etc…♡

神奈川雪枝

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あの日見た夜桜

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席で黒田から貰ったカフェラテを飲みながら、
あの夜の事を思い出す。

研修最終日ってことで、
解放感があって、

でも、
週明けからはついに支店で働くことになる
緊張感もあった。

皆研修は一緒に受けれたけど、
週明けからはそれぞれの配置された支店に行く。

下手したらもう会うこともない同期だっているかもしれない。

お酒強くないのに
流されて飲みすぎちゃったなと、
私はフラフラ外に出た。

外のベンチには、
黒田がいた。

「ん?桃井さん、やっけ?」

「うん、確か、黒田くん?だよね??」

「せやせや。」

黒田はタバコを吸っていた。

入社式で席が隣で、
研修のグループも何度か一緒になったから、
名前と顔が一致した。

ふわぁと、欠伸をする。

「顔、真っ赤やで?笑
飲みすぎたんちゃう?」

「私、お酒全然飲めなくて。苦笑
なんかエモくて飲みすぎた。笑」

「なんやねん、エモいって、アホか。笑」

黒田はタバコを吸い終わると、
席を立っていった。

1人。
店内は騒がしいのに、
外は静かだ。

(桜の季節かぁ。)

目をつぶる。

夜風が気持ちいい。













「きゃっ?!」













突然、右頬に冷たい感触!
思わず声が出て、目を開けた。

目の前には黒田がいて、
「酔いさめたんちゃう?」と、
私にペットボトルの水を差し出す。

「あ、ありがとう。」

「ええよ、タバコなくなったから
買いに行ったついでやから。」

黒田は再び隣に腰掛けた。

プシュとあけると、
黒田は缶のおしるこを飲み始めた。

「なに、見てんねん。」

「なんで、今お汁粉?!」

「好きなんやから、別にええやろ。」

(意味わかんない。)と、
黒田を凝視していたら、
「なんや、自分、
お汁粉好きなんか?!」と、
黒田が睨んでくる。

「好きじゃないよ!」と、
私は水を飲む。













明日から私も社会人。かぁ。













仕事頑張ろう!なんて思っていたなと、
数年前におもいをはせた。

ぶぶぶと携帯が震えた。
見ると、念願の赤井先輩からの連絡だった。
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