ご縁を大切に

神奈川雪枝

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袖触れ合うも他生の縁

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久しぶりの休み。

久しぶりの、デート 。

デートするか?
なんて、
久しぶりの電話で、
彼は冗談ぽく言って笑っていた。

私は嬉しくて、
嬉しくて、

最近はずっと、
デートのことしか、
頭になかった 。


なのに、
当日。

待ち合わせ場所に、
彼は居ない 。

1時間、
2時間、
待っても、
彼はやってこない……。

(どーいうこと ?)

携帯に電話しても、繋がらない。
メールをしても、返信が来る様子は全くない 。

( 意味わからん 。)


一人、浮かれていたみたいで悲しくなった。
もう、怒りとか通りこして涙が溜まる 。


( 私一人が好きみたいじゃんかぁ 。)




私は帰ることにした。

時計を見れば、
待ち合わせ時間から、
5時間が経っていた 。

(せめて、連絡くらいくれたっていいじゃん 。)


一人、
涙を我慢して歩いていると、

後ろから、
車のクラクションが鳴り響いた 。

( 何、うるさいなぁ 。)

あまりにも、
クラクションが鳴り止まないから、
後ろを振り返ると、
見慣れた車 。

( 宏 ?!)

私は思わず驚いて、
その場に立ち尽くした 。

「 何、帰ろうとしてんねんっ!
 って、何で泣きそうなん……?」

私に文句を言いながら車を降りてきた宏は、
私の顔を見て、
驚いていた 。

「ちょ、どーしてん?
 具合悪いんか?」

宏が優しく私のことの背中を擦る 。

温もりが温かくて、
会えたのが嬉しくて、
心配してくれたのが嬉しくて、

我慢していた涙は、
勢いよく零れ落ちた 。

「……宏がっ……着てくれないから……。」

泣きながら、
私は喋った 。

「ちゃんと来てるやん?」

「だって、
 私、一人で5時間も待ってんで……っ ?」

「 は?
 5時間?」

「携帯に電話しても繋がらんし 。」

「ちょ、待って?
 昨日、俺メールしたやん 。
 仕事は入ってもうたからって 。
 時間もちゃんと書いたやんなぁ?」

「 えっ?」

宏の顔をまじまじと見つめる。
嘘をついている様子はない 。

「 でも、宏からのメールなんて見てへん 。」

「携帯ちゃうで、パソコンの方に送ってん 。
 昨日、携帯水没してもうてん 。」

「 は?」

「せやから、パソコンにメールしたの。」

「 私、仕事じゃなきゃパソコンなんて使わないよ。」

「そんなん知らんわ。」

「知らんって、私何も知らんと5時間も待ってんで!」

「そんなんいうても、俺ちゃんとメールしたもん 。」







ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 ごめんなんか言わんわ、あほーっ 。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー




その日は喧嘩もほどほどに、
ちゃんとデートできましたv

家に帰ってパソコンを開くと確かに、
メールが届いてましたw


________________

明日、仕事はいってもうた。
やから、時間は午後6時な。

あと、携帯水没してもうたから 。

何か急に、
色々ごめんな 。
________________

(メールで、ゴメンって謝ってるし 。
 
 宏のあーほっw)



「なぁー、遊ぼう!」

「 そやなぁー。
 ねんね、しようなぁ?」

「いやだぁー!
 遊ぶんーやー!」

「 わかったから、そんな耳元で大きな声出さんといてな?
 おねんねするんやでぇー?」

「つまんない。
 おねんね、いやー。」

「 いやー じゃなくてなぁー 。
 ……って、何処に行ってんねん?!
 戻ってこいーやー?」

休日のお昼。
天気もよくて、
窓からの木漏れ日に、そよ風。

(こんなん、めっちゃ理想の御昼寝やんなぁ?)

朝早くから折角実家に帰って来たのに、
オカンは預かっていた姪っ子を、
俺に預けて、
買い物に出かけた 。

( 実家に帰んなきゃ良かった……なんてなぁ ?)

さっきまで一緒に横になっていた姪っ子雪枝は、
元気に家の中を一人走りまわっている 。

( 子供は元気やなぁ 。←)

姪っ子から解放されるために昼寝しようと思ったのに、
肝心の雪枝が居らんのなら、意味がない 。

( ギターでも弾くか?)

俺は起き上がり、
近くにあった、
ギターケースを持ってきて、
ギターを取り出した 。

( こういう休日も、何やええもんやなぁ 。)


∮~♪~♭~#~

静かにギターを奏でる 。


弾いていると、
どたばたと足音が近づいてきて、
目の前にキラキラ輝く眩しいほどの笑顔。

「 それ何?」

「んー、ギターやでぇー。」

「キター?」

「キターちゃうくて、ギターや。」

「キター、綺麗 。」

「んー、そうやなぁ~。」

興味津々にギターを見つめる 。

「 弾いてみる?」

ギターを差し出せば、
嬉しそうに大きく頷いた。

(ええなぁ、真っ直ぐって。)

小さい雪枝には、
大きすぎるギター 。

音なんかめちゃくちゃ適当やねんけど、
すごい楽しそうに弾いている 。


( そうや、技術とかの前に大事なんは気持ちやからな!)




でも、
やっぱり、
俺に子供の世話は、







 し ん ど い … … 。 


に、尽きるわ 。 ←


( やって、あんなに楽しそうにギター弄ってたんに、
 もう飽きて、また走り廻ってんねんもんー!)



夏、真っ盛り。

これでもかっていうくらい、
太陽はぎらぎらと輝いていて、

溶けるんじゃないかってくらい、
暑い 。

そして、
空は、澄み渡るほどの水色で、
真っ白な雲。

たまに、
肌を掠める、風。

流れる汗だって、
前向きに考えたら、
実に健康的。 ←


「 で、何で遅刻したかって聞いてんねんっ!」

学校。

生徒会。

夏休みなのに、会議。

遅刻してしまった私を、どなり散らす生徒会長。

「やから、暑かったからって言うたやないですかっ!」

「そんなん理由になるか、ぼけぇーっ!」

ただでさえ暑さに遣られてしまった頭に響く、会長の大声。


「 今日、会議って昨日電話したやん。」

「 はい 。」

「絶対に遅刻すなよって、言ったやんなぁ?」

「 はい 。」

「本間にそれやから、俺等生徒会が馬鹿にされんねん 。」

「 はい。」

「生徒会の癖にって、そんなん言われたないやろ?」

「 はい 。」

「せやったら、何で遅刻すんねんーっ!」


大きな声で、
会長は結局、
何で遅刻したか?っていう結論にたどり着く 。

( もう、何回質問したら気すむねん?!)




もう、何度目だろう?

「 何で遅刻したんや?」

って聞かれた瞬間、
目の前がいきなり真っ暗になった 。

遠くの方で、
会長の
「おい、大丈夫か、
 神奈川っ?」
って声が響いた…… 。







目を開けると、
真っ白い天井 。
( えっ、何処?)

起き上がろうとしたけど、
あまりにも体がだるくて、
無理だった 。

「 何や、目ぇ醒めたんか?」

優しい会長の声がした。


「 あんな、
 体調悪かったんなら、俺に一言でもええから、
 連絡したら、休んでええねんで、あほ 。」

さっきとは全く態度の違う先輩に、
ちょっと、私は戸惑ってしまった 。

「 ごめん なさい 。」

「 そんな無理してこられても、余計に拗らせるだけやしな 。」

先輩は私の頭を、
笑いながら、
優しく撫でた 。






ーーーーーーーーーーーー
ゆわな、わからんやろ ?
ーーーーーーーーーーーー

(我等の生徒会長曰く、助け合いが大事やねんって !)



金曜日の学校。

放課後。

教室に好きな人と二人きり 。
(数学の課題がなきゃ楽園やったで、ほんまに 。←)

数学のプリントと睨めっこしながら、
俺と向かい合わせに座っている、彼女。

「なぁ、」

「 何?」

「これ、何時になったら終わるん?
 全く終わりが見えへんねんけど 。」

「そーやなぁ 。
 俺にも終わりが全く見えん 。」



「 なぁ、今田って好きな人とかって居るん?」

「えっ?」

「もしかして、彼女居るん?」

「 彼女、居らんよ 。」

「そーなんや、寂しい奴やなぁ 。」

「そ、そーいう神奈川は、彼氏居るん ?」
( ドキドキ、ドキドキ 。
 居ったら、どーしよ……。)

「んー、秘密やひ・み・つ。 笑」
彼女は楽しそうに笑っていた。

(がびーんっやん 。
 絶対、居る反応ちゃうん、これ……。)

「そーなんや 。
 じゃぁ、好きなタイプはどーいう人なん?」

(頼むからこれ以上、俺を地獄に落とさんでくれーっ。 ←)

「好きなタイプなぁー、どーなんやろうなぁ?
 んー、まぁとりま放課後居残りなんかせえへんくらい頭良くて、
なぁ 。」

(わー、全く俺に当てはまらんなぁっ!)

「んー、そんなんかな?」

笑いながら、そんな残酷なことを言う神奈川は、小悪魔ですか? ←






 ━━━━━━━━━
┃う そ や ん っ 。┃
 ━━━━━━━━━



「 ちょ、今田ー。
 何、めっちゃテンション下がってへん?」

「 そんなん、ないよ……っ……。」

「何今の、完全なる不燃焼やんか 。
 どーしてん、いきなり ?」

(神奈川が、俺をこーしてんのにっ!)


「 可愛えなぁ 。」

「 はっ?」


「 今喋ったタイプの奴、全部嘘やで?
 しいて言うならば、間逆やなぁ。」

神奈川は、そう悪戯に笑った。

「 逆 ?」

「そー 。
 頭ええ奴なんか疲れるし、」

「 そっか 。」

「うん 。」

君の頬は、俺の自意識過剰なのか、
ほんのり紅く見える 。

「 今田は、私のこと好きやろ?」

上から目線なのに、神奈川 なら愛しいと思った 。

(って、俺の気持ち知ってたん?)

「 す、 好きやで っ 。」

「ん、ありがと。
 なら、付き合ってあげてもええけど、どーする?」

「 ぜひ、付き合ってくださいっ !」

「 もう、声大きいわ 。」


君は、そういうとにっこり笑って、
俺の差し出した手を優しく握った 。



甘ったるい声で俺の名前を呼びながら、
一生懸命に走ってくる、
俺の大切な後輩。

「大変やっ。」

俺の所に来たと思ったら、
肩を大きく上下に動かしながら、
息も絶え絶えに、
突然、こー言い出した 。

「 心臓が、痛いねんっ。」

真っ直ぐな瞳で俺を見ながら、
後輩は確かにそー言った 。
( アカン、病院連れていかな 。)

「あんなっ、クラスの神奈川さんを見ると、
 心臓が痛なんねんっ!
 何で?」

( 何でって、あほやろ 。)

「神奈川さんが笑うと、めっちゃ嬉しくて 。
 神奈川が他の男子と話したりしてんの見ると、すんごいムカツクねん。
 それに最近は、姿を見ただけで締め付けられんねん心が 。」

(そーとー惚れてんねんな 。)

「 判った、俺が治したる。」

俺は、そーいうと肩に手を置いた。

「えっ、治してくれるんっ?
 さすがやなっ。
 ほんま尊敬するわ!」

目をキラキラにさせて、俺を見る。

「 巧くんに出来へんもんって、無いん?」

「当たり前や、ぼけぇ。
 お前、誰に向ってそんなん聞いてんねん?」

俺がニヤっと笑うと、
さらに目をキラキラにさせた。

「もう、俺一生巧くんに着いて行くわ。」

「おう。」







ミ★ねらったオンナは逃がすんちゃうぞ?★ミ
(これから君に、俺の恋愛テクニックを教えてあげようか?)



「うえーんっ。」

(えっ、雪枝泣いてるん?何でっ?)

「ちょ、どないしてん雪枝 ?」

俺の姿を確認した途端、
雪枝は、俺に抱きついてさらに泣き出した。
(雪枝 ほんまに何があってん?)

「んー、何で泣いてるん?」

優しく頭を撫でながら、
俺は、彼女に問いかけた。

「うっう”ぅーん 。
 わったしの……」

「うん、どーしたん?」

「……アイスとっプリンとっクリームパンにっメロンパンと、
 チョコレートとっポテトチップスっとっヨーグルト……っう”ぅ”……。」

「 えっ?」
( 食べ物……?)

「 だ、誰かにっ……食べられたぁっ……。」

「 そぅかぁ……。」
(そんなことで、泣いてたんかー。)

「今そんな事でって思ったでしょ?
 酷いっ。」

「えっ、お、思ってへんよ?なっ?誰やろなぁ、人の物勝手に食べた奴はぁ?」
(えっ、ちょ何で心で思ったことバレてんのっ?何、エスパー?!)

「私の10月のお小遣い全部で、買ったのに……。」

「はっ?」
(一ヶ月のお小遣いっ?しかも全部お菓子とか、どないやねんな!)

「私、お菓子なきゃ生きていかれへんーっ。」

(別に無くても、大丈夫やろ? ←)
「なら、俺が買ったるやんか♪
 コンビニ、行こう?」

「 えっ !
 買ってくれるのっ?
 ほんまにっ?」

「うん、買ったるよ。
 でも、3000円までなっ?」

「3000円も良いのっ?
 お金持ちやぁ!
 めっちゃ良い人っ!
 大好きっv」

(3000円って、お小遣い3000円以下なん?w)

彼女は嬉しそうに、
さっきまで泣いてたのが嘘のように、
眼をキラキラに輝かせて、
早速コンビニに歩いていった。 ←

(雪枝、精神年齢絶対幼稚園児並やんw ←)




ところで、
雪枝のお菓子を食べた奴って、誰なんやろか?







           †んー、謎やねぇ~。†


コンビニできっちり3000円分のお菓子を選んだ彼女は、
終始ニコニコだった。




#後日

「あんな俺この前ちょっと寝て起きたら、
 アイスとかプリンとかクリームパンにメロンパンにチョコレートやろ、
 後、ポテトチップスとかヨーグルトとかがな、
 となりに合ってん!
 俺、お腹空いてたから神様からのプレゼントやって思って食べてん!
 めっちゃ、美味しかったわぁ~v
 また、無いかなぁ~?」

( お前が犯人やったんかっ!w)

「なぁ、聞いてんの?
 もう、ええ。
 相変わらず、面白くないなぁ。」

「えっ。」

そー言うと、永井は笑顔で雪枝の方に言ってしまった。

俺はこの真実を彼女に告げるべきなのか、告げないほうがいいのか……。
それとも、
永井にそれは神様じゃなくて 雪枝のお菓子やってことを教えて弱みを握って…… ←

さぁ、どーしよ俺っ?! ←

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