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袖触れ合うも他生の縁
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久しぶりの休み。
久しぶりの、デート 。
デートするか?
なんて、
久しぶりの電話で、
彼は冗談ぽく言って笑っていた。
私は嬉しくて、
嬉しくて、
最近はずっと、
デートのことしか、
頭になかった 。
なのに、
当日。
待ち合わせ場所に、
彼は居ない 。
1時間、
2時間、
待っても、
彼はやってこない……。
(どーいうこと ?)
携帯に電話しても、繋がらない。
メールをしても、返信が来る様子は全くない 。
( 意味わからん 。)
一人、浮かれていたみたいで悲しくなった。
もう、怒りとか通りこして涙が溜まる 。
( 私一人が好きみたいじゃんかぁ 。)
私は帰ることにした。
時計を見れば、
待ち合わせ時間から、
5時間が経っていた 。
(せめて、連絡くらいくれたっていいじゃん 。)
一人、
涙を我慢して歩いていると、
後ろから、
車のクラクションが鳴り響いた 。
( 何、うるさいなぁ 。)
あまりにも、
クラクションが鳴り止まないから、
後ろを振り返ると、
見慣れた車 。
( 宏 ?!)
私は思わず驚いて、
その場に立ち尽くした 。
「 何、帰ろうとしてんねんっ!
って、何で泣きそうなん……?」
私に文句を言いながら車を降りてきた宏は、
私の顔を見て、
驚いていた 。
「ちょ、どーしてん?
具合悪いんか?」
宏が優しく私のことの背中を擦る 。
温もりが温かくて、
会えたのが嬉しくて、
心配してくれたのが嬉しくて、
我慢していた涙は、
勢いよく零れ落ちた 。
「……宏がっ……着てくれないから……。」
泣きながら、
私は喋った 。
「ちゃんと来てるやん?」
「だって、
私、一人で5時間も待ってんで……っ ?」
「 は?
5時間?」
「携帯に電話しても繋がらんし 。」
「ちょ、待って?
昨日、俺メールしたやん 。
仕事は入ってもうたからって 。
時間もちゃんと書いたやんなぁ?」
「 えっ?」
宏の顔をまじまじと見つめる。
嘘をついている様子はない 。
「 でも、宏からのメールなんて見てへん 。」
「携帯ちゃうで、パソコンの方に送ってん 。
昨日、携帯水没してもうてん 。」
「 は?」
「せやから、パソコンにメールしたの。」
「 私、仕事じゃなきゃパソコンなんて使わないよ。」
「そんなん知らんわ。」
「知らんって、私何も知らんと5時間も待ってんで!」
「そんなんいうても、俺ちゃんとメールしたもん 。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ごめんなんか言わんわ、あほーっ 。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その日は喧嘩もほどほどに、
ちゃんとデートできましたv
家に帰ってパソコンを開くと確かに、
メールが届いてましたw
________________
明日、仕事はいってもうた。
やから、時間は午後6時な。
あと、携帯水没してもうたから 。
何か急に、
色々ごめんな 。
________________
(メールで、ゴメンって謝ってるし 。
宏のあーほっw)
☆
「なぁー、遊ぼう!」
「 そやなぁー。
ねんね、しようなぁ?」
「いやだぁー!
遊ぶんーやー!」
「 わかったから、そんな耳元で大きな声出さんといてな?
おねんねするんやでぇー?」
「つまんない。
おねんね、いやー。」
「 いやー じゃなくてなぁー 。
……って、何処に行ってんねん?!
戻ってこいーやー?」
休日のお昼。
天気もよくて、
窓からの木漏れ日に、そよ風。
(こんなん、めっちゃ理想の御昼寝やんなぁ?)
朝早くから折角実家に帰って来たのに、
オカンは預かっていた姪っ子を、
俺に預けて、
買い物に出かけた 。
( 実家に帰んなきゃ良かった……なんてなぁ ?)
さっきまで一緒に横になっていた姪っ子雪枝は、
元気に家の中を一人走りまわっている 。
( 子供は元気やなぁ 。←)
姪っ子から解放されるために昼寝しようと思ったのに、
肝心の雪枝が居らんのなら、意味がない 。
( ギターでも弾くか?)
俺は起き上がり、
近くにあった、
ギターケースを持ってきて、
ギターを取り出した 。
( こういう休日も、何やええもんやなぁ 。)
∮~♪~♭~#~
静かにギターを奏でる 。
弾いていると、
どたばたと足音が近づいてきて、
目の前にキラキラ輝く眩しいほどの笑顔。
「 それ何?」
「んー、ギターやでぇー。」
「キター?」
「キターちゃうくて、ギターや。」
「キター、綺麗 。」
「んー、そうやなぁ~。」
興味津々にギターを見つめる 。
「 弾いてみる?」
ギターを差し出せば、
嬉しそうに大きく頷いた。
(ええなぁ、真っ直ぐって。)
小さい雪枝には、
大きすぎるギター 。
音なんかめちゃくちゃ適当やねんけど、
すごい楽しそうに弾いている 。
( そうや、技術とかの前に大事なんは気持ちやからな!)
でも、
やっぱり、
俺に子供の世話は、
し ん ど い … … 。
に、尽きるわ 。 ←
( やって、あんなに楽しそうにギター弄ってたんに、
もう飽きて、また走り廻ってんねんもんー!)
☆
夏、真っ盛り。
これでもかっていうくらい、
太陽はぎらぎらと輝いていて、
溶けるんじゃないかってくらい、
暑い 。
そして、
空は、澄み渡るほどの水色で、
真っ白な雲。
たまに、
肌を掠める、風。
流れる汗だって、
前向きに考えたら、
実に健康的。 ←
「 で、何で遅刻したかって聞いてんねんっ!」
学校。
生徒会。
夏休みなのに、会議。
遅刻してしまった私を、どなり散らす生徒会長。
「やから、暑かったからって言うたやないですかっ!」
「そんなん理由になるか、ぼけぇーっ!」
ただでさえ暑さに遣られてしまった頭に響く、会長の大声。
「 今日、会議って昨日電話したやん。」
「 はい 。」
「絶対に遅刻すなよって、言ったやんなぁ?」
「 はい 。」
「本間にそれやから、俺等生徒会が馬鹿にされんねん 。」
「 はい。」
「生徒会の癖にって、そんなん言われたないやろ?」
「 はい 。」
「せやったら、何で遅刻すんねんーっ!」
大きな声で、
会長は結局、
何で遅刻したか?っていう結論にたどり着く 。
( もう、何回質問したら気すむねん?!)
もう、何度目だろう?
「 何で遅刻したんや?」
って聞かれた瞬間、
目の前がいきなり真っ暗になった 。
遠くの方で、
会長の
「おい、大丈夫か、
神奈川っ?」
って声が響いた…… 。
目を開けると、
真っ白い天井 。
( えっ、何処?)
起き上がろうとしたけど、
あまりにも体がだるくて、
無理だった 。
「 何や、目ぇ醒めたんか?」
優しい会長の声がした。
「 あんな、
体調悪かったんなら、俺に一言でもええから、
連絡したら、休んでええねんで、あほ 。」
さっきとは全く態度の違う先輩に、
ちょっと、私は戸惑ってしまった 。
「 ごめん なさい 。」
「 そんな無理してこられても、余計に拗らせるだけやしな 。」
先輩は私の頭を、
笑いながら、
優しく撫でた 。
ーーーーーーーーーーーー
ゆわな、わからんやろ ?
ーーーーーーーーーーーー
(我等の生徒会長曰く、助け合いが大事やねんって !)
☆
金曜日の学校。
放課後。
教室に好きな人と二人きり 。
(数学の課題がなきゃ楽園やったで、ほんまに 。←)
数学のプリントと睨めっこしながら、
俺と向かい合わせに座っている、彼女。
「なぁ、」
「 何?」
「これ、何時になったら終わるん?
全く終わりが見えへんねんけど 。」
「そーやなぁ 。
俺にも終わりが全く見えん 。」
「 なぁ、今田って好きな人とかって居るん?」
「えっ?」
「もしかして、彼女居るん?」
「 彼女、居らんよ 。」
「そーなんや、寂しい奴やなぁ 。」
「そ、そーいう神奈川は、彼氏居るん ?」
( ドキドキ、ドキドキ 。
居ったら、どーしよ……。)
「んー、秘密やひ・み・つ。 笑」
彼女は楽しそうに笑っていた。
(がびーんっやん 。
絶対、居る反応ちゃうん、これ……。)
「そーなんや 。
じゃぁ、好きなタイプはどーいう人なん?」
(頼むからこれ以上、俺を地獄に落とさんでくれーっ。 ←)
「好きなタイプなぁー、どーなんやろうなぁ?
んー、まぁとりま放課後居残りなんかせえへんくらい頭良くて、
なぁ 。」
(わー、全く俺に当てはまらんなぁっ!)
「んー、そんなんかな?」
笑いながら、そんな残酷なことを言う神奈川は、小悪魔ですか? ←
━━━━━━━━━
┃う そ や ん っ 。┃
━━━━━━━━━
「 ちょ、今田ー。
何、めっちゃテンション下がってへん?」
「 そんなん、ないよ……っ……。」
「何今の、完全なる不燃焼やんか 。
どーしてん、いきなり ?」
(神奈川が、俺をこーしてんのにっ!)
「 可愛えなぁ 。」
「 はっ?」
「 今喋ったタイプの奴、全部嘘やで?
しいて言うならば、間逆やなぁ。」
神奈川は、そう悪戯に笑った。
「 逆 ?」
「そー 。
頭ええ奴なんか疲れるし、」
「 そっか 。」
「うん 。」
君の頬は、俺の自意識過剰なのか、
ほんのり紅く見える 。
「 今田は、私のこと好きやろ?」
上から目線なのに、神奈川 なら愛しいと思った 。
(って、俺の気持ち知ってたん?)
「 す、 好きやで っ 。」
「ん、ありがと。
なら、付き合ってあげてもええけど、どーする?」
「 ぜひ、付き合ってくださいっ !」
「 もう、声大きいわ 。」
君は、そういうとにっこり笑って、
俺の差し出した手を優しく握った 。
☆
甘ったるい声で俺の名前を呼びながら、
一生懸命に走ってくる、
俺の大切な後輩。
「大変やっ。」
俺の所に来たと思ったら、
肩を大きく上下に動かしながら、
息も絶え絶えに、
突然、こー言い出した 。
「 心臓が、痛いねんっ。」
真っ直ぐな瞳で俺を見ながら、
後輩は確かにそー言った 。
( アカン、病院連れていかな 。)
「あんなっ、クラスの神奈川さんを見ると、
心臓が痛なんねんっ!
何で?」
( 何でって、あほやろ 。)
「神奈川さんが笑うと、めっちゃ嬉しくて 。
神奈川が他の男子と話したりしてんの見ると、すんごいムカツクねん。
それに最近は、姿を見ただけで締め付けられんねん心が 。」
(そーとー惚れてんねんな 。)
「 判った、俺が治したる。」
俺は、そーいうと肩に手を置いた。
「えっ、治してくれるんっ?
さすがやなっ。
ほんま尊敬するわ!」
目をキラキラにさせて、俺を見る。
「 巧くんに出来へんもんって、無いん?」
「当たり前や、ぼけぇ。
お前、誰に向ってそんなん聞いてんねん?」
俺がニヤっと笑うと、
さらに目をキラキラにさせた。
「もう、俺一生巧くんに着いて行くわ。」
「おう。」
ミ★ねらったオンナは逃がすんちゃうぞ?★ミ
(これから君に、俺の恋愛テクニックを教えてあげようか?)
☆
「うえーんっ。」
(えっ、雪枝泣いてるん?何でっ?)
「ちょ、どないしてん雪枝 ?」
俺の姿を確認した途端、
雪枝は、俺に抱きついてさらに泣き出した。
(雪枝 ほんまに何があってん?)
「んー、何で泣いてるん?」
優しく頭を撫でながら、
俺は、彼女に問いかけた。
「うっう”ぅーん 。
わったしの……」
「うん、どーしたん?」
「……アイスとっプリンとっクリームパンにっメロンパンと、
チョコレートとっポテトチップスっとっヨーグルト……っう”ぅ”……。」
「 えっ?」
( 食べ物……?)
「 だ、誰かにっ……食べられたぁっ……。」
「 そぅかぁ……。」
(そんなことで、泣いてたんかー。)
「今そんな事でって思ったでしょ?
酷いっ。」
「えっ、お、思ってへんよ?なっ?誰やろなぁ、人の物勝手に食べた奴はぁ?」
(えっ、ちょ何で心で思ったことバレてんのっ?何、エスパー?!)
「私の10月のお小遣い全部で、買ったのに……。」
「はっ?」
(一ヶ月のお小遣いっ?しかも全部お菓子とか、どないやねんな!)
「私、お菓子なきゃ生きていかれへんーっ。」
(別に無くても、大丈夫やろ? ←)
「なら、俺が買ったるやんか♪
コンビニ、行こう?」
「 えっ !
買ってくれるのっ?
ほんまにっ?」
「うん、買ったるよ。
でも、3000円までなっ?」
「3000円も良いのっ?
お金持ちやぁ!
めっちゃ良い人っ!
大好きっv」
(3000円って、お小遣い3000円以下なん?w)
彼女は嬉しそうに、
さっきまで泣いてたのが嘘のように、
眼をキラキラに輝かせて、
早速コンビニに歩いていった。 ←
(雪枝、精神年齢絶対幼稚園児並やんw ←)
ところで、
雪枝のお菓子を食べた奴って、誰なんやろか?
†んー、謎やねぇ~。†
コンビニできっちり3000円分のお菓子を選んだ彼女は、
終始ニコニコだった。
#後日
「あんな俺この前ちょっと寝て起きたら、
アイスとかプリンとかクリームパンにメロンパンにチョコレートやろ、
後、ポテトチップスとかヨーグルトとかがな、
となりに合ってん!
俺、お腹空いてたから神様からのプレゼントやって思って食べてん!
めっちゃ、美味しかったわぁ~v
また、無いかなぁ~?」
( お前が犯人やったんかっ!w)
「なぁ、聞いてんの?
もう、ええ。
相変わらず、面白くないなぁ。」
「えっ。」
そー言うと、永井は笑顔で雪枝の方に言ってしまった。
俺はこの真実を彼女に告げるべきなのか、告げないほうがいいのか……。
それとも、
永井にそれは神様じゃなくて 雪枝のお菓子やってことを教えて弱みを握って…… ←
さぁ、どーしよ俺っ?! ←
久しぶりの、デート 。
デートするか?
なんて、
久しぶりの電話で、
彼は冗談ぽく言って笑っていた。
私は嬉しくて、
嬉しくて、
最近はずっと、
デートのことしか、
頭になかった 。
なのに、
当日。
待ち合わせ場所に、
彼は居ない 。
1時間、
2時間、
待っても、
彼はやってこない……。
(どーいうこと ?)
携帯に電話しても、繋がらない。
メールをしても、返信が来る様子は全くない 。
( 意味わからん 。)
一人、浮かれていたみたいで悲しくなった。
もう、怒りとか通りこして涙が溜まる 。
( 私一人が好きみたいじゃんかぁ 。)
私は帰ることにした。
時計を見れば、
待ち合わせ時間から、
5時間が経っていた 。
(せめて、連絡くらいくれたっていいじゃん 。)
一人、
涙を我慢して歩いていると、
後ろから、
車のクラクションが鳴り響いた 。
( 何、うるさいなぁ 。)
あまりにも、
クラクションが鳴り止まないから、
後ろを振り返ると、
見慣れた車 。
( 宏 ?!)
私は思わず驚いて、
その場に立ち尽くした 。
「 何、帰ろうとしてんねんっ!
って、何で泣きそうなん……?」
私に文句を言いながら車を降りてきた宏は、
私の顔を見て、
驚いていた 。
「ちょ、どーしてん?
具合悪いんか?」
宏が優しく私のことの背中を擦る 。
温もりが温かくて、
会えたのが嬉しくて、
心配してくれたのが嬉しくて、
我慢していた涙は、
勢いよく零れ落ちた 。
「……宏がっ……着てくれないから……。」
泣きながら、
私は喋った 。
「ちゃんと来てるやん?」
「だって、
私、一人で5時間も待ってんで……っ ?」
「 は?
5時間?」
「携帯に電話しても繋がらんし 。」
「ちょ、待って?
昨日、俺メールしたやん 。
仕事は入ってもうたからって 。
時間もちゃんと書いたやんなぁ?」
「 えっ?」
宏の顔をまじまじと見つめる。
嘘をついている様子はない 。
「 でも、宏からのメールなんて見てへん 。」
「携帯ちゃうで、パソコンの方に送ってん 。
昨日、携帯水没してもうてん 。」
「 は?」
「せやから、パソコンにメールしたの。」
「 私、仕事じゃなきゃパソコンなんて使わないよ。」
「そんなん知らんわ。」
「知らんって、私何も知らんと5時間も待ってんで!」
「そんなんいうても、俺ちゃんとメールしたもん 。」
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ごめんなんか言わんわ、あほーっ 。
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その日は喧嘩もほどほどに、
ちゃんとデートできましたv
家に帰ってパソコンを開くと確かに、
メールが届いてましたw
________________
明日、仕事はいってもうた。
やから、時間は午後6時な。
あと、携帯水没してもうたから 。
何か急に、
色々ごめんな 。
________________
(メールで、ゴメンって謝ってるし 。
宏のあーほっw)
☆
「なぁー、遊ぼう!」
「 そやなぁー。
ねんね、しようなぁ?」
「いやだぁー!
遊ぶんーやー!」
「 わかったから、そんな耳元で大きな声出さんといてな?
おねんねするんやでぇー?」
「つまんない。
おねんね、いやー。」
「 いやー じゃなくてなぁー 。
……って、何処に行ってんねん?!
戻ってこいーやー?」
休日のお昼。
天気もよくて、
窓からの木漏れ日に、そよ風。
(こんなん、めっちゃ理想の御昼寝やんなぁ?)
朝早くから折角実家に帰って来たのに、
オカンは預かっていた姪っ子を、
俺に預けて、
買い物に出かけた 。
( 実家に帰んなきゃ良かった……なんてなぁ ?)
さっきまで一緒に横になっていた姪っ子雪枝は、
元気に家の中を一人走りまわっている 。
( 子供は元気やなぁ 。←)
姪っ子から解放されるために昼寝しようと思ったのに、
肝心の雪枝が居らんのなら、意味がない 。
( ギターでも弾くか?)
俺は起き上がり、
近くにあった、
ギターケースを持ってきて、
ギターを取り出した 。
( こういう休日も、何やええもんやなぁ 。)
∮~♪~♭~#~
静かにギターを奏でる 。
弾いていると、
どたばたと足音が近づいてきて、
目の前にキラキラ輝く眩しいほどの笑顔。
「 それ何?」
「んー、ギターやでぇー。」
「キター?」
「キターちゃうくて、ギターや。」
「キター、綺麗 。」
「んー、そうやなぁ~。」
興味津々にギターを見つめる 。
「 弾いてみる?」
ギターを差し出せば、
嬉しそうに大きく頷いた。
(ええなぁ、真っ直ぐって。)
小さい雪枝には、
大きすぎるギター 。
音なんかめちゃくちゃ適当やねんけど、
すごい楽しそうに弾いている 。
( そうや、技術とかの前に大事なんは気持ちやからな!)
でも、
やっぱり、
俺に子供の世話は、
し ん ど い … … 。
に、尽きるわ 。 ←
( やって、あんなに楽しそうにギター弄ってたんに、
もう飽きて、また走り廻ってんねんもんー!)
☆
夏、真っ盛り。
これでもかっていうくらい、
太陽はぎらぎらと輝いていて、
溶けるんじゃないかってくらい、
暑い 。
そして、
空は、澄み渡るほどの水色で、
真っ白な雲。
たまに、
肌を掠める、風。
流れる汗だって、
前向きに考えたら、
実に健康的。 ←
「 で、何で遅刻したかって聞いてんねんっ!」
学校。
生徒会。
夏休みなのに、会議。
遅刻してしまった私を、どなり散らす生徒会長。
「やから、暑かったからって言うたやないですかっ!」
「そんなん理由になるか、ぼけぇーっ!」
ただでさえ暑さに遣られてしまった頭に響く、会長の大声。
「 今日、会議って昨日電話したやん。」
「 はい 。」
「絶対に遅刻すなよって、言ったやんなぁ?」
「 はい 。」
「本間にそれやから、俺等生徒会が馬鹿にされんねん 。」
「 はい。」
「生徒会の癖にって、そんなん言われたないやろ?」
「 はい 。」
「せやったら、何で遅刻すんねんーっ!」
大きな声で、
会長は結局、
何で遅刻したか?っていう結論にたどり着く 。
( もう、何回質問したら気すむねん?!)
もう、何度目だろう?
「 何で遅刻したんや?」
って聞かれた瞬間、
目の前がいきなり真っ暗になった 。
遠くの方で、
会長の
「おい、大丈夫か、
神奈川っ?」
って声が響いた…… 。
目を開けると、
真っ白い天井 。
( えっ、何処?)
起き上がろうとしたけど、
あまりにも体がだるくて、
無理だった 。
「 何や、目ぇ醒めたんか?」
優しい会長の声がした。
「 あんな、
体調悪かったんなら、俺に一言でもええから、
連絡したら、休んでええねんで、あほ 。」
さっきとは全く態度の違う先輩に、
ちょっと、私は戸惑ってしまった 。
「 ごめん なさい 。」
「 そんな無理してこられても、余計に拗らせるだけやしな 。」
先輩は私の頭を、
笑いながら、
優しく撫でた 。
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ゆわな、わからんやろ ?
ーーーーーーーーーーーー
(我等の生徒会長曰く、助け合いが大事やねんって !)
☆
金曜日の学校。
放課後。
教室に好きな人と二人きり 。
(数学の課題がなきゃ楽園やったで、ほんまに 。←)
数学のプリントと睨めっこしながら、
俺と向かい合わせに座っている、彼女。
「なぁ、」
「 何?」
「これ、何時になったら終わるん?
全く終わりが見えへんねんけど 。」
「そーやなぁ 。
俺にも終わりが全く見えん 。」
「 なぁ、今田って好きな人とかって居るん?」
「えっ?」
「もしかして、彼女居るん?」
「 彼女、居らんよ 。」
「そーなんや、寂しい奴やなぁ 。」
「そ、そーいう神奈川は、彼氏居るん ?」
( ドキドキ、ドキドキ 。
居ったら、どーしよ……。)
「んー、秘密やひ・み・つ。 笑」
彼女は楽しそうに笑っていた。
(がびーんっやん 。
絶対、居る反応ちゃうん、これ……。)
「そーなんや 。
じゃぁ、好きなタイプはどーいう人なん?」
(頼むからこれ以上、俺を地獄に落とさんでくれーっ。 ←)
「好きなタイプなぁー、どーなんやろうなぁ?
んー、まぁとりま放課後居残りなんかせえへんくらい頭良くて、
なぁ 。」
(わー、全く俺に当てはまらんなぁっ!)
「んー、そんなんかな?」
笑いながら、そんな残酷なことを言う神奈川は、小悪魔ですか? ←
━━━━━━━━━
┃う そ や ん っ 。┃
━━━━━━━━━
「 ちょ、今田ー。
何、めっちゃテンション下がってへん?」
「 そんなん、ないよ……っ……。」
「何今の、完全なる不燃焼やんか 。
どーしてん、いきなり ?」
(神奈川が、俺をこーしてんのにっ!)
「 可愛えなぁ 。」
「 はっ?」
「 今喋ったタイプの奴、全部嘘やで?
しいて言うならば、間逆やなぁ。」
神奈川は、そう悪戯に笑った。
「 逆 ?」
「そー 。
頭ええ奴なんか疲れるし、」
「 そっか 。」
「うん 。」
君の頬は、俺の自意識過剰なのか、
ほんのり紅く見える 。
「 今田は、私のこと好きやろ?」
上から目線なのに、神奈川 なら愛しいと思った 。
(って、俺の気持ち知ってたん?)
「 す、 好きやで っ 。」
「ん、ありがと。
なら、付き合ってあげてもええけど、どーする?」
「 ぜひ、付き合ってくださいっ !」
「 もう、声大きいわ 。」
君は、そういうとにっこり笑って、
俺の差し出した手を優しく握った 。
☆
甘ったるい声で俺の名前を呼びながら、
一生懸命に走ってくる、
俺の大切な後輩。
「大変やっ。」
俺の所に来たと思ったら、
肩を大きく上下に動かしながら、
息も絶え絶えに、
突然、こー言い出した 。
「 心臓が、痛いねんっ。」
真っ直ぐな瞳で俺を見ながら、
後輩は確かにそー言った 。
( アカン、病院連れていかな 。)
「あんなっ、クラスの神奈川さんを見ると、
心臓が痛なんねんっ!
何で?」
( 何でって、あほやろ 。)
「神奈川さんが笑うと、めっちゃ嬉しくて 。
神奈川が他の男子と話したりしてんの見ると、すんごいムカツクねん。
それに最近は、姿を見ただけで締め付けられんねん心が 。」
(そーとー惚れてんねんな 。)
「 判った、俺が治したる。」
俺は、そーいうと肩に手を置いた。
「えっ、治してくれるんっ?
さすがやなっ。
ほんま尊敬するわ!」
目をキラキラにさせて、俺を見る。
「 巧くんに出来へんもんって、無いん?」
「当たり前や、ぼけぇ。
お前、誰に向ってそんなん聞いてんねん?」
俺がニヤっと笑うと、
さらに目をキラキラにさせた。
「もう、俺一生巧くんに着いて行くわ。」
「おう。」
ミ★ねらったオンナは逃がすんちゃうぞ?★ミ
(これから君に、俺の恋愛テクニックを教えてあげようか?)
☆
「うえーんっ。」
(えっ、雪枝泣いてるん?何でっ?)
「ちょ、どないしてん雪枝 ?」
俺の姿を確認した途端、
雪枝は、俺に抱きついてさらに泣き出した。
(雪枝 ほんまに何があってん?)
「んー、何で泣いてるん?」
優しく頭を撫でながら、
俺は、彼女に問いかけた。
「うっう”ぅーん 。
わったしの……」
「うん、どーしたん?」
「……アイスとっプリンとっクリームパンにっメロンパンと、
チョコレートとっポテトチップスっとっヨーグルト……っう”ぅ”……。」
「 えっ?」
( 食べ物……?)
「 だ、誰かにっ……食べられたぁっ……。」
「 そぅかぁ……。」
(そんなことで、泣いてたんかー。)
「今そんな事でって思ったでしょ?
酷いっ。」
「えっ、お、思ってへんよ?なっ?誰やろなぁ、人の物勝手に食べた奴はぁ?」
(えっ、ちょ何で心で思ったことバレてんのっ?何、エスパー?!)
「私の10月のお小遣い全部で、買ったのに……。」
「はっ?」
(一ヶ月のお小遣いっ?しかも全部お菓子とか、どないやねんな!)
「私、お菓子なきゃ生きていかれへんーっ。」
(別に無くても、大丈夫やろ? ←)
「なら、俺が買ったるやんか♪
コンビニ、行こう?」
「 えっ !
買ってくれるのっ?
ほんまにっ?」
「うん、買ったるよ。
でも、3000円までなっ?」
「3000円も良いのっ?
お金持ちやぁ!
めっちゃ良い人っ!
大好きっv」
(3000円って、お小遣い3000円以下なん?w)
彼女は嬉しそうに、
さっきまで泣いてたのが嘘のように、
眼をキラキラに輝かせて、
早速コンビニに歩いていった。 ←
(雪枝、精神年齢絶対幼稚園児並やんw ←)
ところで、
雪枝のお菓子を食べた奴って、誰なんやろか?
†んー、謎やねぇ~。†
コンビニできっちり3000円分のお菓子を選んだ彼女は、
終始ニコニコだった。
#後日
「あんな俺この前ちょっと寝て起きたら、
アイスとかプリンとかクリームパンにメロンパンにチョコレートやろ、
後、ポテトチップスとかヨーグルトとかがな、
となりに合ってん!
俺、お腹空いてたから神様からのプレゼントやって思って食べてん!
めっちゃ、美味しかったわぁ~v
また、無いかなぁ~?」
( お前が犯人やったんかっ!w)
「なぁ、聞いてんの?
もう、ええ。
相変わらず、面白くないなぁ。」
「えっ。」
そー言うと、永井は笑顔で雪枝の方に言ってしまった。
俺はこの真実を彼女に告げるべきなのか、告げないほうがいいのか……。
それとも、
永井にそれは神様じゃなくて 雪枝のお菓子やってことを教えて弱みを握って…… ←
さぁ、どーしよ俺っ?! ←
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2025/06/22
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