクハラ、うけてただろ?」

「 はい。」

「なんで、俺に相談しなかった?」

「ごめんなさい、こんなことでって思われたくなくて。」

「こんなこと?こんなに体が震えているのに?」

先輩のまっすぐな目。
(怒ってる。)


「今日、お前の部署の中村さんから聞いたんだ。
 香里が部長に気に入られすぎてるって。」

「そうだったんですか。」

「全部、俺に言え。
 一人で抱え込むな。」

「ごめんなさい。」

そのまま私たちは倉庫の隅でしてしまった。

「なにされたんだ?」

「今は、胸に顔をうずめられて。」

というと、先輩は私の胸に顔をうずめた。

「俺だけの香里なのに。
 許せない。」

「他は?」

「毎朝おしりなでられたりとか。」

先輩の手が私のお尻をなぞる。

「ん。」

「香里、部長になでられたときもそんな声だしてないよな?」

「だしてっませんっ。」

「ほんとかな?
 香里はすぐに濡れるから。」と、
先輩の手がスカートの中に入ってくる。

「ん。」

「あとはなにされてたの?」

「髪の毛の匂い、かがれたりとかっ。」

髪の毛の匂いをかぎながら、
先輩は私のワイシャツのボタンをはずしていく。

「先輩っ、だれかっきちゃうっ。」

「こないよ。」

「うそ。」

あっという間に胸はあらわになって、
先輩は舌で愛撫をはじめた。

「あっああん。」

するりとストッキングとパンツも脱がされていた。

「俺だけの香里、だろ?」と、
先輩が私の中にはいってくる。

「はぁいっ。」

倉庫でしたのはこれっきり。


セクハラ部長も任期がおわり、
いなくなり、
また平穏な日々です。

気が付けば、
入社して1年がたっていた。

「香里、仕事なれた?」

「なんとなくですかね。」

「まだちょいちょいミスしてるもんな(笑)」

「もう!」

「俺の事、好き?」

「はい。」

「どんくらい、好きかな?」

「先輩いなきゃ生きてけないくらいです。」


「香里。」


私たちは来月結婚する。
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