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転校生がきた。
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津軽から転校生がきた。
「はじめまして。
僕の名前は、佐藤高志だて。
しろしぐおねがいします。」
聞きなれないその言葉は、
私たちに強烈なインパクトを残した。
「だて、やって。
なんやそれ(笑)」
ここは関西だ。
北が珍しいのだ。
「こま鹿サするな!」
「なんて?(笑)
意味わからん(笑)」
佐藤くんは自己紹介したときから、
ずっと馬鹿にされていた。
「男子、やめや。」
「こいつ、喋り方おかしすぎるやろ。」
佐藤くんは顔を真っ赤にして拳を握っていた。
時とは無情なもので、
いつしか佐藤くんの方言を馬鹿にする人はいなくなった。
通じない時もあるけど、
それが日常として受け入れられたのだ。
「帰ろ?」
私たちは付き合っている。
ある日の放課後、
佐藤君から突然告白されたのだ。
「俺、坂本さんのごどが好ぎだ。
付き合ってぐれねか?」
佐藤くんは訛っている。
でも、顔は人並み以上かもしれない。
頭だっていい。
運動だってできる。
「 ええよ。」
「ほんど?
ありがどう!
嬉しい!」
満面の笑顔で笑う佐藤くんにキュンとした。
帰り道、
「手っコ、つねでもいい?」
といわれた。
「なに?つねでも、いい?」
「だめか?」
「どういういみよ?」
「こう!」
不意打ちで手を繋いだ。
「 手つなごうっていえばええやんか。」
「いっだ。」
私は照れていた。
真っ直ぐに言葉を伝えてくれるのに、
方言が邪魔をして、
私は理解できないもどかしさ。
佐藤くんはいつも真っ直ぐで素直な人だった。
付き合って半年たったろうだろうか、
クラスメイトの男子たちに佐藤くんがからかわれていた。
「どしたん?」
「なんでもね。」
「顔真っ赤やで?
なに、からかってたん?」
男子たちはみんなニヤニヤしていた。
「なん?」
「いってええんか?」
「やめとけ。」
「なんなんよ?」
「みきには、
アンタに関係ないべさ!」と、
珍しく佐藤くんは声を荒げた。
「なして、そんな言い方すんねん?」
「うるさいっ。」
佐藤くんは鞄を持って教室から出て行ってしまった。
「坂本、はよおいかけぇ。」
さっきまでにやついていた男子たちが私の背中を押す。
(わけ、わからん。)
佐藤君は通学路の途中の公園に居た。
「怒ってるん?」
「怒ってね。」
「なにからかわれてたん?」
佐藤くんは顔を真っ赤にする。
「いうてくれな、わからへん。」
「お前きや、どじぐりで進んでるんだばて言われた。」
「なんて?」
「ちゅーはしたんかって言われた。」
「なっ?!」
「俺はして。
ダメかな?」
「あかん!」
「なんで?」
「やって、めっちゃはずいやんか。」
「えー、そしたきや理由?」
「みき。」
佐藤くんは真っ直ぐに私を見て、
私を抱きしめた。
ちゅっと響くその音に、
心臓の音も高く跳ね上がった。
「しちゃっだな。」とはにかんで笑う彼に、
また私はきゅんとした。
「はじめまして。
僕の名前は、佐藤高志だて。
しろしぐおねがいします。」
聞きなれないその言葉は、
私たちに強烈なインパクトを残した。
「だて、やって。
なんやそれ(笑)」
ここは関西だ。
北が珍しいのだ。
「こま鹿サするな!」
「なんて?(笑)
意味わからん(笑)」
佐藤くんは自己紹介したときから、
ずっと馬鹿にされていた。
「男子、やめや。」
「こいつ、喋り方おかしすぎるやろ。」
佐藤くんは顔を真っ赤にして拳を握っていた。
時とは無情なもので、
いつしか佐藤くんの方言を馬鹿にする人はいなくなった。
通じない時もあるけど、
それが日常として受け入れられたのだ。
「帰ろ?」
私たちは付き合っている。
ある日の放課後、
佐藤君から突然告白されたのだ。
「俺、坂本さんのごどが好ぎだ。
付き合ってぐれねか?」
佐藤くんは訛っている。
でも、顔は人並み以上かもしれない。
頭だっていい。
運動だってできる。
「 ええよ。」
「ほんど?
ありがどう!
嬉しい!」
満面の笑顔で笑う佐藤くんにキュンとした。
帰り道、
「手っコ、つねでもいい?」
といわれた。
「なに?つねでも、いい?」
「だめか?」
「どういういみよ?」
「こう!」
不意打ちで手を繋いだ。
「 手つなごうっていえばええやんか。」
「いっだ。」
私は照れていた。
真っ直ぐに言葉を伝えてくれるのに、
方言が邪魔をして、
私は理解できないもどかしさ。
佐藤くんはいつも真っ直ぐで素直な人だった。
付き合って半年たったろうだろうか、
クラスメイトの男子たちに佐藤くんがからかわれていた。
「どしたん?」
「なんでもね。」
「顔真っ赤やで?
なに、からかってたん?」
男子たちはみんなニヤニヤしていた。
「なん?」
「いってええんか?」
「やめとけ。」
「なんなんよ?」
「みきには、
アンタに関係ないべさ!」と、
珍しく佐藤くんは声を荒げた。
「なして、そんな言い方すんねん?」
「うるさいっ。」
佐藤くんは鞄を持って教室から出て行ってしまった。
「坂本、はよおいかけぇ。」
さっきまでにやついていた男子たちが私の背中を押す。
(わけ、わからん。)
佐藤君は通学路の途中の公園に居た。
「怒ってるん?」
「怒ってね。」
「なにからかわれてたん?」
佐藤くんは顔を真っ赤にする。
「いうてくれな、わからへん。」
「お前きや、どじぐりで進んでるんだばて言われた。」
「なんて?」
「ちゅーはしたんかって言われた。」
「なっ?!」
「俺はして。
ダメかな?」
「あかん!」
「なんで?」
「やって、めっちゃはずいやんか。」
「えー、そしたきや理由?」
「みき。」
佐藤くんは真っ直ぐに私を見て、
私を抱きしめた。
ちゅっと響くその音に、
心臓の音も高く跳ね上がった。
「しちゃっだな。」とはにかんで笑う彼に、
また私はきゅんとした。
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